Painter kuro

詩と絵本とアートの小さな出版社、しろねこ社主宰のPainter kuroです。本業は画…

Painter kuro

詩と絵本とアートの小さな出版社、しろねこ社主宰のPainter kuroです。本業は画家でしろねこ社関連の全ての本の装丁画、挿絵を描いています。この「しろねこ社magazine」では、詩のマガジンの作成、既刊発売詩集、絵本の有料購読などをメインに作成して参ります

マガジン

  • 超訳 二水遺稿

    安政6年(1859)生~昭和15年(1940)2月歿。漢詩人。大橋二水は富山県高岡の人。政界に活躍したが政界を退いて後、晩年は金沢味噌蔵町下中町に仮寓し詩作を楽しみ、書を以て米塩の資を補った。詩は木蘇岐山に学んだものであり、片口江東、黒本稼堂らとも交遊があった。 二水唯一の本、死後発表された「二水遺稿」を、意訳に近い超訳と、抽象画で綴る。

  • 詩誌「光」

    しろねこ社で発売予定の詩誌「光」。 これをマガジン形式で先行公開します。多種多才の詩人たちに是非お会いして下さい。 全体が公開された時点で有料購読になります。

  • しろねこ社select 大原鮎美マガジン

    しろねこ社刊、詩集「ロッキングチェア」(詩18作品は掲載済)自由律俳句集「港亭」からセレクトされた珠玉の大原鮎美ワールド!さらに、近く出版予定の新自由律俳句集より作品も続々追加!

ストア

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    北海道新聞文学賞詩部門候補記念/もう1つの有毒植物詩図鑑「有毒植物詩の花束」草野理恵子

    全国に有毒植物詩の中毒者が続出の草野理恵子の詩集「有毒植物詩図鑑」のアナザーストーリー。SNSで話題の「有毒植物詩図鑑」を別視点からじっくりと摂取して下さい。フォトブック。文庫本サイズ 北日本新聞文学賞詩部門の候補作、草野理恵子さんの『有毒植物詩の花束~もう一つの有毒植物詩図鑑~』、小さな文庫本サイズの詩集です。17冊のみの販売予約で。ご購入者様には、去年東京の植物の本屋草舟あんとす号様とコラボした際に沢山草野さんが、特製おみくじを作成して下さいましたのでそちらをプレゼントいたします。 本の発送は来週になります。いつものように発送済メールを予約完了メールとさせて頂きます。
    1,100円
    しろねこ社
  • 商品の画像

    美しくほころんだ花びらが、闇夜に向けてかすかにわらった~絵本が紡ぐ10カラットの詩の物語~/復刻版絵本+詩集/渡ひろこ 予約販売

    2008年詩集『メール症候群』(土曜美術社出版販売)にて第23回福田正夫賞を受賞した著者の大人向け絵本の復刻版+新作詩10篇。6年前発売当時に大変話題となった本でした。絵を描いたPainter kuroが新作を含めリニューアル。全く新しい顔で生まれ変わる。絵本に纏わる詩10篇。渡ワールド全開です。文庫本サイズ。 ※いつものように発送済メールを予約完了メールとさせて頂きます。発売は11月15日を予定しておりますが、編集、校正の進行で遅れることがありますことをご了承下さい。
    1,760円
    しろねこ社

記事一覧

超訳 二水遺稿〜8曲目「Koi」

BGM   androp「Koi」 日々の忙しさにかまけていたら、あっと言う間に秋が来た。 二水関係で言えばこの夏、富山県のある方からご丁寧なお手紙と素敵なプレゼントを頂い…

Painter kuro
4年前
7

超訳 二水遺稿〜7曲目「今はまだ人生を語らず」

BGM  「今はまだ人生を語らず」吉田拓郎 記録的な豪雨が過ぎたら、猛暑がやってきた。蝉の声が生きる存在理由のように、空気に粘着して途切れることはない。 世の中は…

Painter kuro
4年前
7

超訳 二水遺稿〜6曲目「私は風」

BGM 「私は風」カルメンマキ&oz 藻谷海東という人物がいる。二水の漢詩の友人であり、歌人の藻谷銀河の父であり、甥の片口江東に最初に漢詩を指南した人物である。 この…

Painter kuro
4年前
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超訳 二水遺稿〜5曲目「A day in the life」

BGM ビートルズ「A day in the life」 二水について問い合わせしたら、懇切丁寧な返信が高岡市立博物館の学芸員の方からあった。いろんな資料を添付して下さって本当に感…

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4年前
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超訳 二水遺稿〜4曲目「明日にかける橋」

BGM サイモン&ガーファンクル「明日に架ける橋」 富山市に今は観光地にもなっている豪農の館内山邸(富山県民会館分館)がある。内山家はかつて千石地主とも呼ばれた越中…

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4年前
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超訳 二水遺稿〜3曲目「翳りゆく部屋」

BGM荒井由実「翳りゆく部屋」 二水と徳富蘇峰の関係を追っていくうちに、凄いことに行きあたった。 昭和10年に辰巳長楽の編で(ちなみにこの辰巳長楽は吉野史ではかなり…

Painter kuro
4年前
9

詩誌「光」佐々木 漣

「ゴースト・フィッシュ」 金塊を求め、 ジャングルの奥で男たちは夢を見続ける 期待は簡単に見つからないから貴重品で いつまでも、いつまでも、沈没するように コカの葉…

Painter kuro
4年前
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超訳 二水遺稿〜2曲目「フリージャズ」

BGM オーネットコールマン「フリージャズ」 このアルバムは衝撃だった。あらゆる「反」が渦巻いていると思った。これは革命であり彼は必ず退屈な「現在」を破壊して僕達に…

Painter kuro
4年前
5

超訳 二水遺稿〜1曲目「はじまりはいつも愛」

BGM オフコース「時に愛は」 漢詩人大橋二水の死後出版された「二水遺稿」を読んでいる。 読みながら絵を描きながらタバコを吸いながら酒を飲んで音楽を聴く。そうやっ…

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4年前
6

詩誌「光」木村 孝夫

「原発復興」 復興という文字を 指で、ときには掌でなぞってみる ささくれのような傷が残っているから ときどき大きく深呼吸する その文字から手を離すと 指や掌には笑顔…

Painter kuro
4年前
12

詩誌「光」素潜り旬

『ブリ納豆』 おてんば納豆の五度の回転、君、喪失、絵描きのコンポートならまだしも、さしづめアセンブル、泥んこに成るメシは、飯盒、空気を含んだ言葉は詩を包括する湖…

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4年前
12

詩誌「光」荒木田 慧

「つばめと私」 「そんなことはね」 とつばめが言った 「到底ゆるされるようなことではないよ」 私はつばめにゆるされたいと思った それからふと だれにもゆるされる…

Painter kuro
4年前
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詩誌「光」三上 りょう

DOLCEⅡ  「星のかけら」 メイプルの誘惑のせるパンケーキ 一人の棘を溶かす三日月  短めの手紙のようなキスをして 星のかけらは誰かのものに  誰を待つ椅子にな…

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4年前
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詩誌「光」特別寄稿 sio.(猫のペコリ造形)

-ポシェット- ペコリみるそら ラムネサイダー お花を片手に ポシェットかけて ペコリみるはな そよぐなでしこ ドアあけお出かけ あちらこちら ペコリおはなし 五線譜な…

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4年前
7

詩誌「光」末松 努

「呼吸」 手を伸ばし 澄んだ空気をつかまえ 息を吹き返す体と引き換えに くすんだ空気を手放す 日々の呼吸、 透き通らぬ心身を案じながら 世の中は汚れているが わたし…

Painter kuro
4年前
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詩誌「光」一色 真理

「闇から闇へ」 一行終わるたびに 黒い小さな゜を打ちました 祈るように どうか よく見てください ひとつひとつ それはどれも 死んだ子の 顔ではありませんか? 終わり…

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4年前
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超訳 二水遺稿〜8曲目「Koi」

BGM   androp「Koi」 日々の忙しさにかまけていたら、あっと言う間に秋が来た。 二水関係で言えばこの夏、富山県のある方からご丁寧なお手紙と素敵なプレゼントを頂いた。ご質問がいくつかありました。なかなか纏めきれず、遅くなったが漸く返信を書き終えた。大正昭和期の漢詩を研究する方のエールは身に沁みる。 プレゼントは僕が欲しくて欲しくてたまらなかった「越中古今詩鈔」(越中の漢詩人を網羅)をCDに収めたものだった。猛暑の中、一服の清涼剤の効き目がありました。本当に感謝

超訳 二水遺稿〜7曲目「今はまだ人生を語らず」

BGM  「今はまだ人生を語らず」吉田拓郎 記録的な豪雨が過ぎたら、猛暑がやってきた。蝉の声が生きる存在理由のように、空気に粘着して途切れることはない。 世の中はコロナがいっこうに収まる気配がない。もしかすると僕たちは記録的な岐路にいるのかもしれない。今後何年か後、僕たちのライフスタイルは決定的に変わるかもしれない。他人との接触を極力避け社会は「集団」から「個の集合」へと変化するかもしれない。 連載を続けている「二水遺稿」。今回は「二水遺稿」の本文にはない漢詩だ。 日

超訳 二水遺稿〜6曲目「私は風」

BGM 「私は風」カルメンマキ&oz 藻谷海東という人物がいる。二水の漢詩の友人であり、歌人の藻谷銀河の父であり、甥の片口江東に最初に漢詩を指南した人物である。 この海東、僅か41才で早世している。越中で自由民権運動を啓蒙した人物でもある。 二水はこの海東の死によほど思いがあったとみえて、二水遺稿にも彼の死を悼む詩が2篇あった。 僕は最近死に関して敏感で、それはコロナのせいでもあり、僕自身故かもしれない。 人が人を見送ることに関して、僕達の祖先はとても自然でとても美

超訳 二水遺稿〜5曲目「A day in the life」

BGM ビートルズ「A day in the life」 二水について問い合わせしたら、懇切丁寧な返信が高岡市立博物館の学芸員の方からあった。いろんな資料を添付して下さって本当に感謝している。不明なことがあれば、またご連絡下さい、とのことなんでまたするでしょう、多分。。 僕の拙いこの 超訳 二水遺稿も読んで下さったようで、恥ずかしい限りだ。 頂いた資料からわかることは、当時の富山の漢詩人は皆繋がっているということだ。漢詩だけではない。政治でだ。 高岡市立博物館からの添

超訳 二水遺稿〜4曲目「明日にかける橋」

BGM サイモン&ガーファンクル「明日に架ける橋」 富山市に今は観光地にもなっている豪農の館内山邸(富山県民会館分館)がある。内山家はかつて千石地主とも呼ばれた越中の豪農。昭和52年に第21代当主 李友氏から富山県が有償で譲り受け、翌年に富山県民会館の分館として、現在に至っている。 と、静かな書き出しだけれど、内心は凄く興奮している。前回、芳野魂鼓吹吟詩集(スーパー漢詩人たちのスーパー漢詩集)の編者辰巳長楽に、大橋二水を推薦したのは、徳富蘇峰ではないか?と考えたのだけど、

超訳 二水遺稿〜3曲目「翳りゆく部屋」

BGM荒井由実「翳りゆく部屋」 二水と徳富蘇峰の関係を追っていくうちに、凄いことに行きあたった。 昭和10年に辰巳長楽の編で(ちなみにこの辰巳長楽は吉野史ではかなり重要人物らしい)、芳野魂鼓吹吟詩集が編纂されている。 この漢詩集、収録されている漢詩人は古から近代までのスーパー漢詩人たちばかり。 「芳野三絶ノ一」の梁川星巌はじめ、上杉謙信、西郷南洲(隆盛)、吉田松陰、頼山陽、藤田東湖、土井晩翠、犬飼木堂(毅)、明治の三詩人の一人 小野湖山など、まさにぶっ飛んでしまうくら

詩誌「光」佐々木 漣

「ゴースト・フィッシュ」 金塊を求め、 ジャングルの奥で男たちは夢を見続ける 期待は簡単に見つからないから貴重品で いつまでも、いつまでも、沈没するように コカの葉を噛み、暗い部屋のハンモックで女を買う 一ケ月分の精液を射精するごとに、 夜の鳥がギー、ギーと叫ぶ 自分の存在が透明になり始めている、と 知らないふりをして 太陽にかざした手には黒い血液が透けて見え 死神の口づけがそっと額を濡らす 生きるほどに、生きることが難しくなっていく 一緒に暮らしても、 信頼は拳銃が前

超訳 二水遺稿〜2曲目「フリージャズ」

BGM オーネットコールマン「フリージャズ」 このアルバムは衝撃だった。あらゆる「反」が渦巻いていると思った。これは革命であり彼は必ず退屈な「現在」を破壊して僕達に本物の自由をくれるんだ、と信じた。 それから40年後、オーネットコールマンは高松宮殿下記念世界賞を誇らしげに受賞していた。 僕達の退屈な「現在」などいつの時代も決して変わりなどしない。歴史に残るのは自らの価値観を疑うことなく進んで行く者だけだ。 ※ (この話は空想です。話の中に二水遺稿から徳富蘇峰への二水

超訳 二水遺稿〜1曲目「はじまりはいつも愛」

BGM オフコース「時に愛は」 漢詩人大橋二水の死後出版された「二水遺稿」を読んでいる。 読みながら絵を描きながらタバコを吸いながら酒を飲んで音楽を聴く。そうやって皆さんが二水の世界に僕と一緒にドップリと浸かって頂ければ幸い。さあさ、オフコースの「時に愛は」をかけて! 小田さんの透明な、はじまりは〜は聴こえてきたところで。 漢詩は教養であるが、一方で抒情でもあろう。抒情は、人間だろう。センチメンタリズムであり、優しさであり、弱さであり。 記念すべき第一回目の漢詩を何

詩誌「光」木村 孝夫

「原発復興」 復興という文字を 指で、ときには掌でなぞってみる ささくれのような傷が残っているから ときどき大きく深呼吸する その文字から手を離すと 指や掌には笑顔が転写されて来ない 復興とは緊張の塊だが 小さく微笑む時があってもいい それが少しずつ増えれば この大地と和解できるかも知れない 原発事故から八年目に入ると 帰還困難区域を除く 困難区域が次々と解除されて来たが 安全宣言は出されていない 特例法により 帰還困難区域の一部も 人が住む区域に変わろうとしている 避難

詩誌「光」素潜り旬

『ブリ納豆』 おてんば納豆の五度の回転、君、喪失、絵描きのコンポートならまだしも、さしづめアセンブル、泥んこに成るメシは、飯盒、空気を含んだ言葉は詩を包括する湖になりけり、我名は小判、困らないために  ああ、行方は知らぬ 大きな墓場で  ブリが泳いで こちらを見ている  ブラリ 垂れ下がる 魚体    語り部はLiving dead 立ったまま死んでいる  血が通ったままの詩   交錯する木々はギタアの音   倒錯する スリラ 小粒の大群の思想 『自助の朝』  

詩誌「光」荒木田 慧

「つばめと私」 「そんなことはね」 とつばめが言った 「到底ゆるされるようなことではないよ」 私はつばめにゆるされたいと思った それからふと だれにもゆるされる必要なんてないのじゃない、と思い直して 「でも」 と言いかけたその瞬間 つばめは細いミミズをスパゲティみたいに嘴にくわえ 四月に飛んで行ってしまったので 私はまた ゆるされたいと思ってしまった 「小泉進次郎の選挙カーに轢かれて死にたい」 わたしのいかれた頭には 政治やなんかはわからない わた

詩誌「光」三上 りょう

DOLCEⅡ  「星のかけら」 メイプルの誘惑のせるパンケーキ 一人の棘を溶かす三日月  短めの手紙のようなキスをして 星のかけらは誰かのものに  誰を待つ椅子になりたい?手を振ったあとも余韻の恋を待ちたい  あの人の街に似ている 改札を抜けてまっすぐ まっすぐなとこ  純水のぶどうのなかに隠された「今、会いたい」をみつけたら好き  雨の昼のための本棚を作れば明日あなたの来るワンルーム  キスだけでよかった 今朝を裏切って日曜の言うことはきかない  「潮騒

詩誌「光」特別寄稿 sio.(猫のペコリ造形)

-ポシェット- ペコリみるそら ラムネサイダー お花を片手に ポシェットかけて ペコリみるはな そよぐなでしこ ドアあけお出かけ あちらこちら ペコリおはなし 五線譜ながれて 勇気あなたに お届けしましょう きょうもペコリ 不思議なペコリ あるいていくよ あなたのもとに (sio.) sio. ‘人は空、日々は旅’をコンセプトに心象風景や人物を描き、小さな立体をつくり、コトバを紡ぎます。 命は旅するひとつぶの滴、はじまりとおわりの狭間にある揺らぎの空間と静寂の時間

詩誌「光」末松 努

「呼吸」 手を伸ばし 澄んだ空気をつかまえ 息を吹き返す体と引き換えに くすんだ空気を手放す 日々の呼吸、 透き通らぬ心身を案じながら 世の中は汚れているが わたしは美しいと信じ うまくいかない日常を 美しくない 仕方ない わたしは悪くないと悲嘆しては進みゆく 吸って、吸って、吸って、 吐ききれない思いに過呼吸を起こしながら 美しいものだけで 美しい思いだけで 美しいことだけで 生きてなどいけない そんな世界はないと信じ 美しい世界であれと念じ 捻れた世界に毎夜寝違

詩誌「光」一色 真理

「闇から闇へ」 一行終わるたびに 黒い小さな゜を打ちました 祈るように どうか よく見てください ひとつひとつ それはどれも 死んだ子の 顔ではありませんか? 終わりの連の 最後の行にある「。」 ──それは あの子になる前の 「あの子」の 顔ではありませんか? (ぼく、いない方がいい?) まだ 目鼻のない 小さな「あの子」を わたしは 消しゴムで 消しました。 「てのひらの花」 五つの花弁を持つてのひらが ふるさとの小さな河のほとりに 遠い記憶のように群が