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古代技術:炭とナトロンで花崗岩の中の石英を融解すればピラミッドやマチュピチュが作れる
もともとIT会社を経営していたというMarcell Fótiさんは、稼いだ金でコロナの前は世界中を旅行してた。ロックダウンで旅行できなくなりペルーやエジプトで見た精巧な石ブロックの建築について自宅で研究を始めた。
グラナイト(花崗岩)
硬い石であるグラナイト(花崗岩、かこうがん)を魔法のように自由自在に削ってキレイにはめ込むペルーなどの建築物はどうやってつくったのか?
最初は高水圧ジェットで削ったんじゃないか?と思って実験用の圧力機械を設計し始めたが、必要な水圧がバカみたいに高いことに気が付き断念。
しかし機械の作成を頼んだ兄ちゃんが、ピラミッドの石を化学溶液で溶かすという内容の怪しいビデオwを見せて来たことで、「化学」に興味を持つ。
このビデオ自体はグラナイトではなくライムストーンで石灰だから化学的に溶かすのは簡単だったという陰謀論詐欺動画なのだけど、そこで終わらずにグラナイトを化学的溶かすにはじゃあどうしたらいいのか?と真剣に考えたわけだ。
石英
火山岩というのは化学的な組成としてはいろんな成分からなる混合物であるが、岩石の種類によらずそれらの成分をつなぎ合わせる接着剤として働いている成分は共通であり、それは石英だ。
地下深部で形成された深成岩の中で、下記2条件を満たす岩石を指して、花崗岩と呼ぶ。ガラス質を含まず全体が細粒結晶の集合体であるため、流紋は見られない。
黒雲母などのような有色鉱物を1割程度含むものの、主成分が石英と長石であり、全体的に白っぽく見える物[注釈 2]。
成分中にナトリウムとカリウムの含量が少ない、非アルカリ岩質である[注釈 3]。
ケイ素という地球上ありふれた元素が高温高圧になればガラスや石英になるのは当たり前。だから糊になるわけだ。
ナトロン
昔から知られていた技術で、砂とナトロンを混ぜると融点が下がりガラス細工がしやすくなるそうだ。砂はガラスのもと。高温で溶かしたらガラスだ。ナトロンをいれると851度でよい。ブンゼンバーナーで行けそうな温度だ。
ガラスの小さなビーズをナトロンと混ぜて加工すると大きなガラス製品が作れたりする。現代の窓ガラスなどもこの製法で作られる。
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炭酸が加熱されたときに泡になりふっくらするのだ
イーストで発酵させる手間が省ける
そこで家にあったグラナイトをナトロンと一緒にオーブンに入れて溶かす実験をしてみたら成功した。化学的な組成は主に炭酸ナトリウムと重曹だ。
ナトロン(natron)は、炭酸ナトリウム10水和物(Na2CO3·10H2O)と約17%の炭酸水素ナトリウム(NaHCO3、重曹とも)を主成分とする、天然に産出する鉱物である。通常、これに少量の塩(岩塩、塩化ナトリウム)や硫酸ナトリウムが混じっている。
つまり台所にあった洗浄用のナトロンとグラナイト(花崗岩)を空き缶に入れて、炭で包んで加熱したらグラナイトに切り込み跡が残る変形をしていたのだ。非常に硬い石であるグラナイトが変形したのだ!
このおっさん(マルセルさん)が言うには古代エジプトではこのナトロンがあらゆることに使われてきた。洗浄用、マミー製造、食品の乾燥、医療、、、
この実験の詳細はマルセルさんのホームページに詳しい。
乾季の湖から天然のナトロンが得られる
グラナイトの質量分析をするときに大学の研究室がフッ化水素酸を使い小さい破片を得てマススペクトルにかけたので、これにグラナイトの変性作用があるのが確か。
しかしフッ化水素酸は非常に危険な酸で現代ではプラスチックのボトルで保存する。しかし金属やガラス容器では保存が不可能。肌に触れると腐食し致死性だそうだ。
古代エジプト人には難しい、しかしナトロンは現地で普通に取れる天然資源である。
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これはハンガリーのもの
エジプトではWadi El Natrunという砂漠の中の湖で産出して、これがナトロンの名前の由来にまでなっている。乾季に湖が乾いたときに炭酸ナトリウムや重曹が沈殿して出来るのだ。
天然のナトロンと一緒にグラナイトを30分熱して見ると
最初の成功を得て喜んで再現しようと別のブランドのナトロンを日用品店で大量に購入して追試したときは全然追試できなかったらしい。
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しかしハンガリーの湖で同様に得られるナトロンを使い追試をしたところ30分の加熱でグラナイトが溶けた。天然のだと簡単だったと。なにか別の不純物が重要なのか。今では毎週末にやっていつも成功する。
パンとか向けに食用グレードのも売っているが、そういうのは不純物が少ないだろう。しかし掃除用品のナトロンだと不純物があっても問題ないからコストダウンで天然資源をそのまま使っていたりしてもおかしくない。そのあたりの材料の違いかも。不純物も重要なのだろう。
こうやって大きな石を熱すると表面が柔らかくなり、他の石で叩いたりして好きな形に加工できるだろうなと、マルセルさん。
ということは。。。
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柔らかくすることが出来るとしたら
こんなマチュピチュだって建設可能?
ここまでがビデオの30分の内容です。
古代文明とか好きな人、どうでしたか?
私はびっくり仰天、所さんの目がテン!でございました。
今日はここまで。続きは内容次第です。
追記。
32分までで重要な情報があったので追記です。
マルセルさんのように小さな石を容器に入れて熱するのは大きな石には不向きです。古代人はどうやったのでしょう?
それは壁画を書くときに土台を作るように炭を木の枠かなんかで固定して外から熱するのでしょう。
炭は1200度まで熱することができます。
ナトロンで融点を下げて置けばかなり現実的では?
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実験済み。
石を使いたい部分のそばで加熱し、外側が加工できるくらい柔らかくなったらば加工してすぐにはめ込む。
なるほど。