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[本・レビュー] FIRE 最速で経済的自立を実現する方法


本書は強くおススメです。あなたの人生設計を大きく変容し、将来に(決して今すぐではありません)、現在では想像もつかない程の資産形成を可能とするかもしれません。
 
筆者のプロフィールです。
 
グラント・サバティエ
1984年生まれ。シカゴ大学卒業後、新聞社のリサーチャーなど複数の仕事を経て、2010年に経済的自立を銀行口座残高2.26ドルから目指す決意を固め、わずか5年で純資産は125万ドルを超え、目標を達成。
 
シカゴ大は超優秀校です。2020年のアメリカ大学ランキングでは11位です。この手のランキングは体育館の充実度や食堂の満足度なんかでいくらでもかわってくるので、もうアメリカでトップクラスの大学と考えて間違いありません。グラントさんは何もせずどうしようもなかったわけではなく、収入がそれほど高くなかったところに浪費がひどくて(ありえない程贅沢されていたわけではなく、おいしいものや旅行などをカード払いしてた程度だと予想されます)銀行口座の残高が底をついてしまったようです。
 
だからといって、超優秀なエリートがおススメする、一般人には真似のできない高尚な成功法ではありません。
 
 
FIREの基本は「可能な限り支出を減らす」「余ったお金を最大限貯蓄し、それを投資に回す」「貯めた資産を切り崩すことなく、副業や不労収入、資産から出る利回りで生活費を賄う」ですが、本書では「賃上げ交渉のコツ」「副業のはじめ方」「不動産投資」「株・債券への投資」など、経済的自立を実現する方法が満載です。
 
グラントさんは『資産管理とアントレプレナーシップと投資、これら3つを組み合わせることで、自分の時間の価値の最大化を図った』とされています。
 
日本では投資をしている人の割合が少なく、貯金を好むとよくいわれています。FIREで重要なポイントは「ETFやインデックス型の投資信託を利用し、年間7%程度の利回りで投資を行うことにあります」
 
投資なくしてFIREは成り立ちません。
 
『これまでの研究によると、15年という期間で見ると、9割のアクティブファンドは株式市場全体を下回る成績だという。次のアマゾンを求めてひとつの銘柄や少数の銘柄にしぼるのではなく、シンプルに米国株式市場に幅広く分散投資することで、アクティブファンドの投資家の9割を負かすことができる。株式市場全体に投資すれば、長期的には市場全体と同じリターン―すでに指摘したように、平均で年間7.3%を上げられる可能性は非常に高い。』
 
 
年間7%の利回りを念頭に置くと、「複利の重要性」が認識されます。
本日の100円は1年後は107円(100×1.07)であり、10年後は196.7円(=100×1.0710)
と約2倍になります。
 
そう考えると、今日の1万円は投資にまわせば未来の100万円もしくは1億円かもしれません。しかも複利の力を使えば、そのお金はどんどん利益を生み出す可能性を持つのです。
 
『我々はよく何かを得るためにお金を使おうと考えるが、実際は投資ではなく消費をするときは、大切なもの―そのお金を稼ぐために使った時間、そしてそのお金によって買えるはずの将来の自由の両方―を失っている』
 
また必要なお金が少なくなればなるほど、経済的自立を早く達成でき、貯めた資産を切り崩すことなく今後の生活を続けることができます。
 
トリニティ・スタディとよばれる学術論文では『リタイアするまでにあなたの期待年間支出(リタイア後に毎年使う予定の金額)の少なくとも25倍の資金を貯めるべきだと勧めている』そうです。
 
『研究によると、ポートフォリオの株式と債券の割合を100対0、もしくは75対25とし、最初の年に資産の4%、翌年からインフレ率を加味した割合(6~7%)を引き出した場合、投資ポートフォリオが30年間持続する成功率は98%以上だった』とあります。
 
ただし『トリニティ・スタディが調べている成功率は30年という期間だけ』であり、『あくまで過去のデータに基づいており、将来の株式市場のパフォーマンスはこれまでほど良くないかもしれないし、もっと良くなる可能性もある』ので要注意です。
 
『より少ない資金でより早く「リタイア」し、亡くなるまで(さらにもっと長く)資金を持続させる可能性を高める方法は、まとめると次のようになる』
1. 期待年間支出の25倍以上の額を貯蓄する。
2. 投資収益を取り崩すのは、可能な限り先延ばしにすべきだ。
3. リタイアが近づけば、6カ月の緊急時用のファンドの額を増やして、1年間分の生活費を賄えるようにすべきだ。
 
また、投資資金を切り崩さなくていいよう、『臨時用の現金』をもっておけばさらに安心です。
 
本書は「お金を稼ぐ」コツが満載です。
 
例えば、昇給交渉におけるコツについては次のように記載されています。
 
 (昇給交渉において)『正しいタイミングを選ぼう。パフォーマンスレビューのときとあなたの職責が大きく変わったとき、これらふたつなどが適切なタイミングだ。研究によると、金曜日の午前中が昇給を求める絶好の時間帯だという。あなたの上司もあなたと同じように比較的リラックスしており、週末に向けて気分が高揚しているからだ。また、人は午前中の方が寛大になる傾向にあるという研究結果もある』
 
CMや証券会社のホームページでロボアドバイザーの広告をよくみかけるようになりました。
「人間はどうしても損をしたくないので、高いところで売って安いところで買うことができない。合理的な判断ができないのをロボアドバイザーは補ってくれる」といいます。
果たして本当なのでしょうか。
 
「長期・積立・分散」投資を行うのであれば、わざわざロボアドバイザーなど必要ないのではないかとなんとなく思っていました。これについて『私は個人的に多くのロボアドバイザーを試してみたが、彼らのサービスはすべて自分ひとりでもできることだと感じた』とあります。
 
なんでもかんでも「AI」の言葉でごまかされそうですが、「AI」も人間のいいとこだけとれるほどには進化していません。なんとなく「AI」で、効果もないのに追加の手数料をとられるのは損な感じがします。
 
 
『生活に必要なお金はできるだけ切り詰め、できるだけ多くの資金を投資に回し、複利で増やしていこう』
 
本書を読んで、毎日1本の缶コーヒーを辞めようと思いました。
 
仕事の後に、「ごぼうびに○○(ステーキでもビールでも旅行でもなんでもokです)」とお金の使いどころには困りません。
しかしながら、その○○に使うちょっとしたお金をコツコツ積み立てて投資していけば、5年、10年、20年と経過した時には大きな資産になり得ます。その時こそ、「浪費せず頑張ったご褒美」が目の前に存在するでしょう。そしてその「ご褒美」を無駄遣いしなければ、どんどん増えていくのです。
 
私は惹かれませんでしたが、不動産投資のメリットなども説明されています。
 
そんなにおススメならどうして周りの誰もやっていないの?と思われるかもしれません。
 
それは周りの方がご存知ないか、知っていてもめんどくさい、投資は怖いと思っているからでしょう。
 
「周りがやっているから正しい」わけでもなく「周りがやってないから間違っている」わけでもありません。
もちろん「明らかに間違っているから誰もやっていない」こともありますが、本書の方法は非現実的なものだとは思いません。
 
ただし、投資をされるなら自己責任でお願いします。
 
本書に従うか、従わないかはおいておいて、まずは一読の価値大有りです。



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