【うたすと】恋する前髪
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
前髪切りすぎた。
昨日のことはほとんど覚えていない。
多分、一方的に別れを切り出されて、モヤモヤイライラして、どうしたらいいかわからない気持ちで無意識に前髪を切ったのだろう。
小学校の時から使っているクマのついたピンク色のあのお気に入りのハサミで。
なるべくおでこを出さないようにいつもまゆげギリギリに揃えて切っていた前髪。
前髪命の私。
その前髪をザクザクと切った?
泣きながら??
鏡なんて見ずにザクザクと???
そしてそのまま寝落ちたか、、
無惨な前髪。
ざんざんばらばらの前髪と
みごとなオン眉。
みごとに、酷い。
「でも、」
窓辺に生けたアマリリスが言った。
『外に出てみてごらん』
玄関を開けるとゆかいな風がやってきて、
風は前髪にふれ、
前髪は申し訳なさそうに揺れた。
いつもの街。
いつもの朝。
いつもの空。
赤から青に変わる信号。
自転車に乗る人。
お掃除をする人。
ぜんぶ、
ぜんぶ、いつもと変わらない
違うのは
私の前髪だけ。
「でも、」
「そう、でも。」
誰も私の前髪が短いことを知らないから。
しばらく歩いても誰も私の前髪なんて気にしてないから。
庭のテラスでスズランに水をあげている女の子。
『ゾウのじょうろ、かわいい。』
その彼女がくるり、とふりかえった。
私の前髪と同じ!
いや、それよりひどい、。
そして、互いに自分の前髪を見上げ。
ムフフ、とわらった。
家から高校生が出てきて
「お兄ちゃん行ってらっしゃい」と彼女が言った。
高校生は自分の妹と私をジロジロと見比べて、
「ともだちか?」
と言って行ってしまった。
恥ずかしくて顔から火が出そうで焦った。
「でも。」
テラスにかかる青色のカーテンが風になびく。
風は、庭のスズランと私の前髪とそして、
私の恋心を揺らしていた。
fin
PJさんのうたすと2!
たのしみにしてました!
今日をまっていましたよー。
青豆ノノさんの素敵な歌詞とPJさんの、さわやかな朝を思わせる曲がとても素敵です✨
この曲を聴いた時、スズランの揺れる音を感じながら、その周りで起っているかわいらしい物語をえがきたいなと思いました。
そしてこの主人公はスズランかな?とおもいきや、青だったり白だったりアマリリスだったりとなんだかスズランのまわりがとてもリズミカルに動いていて心地よいと感じましたので、それぞれを主張せず、日常にあるちいさな切り取りを物語にしました。
最初のイントロはおしゃれですね!
さすが神✨PJさまです!
何度聞いても聞きホレてしまいます。
なので、そこに耳を傾けてもらいたくて、最初のひとことまで、「・・・」で引っ張る、そんな演出をしてみました。
素敵な歌詞と音楽からコロンと転がってでてきたような物語になっていたらうれしいです。
前回のうたすとも豪華でしたが、今回もさらにパワーアップして素晴らしい楽曲になっていますね!
あと2曲もさんかできるかな???
ではでは。
PJさんよろしくおねがいします(`・ω・´)ゞ