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#34 こすられまくってる埼玉県人の県民性と推しキャラ「コバトン」を語る

#ふるさとを語ろう

埼玉県人の特性については、こすられまくっているネタであることを認識していながら、改めて二つ挙げるとすると、やはり「自虐性」と「地域愛着意識の低さ」だろう。

自虐性については、埼玉を笑の種にした映画「翔んで埼⚪︎」が流行してもクレーム一つせず、むしろ自らもおしゃれをして映画館に赴き、それを観てアッハッハと笑っている、さらには腹の中で「(いじられて)おいしい」と思っている節があることを指摘すれば、もうこれ以上説明することはあるまい。

また、地域愛着意識の低さに関しては、わたし自身が海外で外国人から出身地を問われたら、後々めんどくさいことにならなそうな時はいつも「Tokyo」と答えること、
海外で埼玉県人会に参加したところ、各々が出身の市区町村と高校名を述べた後は、会話がいっこうに盛り上がらず、二回目が二度と開催されなかった経験による推察である。

この「自虐性」「地域愛着の低さ」二つの特性をばっちり具備する埼玉県人の中の埼玉県人であるわたしが、埼玉の魅力を人に伝えようとするのは多少無理があるが、訪れて欲しい観光地や食べて欲しい食べ物の話を何もかもすっ飛ばして推すのが、埼玉県のマスコット・コバトンだ。

コバトンは、埼玉県の県の鳥であるシラコバトをモチーフにした、埼玉県のマスコットである。

コバトン誕生秘話

🔗彩の国埼玉県HPのコバトン

最初は、平成16年に埼玉県で開催された「第59回国民体育大会」をアピールするためのキャラクターとして採用されたのだという。

コバトンのデザインをしたのは当時高校生だった竹腰さん
「コンピュータグラフィックの授業の時間に作って応募しました。だいたい5分から10分くらいで書いたんじゃないかと記憶しています。まあ、よくこれで通ったなって思います(笑い)」。(原文ママ)

🔗竹腰さんが描いたコバトンの原画

と、本人が埼玉人らしく自虐的に説明するコバトンの原画は、なんて味のある絵だろう。
このイラストを描いた作者も好きだし、選んだ埼玉県のセンスと心意気にも感心する。

埼玉県のポスターにガンガン登場するコバトン

イラスト募集時の趣旨説明が、「誰からも親しまれるマスコットイメージ」とあって、街で目にするコバトンは、原画のシュールさが抑えられ、すっかり陽キャの雰囲気だ。

しかし、この陽キャのコバトンはコバトンで悪くない。
まあ、大の鳥好きであるという、わたしの鳥に対する贔屓目が大いに作用してはいそうだが、冷静になってみても、コバトンはよいご当地キャラクターだと思う。

他の都道府県が歴史的人物や名産品を全面に出したキャラクターを採用しているのに、モチーフが「鳩」というのも埼玉らしい。
狭山茶とか吉見百穴とか時の鐘とか深谷ネギとか草加せんべいとか埼玉にもそれなりには名産品や名所があるだろうに、
きっと、どれか一つを埼玉のアイコンとすると、他の埼玉の市区町村から不満が出ると考えたからではないだろうか。

これは世にいう埼玉の東西分断問題に起因している気がする。
電車の路線が縦にばかり発達して、東京への憧れからみなこぞって池袋や新宿へ遊びに出てしまうため、特に県内の東西間、各市区町村の繋がりが薄いのだ。

前述の海外で開催した埼玉県人会で、「(出身は)所沢です」「大宮です」で会話が終了したのもそのためである。

このような希薄な関係性であるがゆえに、どこか特定の場所の名産や名所を埼玉の代表とするのにはコンセンサスが得られず、結果、鳩なら埼玉中どこにでもいるし…という平和的解決がなされたのではないかというのが、わたしの勝手な推測である。
※ただし、コバトンのモデルであるシラコバトは天然記念物で、埼玉にもそうそういない

埼玉は本当にコバトンにとって安住の地なのか

なんかたくさんいる…

さて、このコバトン、公式の説明では性別不明となっているが、最近のポスターにはコバトンの子どもがたくさん登場している。

東京のベッドタウンとしての存在感をアピールしていくためにも、コバトン一家に埼玉に住み着いてもらっているイメージづくりは大切なのだろう。

しかし、だ。

埼玉県・西武線某駅の鳩避け

コバトンたちが微笑むポスターが貼られた埼玉県内の駅舎に、1ミリの隙も許さない「鉄壁」の鳩避けがあるのは皮肉ともいえよう

いや、もちろん、人間と鳩、お互いの幸福のために駅舎ではなく、埼玉の山や林の中に巣を作ってもらいたい気持ちはわかる。

針のむしろでじっと堪え忍ぶ鳩

なんにせよ、針のむしろでも泰然自若の鳩の姿をみて、それもまた埼玉の原風景だなと思ったわたしであった。

おわり

たくましく生きる埼玉の鳩

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