#8 旅と音楽
旅行中って音楽聴いてる?誰かと一緒なら音楽聴いてる暇もないかも知れないけど一人旅なら?いつもと同じプレイリストのまま聴いてるのか、それともその国用に新しいプレイリスト作ったりする?
一人旅のとき、何となく耳がふさがってないのが寂しくて日本にいるときと同じように音楽を聴いて過ごしてた。でもやっぱりいろんな理由で聴かなくなった。
まず安全上の問題。歩行者優先な日本とは違うから外部の音を遮断して歩くにはあまりにも危険だと気付いたこと。交通事故にでもあったら楽しい旅が台無し。あとはスリとか引ったくり、置き引きに遭わないように。香港とか台湾だとヨーロッパなんかに比べたらそういう心配は薄いように思うけど、ちょっと旅慣れてきた頃が一番怖いよね。
街の喧噪こそステキな音楽
あとはその街の音をちゃんと聞きたいなーと思い始めたこと。信号機の音、交通機関のアナウンス、店の呼び込みの声、カフェでの話し声とか。特に香港の信号機の音は無意識のうちに耳に馴染んでいて、テレビの旅番組なんかで流れてきたら即座に反応してしまうようになった。
そういう街の音だけを流すYouTubeとか見たことあるけど、やっぱり大好きな土地は音でいろいろ思い出したりするよね。逆に外国人が日本旅行を懐かしく思うときの音で、ファミリーマートの入り口の音を聞いてる動画を見たことがある。場所が異なるだけで思うこと、やることは世界共通だった。
香港と音楽
大好きな香港映画のひとつに「ラブソング」っていうのがある。レオン・ライとマギー・チャン主演の映画なんだけど、劇中にテレサ・テンの名曲がいくつも流れていてそれがストーリーともマッチしていてものすごく印象的、と言うこともあって、ある時期はテレサ・テンの中国語バージョンの曲をよく聴いてた。
1996年の映画だし舞台はもっと前の1986年が始まりだから、映画の街並みと現在の香港とはかなり変わってしまってるけど映画の気分に浸る感じで香港旅行中も片耳だけで聴いたりしてた。
映画の気分に浸ると言えば香港は聴きたくなる曲が多い。定期的に鑑賞するウォン・カーウァイ映画を見たあとなんかは家の中でサントラを流してたり外でもずっと聴いてたりするから香港行きが決まったときのテンションの上がり方が半端ない。
逆に言うと他の国ではそういうことがあまりなくて、たぶん台湾とか東南アジアの映画をほぼ見たことがないし曲を聞いたこともなくて馴染みもないから。バンコクだと街で流れている曲は欧米のヒットソングが多いから自分が普段聴いてる音楽とほとんど同じだったりする。テイラー・スウィフトなイメージ。
機内と音楽
機内でも自分のプレイリストで聞いてることが多かったけど、ある時のマレーシア旅行で盛大にお腹を壊し滞在中には治まらず帰国の機内も不安で仕方なかったとき、眠るのも怖くてお腹をブランケットで温めながらじっとしてたことがある。
途中、気分を紛らわせたくてたまたま機内エンタメにあったフランク・シナトラ特集を聞いていたんだけど、安定感のある心地よい歌声に癒されたのかだんだん落ち着いてきてたまにウトウトしながら気づいたら無事に日本へ到着していた。それ以来、自分のプレイリストにもシナトラを何曲か入れて機内ではまずシナトラを聴くようになった。
クリスマスが近くなるとマイケル・ブーブレを聴きたくなるのと同じように、マレーシア旅行から数年間は飛行機に乗るとはフランク・シナトラを聴かないと旅が始まらない感じ。ようやく最近は他の曲を聞いたり映画を見たりしてフライト時間を純粋に楽しめるようになれた。
でもこの前、バンコクの帰りにショパンを聞きながら目を瞑ったら信じられないほど深く心地よい眠りにつけたから、次からしばらくはシナトラがショパンに変わる予感。