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メインストリームを行け
小さな頃から、まあまあのメインストリームを歩んできたような気がしている。小学校でサッカーを始めて、中学受験をして地元国立大学の附属中へ。高校は県立の進学校。そこでも3年間サッカーをやった。
身長は、ほぼ日本人男性の平均と同じ。体重も大学生になる頃まではまぁまぁ普通だった。恋愛も、ファッションも漫画も好き。勉強だけは人より得意だった。
大学生になってからは、田舎出身で周りも勉強もできるやつばっかりだったからコンプレックスを感じたりしたけど、でもやっぱりサッカーサークルに入ったり、彼女ができたり、古着屋を回ったり、朝まで麻雀やカラオケをしたり、しっかり大学生活を楽しませてもらった。
仕事は大きな会社ではないけれど、なんとなく世の中のメインストリームの流れにはいる気がしている。
鶏口牛後、という言葉があるけれど、僕はある意味ずっと牛後の方を選んできた。サッカー部では中学生以降はずっと2軍。公式戦にはほとんど出場していない。大学の成績は落ちこぼれ。仕事の業績は人並み程度。
後悔しているかと聞かれれば全然そんなことなくて、サッカー部の友達とは今でも1番仲が良いし、大学でも良い経験をさせてもらったし、仕事も楽しい。
牛後、とってもいいじゃないか。メインストリームには僕みたいな人たちだって、どこか素敵なところへ運んでいってくれる強い力がある。
鶏口でキラキラしている人たちをうらやましく思うこともある。彼らはやがて大きな群衆を引き連れてメインストリームの先頭を駆けていくかもしれない。その姿はかっこよくて、まぶしい。
でも僕は多分これからも、メインストリームを行く。才能が無いなと思っても、10年続ければそれなりになる。それだけの能力は授かった。
その、僕なりのそれなりが、誰かの役に立つこともある。
メインストリームの中で確かに何かの役に立つことは、僕のちっぽけな自尊心へのとっておきのご褒美だ。
何かと目立つものが取りざたされる昨今だけれども、実はメインストリームの中でこうやってもがき苦しむ人たちの力こそが、事業や社会を前に進めていくんじゃないかと思っている。
なんだか自画自賛みたいになってしまったけれど、最近は強がりじゃなく、心からそんなこと思えるようになってきた。