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私にとっての「ワンルームワンダーランド」

一人暮らし。
そのフレーズそのものが憧れだった学生時代。
実家暮らしだった私からしてみれば「一人で自分を生かしている」その事実が自分よりも遥かに立派で、大人で羨ましかった。

時は経ち、社会人3年目の冬。まだ実家暮らしの私は「ワンルームワンダーランド」を読んだ。一人暮らし100人の生活を切りとったエッセイは私の憧れそのものだった。

ワンルームワンダーランドでは、決して丁寧な生活を映しているのではない。
そこに映っているのは職業も育った環境も年齢も様々な、100人のありのままの生活だった。引っ越してきたばかりの部屋、いつしか自分の心休まる場所になった部屋、何年も暮らしているのに仮住まいのような感覚の部屋…
どの部屋もありのままを映していた。
だからこそ美しくて、愛おしいものばかりだった。

私はこの春、実家を初めて離れる。
私の部屋もワンダーランドになるだろうか。
いや、ワンダーランドになるように、自分自身でしていかなけりゃならないな。
読み終わった頃にはそっと私に「大丈夫だよ、何とかなるよ」と声をかけてくれた気がした。

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