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エッセイ【 献血の虫 】

はじめての献血は大学1年生の時

きっかけは
我欲に満ちていました

ジュースがタダで飲めるよ
と聞いたからです

やったー ジュース飲みたい

200mlの血と引き換えに
桃のジュースをもらいました

その後も
献血ルームはジュースが飲み放題と聞いて
お菓子も食べ放題と聞いて

子どものような理由で献血ルームに通い詰め
採血の際に血の濃さを褒められることを学習して
褒められたくて頑張ってご飯を食べていました
(良い血を作ろうと思ったんです)

二週間に1回ペースで成分献血を繰り返していたら
濃かった血がどんどん薄くなっていき
真夏に寒さを訴えて倒れたこともありました
若気の至りでした

何でそんなにハイペースで献血をしたか
それは
欲望に忠実(本能)だった
ただそれだけだと思います

当時は献血をすると
図書券500円がもらえたのが
とても大きかったと思います
本を読みたい=献血に行こう!
みたいな感じになっていました

時代が変わり、
図書券が廃止になったタイミングで
大学を卒業しました

しかし献血はもはや習慣になっており
就職をしてからも
年に1回ペースでコツコツ回数を重ねて

2022年に40回目を記録しました

今は
褒められたい欲求はなく
ジュースが飲みたいわけでもなく
お菓子を欲しがってもいません

でもなぜか
またやりたいと思います

きっかけは我欲まみれでしたが
今は特に何も考えずに

献血車に吸い込まれていきます

たとえば

虫の習性のように






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白土紘子
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