会いたい人にもう会えない
会いたい人にもう会えない。
その事実が,私に悲しさや喪失感といった感情を感じさせる。
その人に最後に会ったのは,今年の2月末。
リンパマッサージ屋に客としてきた私に,お茶を出しに少し顔を出してくれたのが最後の時だった。
その人は,40代くらいの女性のセラピストさんで,ふわふわとした優しいオーラを放ち温かい関わりをしつつ,しっかりと伝えるところは伝える母性溢れる感じの人だった。
マッサージの技術も高く,施術中ポイントを外さなかったり力加減も絶妙で,ゴッドハンドとはこのことか!とマッサージを受けるたびに感じていた。
値段は他のお店と比べると高めに設定されていたが,技術の高さやホスピタリティ溢れる関わりから感じられる安心感は,愛着に問題を持った私には十分すぎるくらい効果があり,値段のことはさほど気にならない程度だった。
5月も半ばに入り,そろそろ次の予約を取ろうかなと予約サイトを見ると,翌月からの予約可能枠が空いておらず,少し疑問に思ったが,特にお店からのお知らせはなかったのでそこまで気に留めなかかった。
まぁ,またいつか会えるだろうと,急いで予約を取ることもしなかった。
そして6月。
お店から閉店のお知らせが届いた。
あまりの驚きに,声が出なかった。
心にぽっかり穴が開いたような気分になった。
お店までの風景や街並みの新鮮さに心が弾んだこと
店内に漂っている香りに包まれ癒されていたこと
肌触りの良かったタオルの心地よさに感動したこと
セラピストさんと接しているだけでエネルギーを貰えていたこと
色々な思い出が浮かんできたが,そのお店がもう存在しないこと。
その事実があまりに悲しく,苦しい。
わずか数回しか会ってないにもかかわらず,あまりの出来事に泣いてしまったことを今でも覚えている。
それくらい私を支えてくれていた存在だったのだろうと閉店してから改めて感じた。
以前から感情が出ないことや分からないことに悩んでいたが,こんなにも分かりやすく感情を感じられたことが久しぶりで,悩んでいた自分にとってはある意味吉報だが,起こっている出来事が最悪すぎた。
あのセラピストさんやお店は,私にとって安全基地の一つだったから,それがなくなったことがあまりにも強烈な出来事であり,胸が苦しい。
あのセラピストさんに会いたい。
ただ,そのセラピストさんのその後の動向なんて,私には知る由もなく
今の私にできるのは,この胸の苦しみや悲しさ,喪失感をただただ味うことかもしれない。
そんなことを思いながら3か月の月日が経ち,ようやく言語化できるようになった今日この頃。