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青をさがしに


「今日どこいく?」
「青、見つけながら海を見に行く。」
「なんだ青って。」
「いいのいの、」
「いこう!」

僕らは電車に乗った。
しばらくして彼女が「ココ」っと座っている椅子をさして
「青みっけ」といって笑った。

「次、律ね。」
「あー、そういうことね。」
「じゃーね、」

僕は足を軽く組んでニューバランスのスニーカーを見せた。


「あ!青いスニーカー、買ったの」
「そう、」

車窓から外を指さして「ローソン」と麻美が耳元でいった。

駅のホームの反対側にとまった京浜東北線。

青い服を着た人。

「あれ、きっと、Dolce & Gabbanaね」
「何で知ってんの?」
「わかんないけど、雰囲気」
「確かに、雰囲気だいじ」

青いキャップ

「なんてチーム?」
「Dって書いてあるから、Dolce & Gabbanaだな」
「確かに」

ロリータファッションに身を包んだ子の宝石みたいな青い爪

税務署の看板

「なんで?」
「確定申告!」
「あーーあー?」
「青色申告」
「白じゃなかった?」
「白なんてないよ」


電車をおりて街の中を歩く。

信号

青アザ

「アリャ、どした?」
「昨日、コケた」
「子供か」

静脈

「血管ですぎっしょ」
「でもほら、手を上に上げれば消えるよ」
「まぼろしか」

朝顔

「くるりの『朝顔』好き」
「あー、あれいいよね」

フィアット500

「あの水色の車?」
「そう、いいよなー」
「うん、なんかかわいい」
「だろう?」
「あれ買ってよ、オンボロだから安そう」
「多分めっちゃ高い」
「あんなのに?」
「人気あるからね」
「へー」

「喉乾いたね」
「うん、」

「ポカリ!」


ふふふと二人で声をそろえて笑った。

コンビニに入ってポカリスエットを2つもってレジに並んだ。

「みてみて、ガリガリくんソーダ味」

「食べる?」

「うん!食べる!」

僕はポカリスエットと一緒にガリガリくんソーダ味を買った。

店の前のベンチに座って、ふたりでガリガリくんソーダ味を食べた。

「ソーダってなんで水色なんだろう」
「イメージじゃん?」
「だってクリームソーダってみどりじゃん」
「それはメロンソーダ」
「それに最近は赤も黄色もある」
「やっぱりイメージ?」
「サイダーは透明なのにね、同じように思うけど」
「きっと最初に『ソーダ』って決めた時に飲んでた透明のサイダーに空が映ってたんだよ」
「なるほど!頭いい!」

ガリガリくんソーダ味の袋をゴミ箱に入れ、歩き出した。

「バイク、あれは、リトルカブだな。」
「ブルーシートかけてあるね。」

カルピス

サーフボード

パラソル

「うみー!!」

「おおおー!!」  

「きたねー」

「うん、キタキタ!!」

「海ってなんで青く見えるんだろ」
「そりゃだって、空が映ってるからだろ?」
「そっか!やっぱ律、頭いい!」
「じゃ!空と海の境目探しに行こう!」
「そんなんどこまでいっても逃げてくよ」
「じゃ、追っかけっこ」


君の目が青くキラキラと輝いているのは君が見ている海のせいだろう。

青をさがす僕らのデートはたのしかった。

僕は彼女の手をにぎった。

ひんやりと冷たかった。


「かえろっか。」

「うん、」
「また来ようね。」
「うん。」




1日の始まりに決めた色を、今日いくつ見つけられるかって始めたら意外とおもしろくて、いつもと違う自分だけの日になった。

昨日久しぶりに海を見て、広くて青い空に包まれて、色があるって本当に心を豊かにするんだなと思って、できたお話。





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