【ネタバレあり】ゼンブオブトーキョー
めちゃくちゃ楽しかったー!
脚本自体が凄い良くて、監督の手腕もあって凄い良い映画に仕上がっていたと思います。
ネタバレなしでの感想
まずはネタバレなしでササッと所感を。
多分、企画の発端としては『日向坂4期生で映画を撮る』だと思うのですが、監督、脚本が妥協せずに、良い映画を撮る、が主軸、4期生はあくまで要素、というバランス感だったように思います。
あて書きもされていないそうです。
なので、4期生の元の子の良さが噛み合う子も、逆に良い意味で意外な一面を発揮する子も居て、その辺りも面白かったな、と思います。
そして、4期生は本当に、与えられた役割、キャラクターに凄く真摯に向き合っていた、という印象です。
「あて書きではない」というのは見ていると納得しかなくて、だからこそ、それぞれがどう動くのか、というのを演技で見せていかないといけない。
それでもみんな、その課題に対して、それぞれに説得力を発揮する場面、瞬間がたくさんあって、いつの間にか役者本人ではなく、役の子を好きになっちゃう。
そういう映画でした。
次にりなしのミーグリ行ったら「ちさちゃん!」って呼んじゃいそうだし、「ちさちゃん、よく頑張ったねー…!!」って泣き出しちゃうんじゃないかと。笑
我々、特に自分なんかはやっぱり4期生大好きおじさんなので、めちゃくちゃ期待して行ってしまった訳ですけれども、出来上がりを見て、普通に青春を題材にした映画として、ポップでキャッチーで、それでいて胸を打つ感じは、ファンじゃなくても楽しめるんじゃないかと思います。
だからこそ、おひさま以外にも届いてほしい、と強く思います。
Conton Candy / 急行券とリズム
ネタバレに関係しない部分なので、先に主題歌の良さだけは語っておきます。
めちゃくちゃ好き。
きのこ帝国のサウンドに近いものを感じていて、凄い耳に馴染みます。
きのこ帝国の曲で因数分解すると、『ロング・グッドバイ』と『Girl meets NUMBER GIRL』と『35℃』辺りでしょうか。
全部好きです。はい。
そら好きになっちゃうって。
今はきのこ帝国が活動休止なのでなおさら、久々にこういう疾走感+エモいメロディーの曲が聴けて嬉しかったなぁ。
タイアップじゃなかったとしても凄い好きな曲になったと思うし、だらかこそ、良い映画で好きな映画の主題歌になってくれた事が嬉しい。
そして、ユニエアの特別映像がまためちゃくちゃ良いのね。オフショットも使ったりしてて、凄いエモくてヤバい。
期間限定なのがもったいないなぁ…。
ちなみに、さっき挙げた因数分解の中でも、なぜか一番しっくりくるのはなぜか『Girl meets NUMBER GIRL』という感覚があります。
自分でも不思議。
ネタバレありでの感想
ここからは、配慮しない感想をつらつらと。
役者編
演技力がダントツで賞は、藤嶌果歩
これはもう、文句のつけようがない、と思います。
マジで、かほりんの演技のナチュラルさが凄い。
全画面で違う表情をしている、というのは本当でした。凄い。
ころころ変わる表情が可愛すぎて、ずっと見ていたい。
舞台挨拶のエピソードトークで、あまりにもかほりんの煽り演技が巧すぎたせいで、カットがかかった瞬間、きらりんが「ムカつくー!」って言い出したらしいです。笑
めぐちゃんとみおちゃんの煽り合いのやりとり、めちゃくちゃ可愛かったなぁ。
正源司陽子の演技もかなり良かった
正直に言うと、映画を見るまでは「ちょっとどうなんだろう…」という期待半分不安半分、みたいな構えでした。
『もっと!日向坂になりましょう』のダウ90000さん回の演技で、蓮見さんがちょっと演技に対して物申してた感じが、自分も分かる方だったので不安が半分。
それでも、『日向坂で会いましょう』の書き出し王で見せた一人芝居自体は、あれはあれで完成されている感もあったりするので、それが上手くハマるか、というところで期待半分。
でまあ、最終的な結果として、かなり良かったです。
最初の方で、東京を全部周るぞ!と意気込むところは、ちょっと不安の方の演技だな、っていう印象がありました。
だがしかし。
物語がどんどん進むことで、演技というか、表現する感情がどんどん変わっていき、そこのグラデーションがめちゃくちゃ上手い。
で、最終的に、メンバーの気持ちを考えずに、組んだスケジュールにこだわった自分を反省した、というところの物語の進行を踏まえると、前半の演技が東京へ行く時の"浮かれ気分"の表現としてめちゃくちゃ噛み合っている、という答え合わせのような感覚になりました。
これは本当に、予想外の面白さだったなぁ…。
あと、本当に、池園ちゃんの歩き姿が可愛すぎてヤバい。
みんなとはぐれてから、みんなが来てくれるのを待ちながら一生懸命スケジュール通りに周る池園ちゃんが可愛すぎて可愛すぎて。
しょげこの身長の感じも噛み合ったせいで、一人でてくてく歩いてるだけでもめちゃくちゃ可愛い。
そして、そこから徐々に徐々にテンションが下がっていって、寂しさに押しつぶされろうな感じにキュンが止まらなかったですね…。
日本版しわしわピカチュウ、って感じ。
あの世界に行けたなら、一緒に班のメンバーを探そう!って手を差し伸べてあげたい…。
歩き姿から徐々に哀愁が漂っていくの、本当に良かったなぁ…。
関西弁じゃないだけの小西夏菜実
こにしんの演技も、めちゃくちゃ自然で良かったです。
関西弁封印して標準語になってましたけれども、普通に喋れていて凄かったな、と感心しました。
舞台挨拶のエピソードトークでは、関西弁のイントネーションが染み付いてるから、どうしても訛ってしまって大変、という苦労話が出てきましたけれども、(編集、撮り直しを挟んでいるのを省いてすらも)全然そんな風に思えなかったのでビックリしました。
そして、序盤、花里さんに「クールで格好良い!」に、後ろをちょっと振り返った状態でニヤっとしてから正面に向き直して、背中で隠しきれない喜びを表現してたところはシビれました。
平尾帆夏の"味"
演技的にはちょっと喋り方が不自然っちゃ不自然かなー、っていう感じはあるんですけれども、その代わりコメディーの舞台だとめちゃくちゃ映えそう、という期待も同時に感じさせる味があって面白かったです。
池園ちゃんをあやのっちから遠ざけようとした時の「クサい」とか、あやのっちのカミングアウトの「きちぃーーー!!!」とか、そういう面白ポイントが凄い映えました。
あと、説田ちゃんに合流する時、一人エスカレーターに昇って、そのまま駆け下りてくるマナー最悪ムーブをしれっと入れ込んでくるところが、さすがひらほー先生。(アドリブですよね?)
あやのっちを"きちぃ"とか言ってるくせに、その後もしっかり一緒に行動してたりするし、そもそもあやのっちストーキングしてきたりと、かなり自由人な花里さん。その自由度はひらほー先生の遊び心に比例してるのかもしれませんね。
パンケーキの生クリームを口に付けてるのが花里さんっぽい、っていうのは、思い返せば確かに!ってなりました。
竹内希来里の顔面力
めぐちゃんとの見事な掛け合いを演じきったみおちゃん役のきらりんも良かった。
前日の中継番組で、みんなが可愛い、っていうのがめっちゃ分かりました。
きらりんは普段、それはもう、めちゃくちゃニッコニコのスマイルが可愛すぎる子、という印象が強いと思うんですけれども、グラビアの顔の綺麗さ、切れ長のおめめの美しさに結構ドキッとすると思います。
無料で見られるのでぽかぽか写真館を貼っておきますけれども、そこから更に大人っぽくなった写真がBRODY2024年12月号にもありますのでこちらもぜひ。
で、そのきらりんがみおちゃんという役を通して、めぐちゃんとバチバチにやり合っている、というところで、怒りや不満、煽りなど、色々と負の感情を表現しております。
これが、ベースの顔立ちの良さとめちゃくちゃ相性良くて、怒り顔も可愛くて良かったです。
渡辺莉奈の説得力
ちさちゃん、写真が無いと勇気が持てない、という弱々しさが、4期生で一番落ち着いているりなしに対してめちゃくちゃ乖離しているな、と感じるんですが、それでも見終わった頃には「ちさちゃん、よく頑張ったね…!」という気持ちを、そのままりなしのミーグリでお届けしたくなるくらい、良かったなぁ…。
涙を出す事は多分出来なかったっぽくて、それで直接的に"泣く"という描写にはなっていなかったです。
けれども、写真が取り上げられてしまった苦しさがこちらに伝わってきたし、オーディションに向かう時には、みんなのお陰で本当の一歩目を踏み出せたような、その吹っ切れた感じも良かったです。
役柄編
説田ちゃん可愛すぎる
一挙手一投足が愛らしくてやばかった。
最初にぽぽまるず班に合流する際に駆け寄る姿が凄いキュートでしたし、UFOキャッチャーを頑張るところの横から覗き込むところとか、凄い良い顔してました。
あとは、最初の限定シャツの作戦立案が指揮官として完璧なところも良かったです。
4種4枚16枚を最高の結果として設定しつつも、一人1枚の4枚入手が最低限の戦果としてラインを引いていたのが良かった。
これを事前に設定、共有していたので、若菜ちゃんが整理券をもらえなかった事や、茜ちゃんが駅で迷って早々に戦線離脱した事も、想定の範囲内として仲間を責めず、頑張れる子が頑張る、を貫き通したところのリーダーシップがお見事でした。
そして、Tシャツ4枚ゲットに池園ちゃんが関わっていたという事で恩を忘れずに、スマホ奪還大作戦に全力で乗っかってくれる心意気。
本当、良いキャラしてたなぁ…。
あと、個人的に、サマーニット大好きなので、そういうところも可愛かったです。
そしてそして、エンドロールで、浅草の顔はめパネルを池園班で撮った写真が使われてるんですけども、そこでしっかり、説田ちゃんだけ隠れていて、そんなところで中の人がしっかり負けムーブしてくるところもまた良きでした。
完全アウェーなはずなのに自然に輪に加わる脅威のカメレオンキャラ、ゆめちゃん
あやのっちの東京の友人、という事でカフェ班として行動するゆめちゃん。
そのまま池袋に居た説田ちゃんに合流し、"ブクロのプライズクイーン"としてその本領を発揮した訳ですが、そのまま池園ちゃんの呼びかけにまで参加していって、最終的には海にまで紛れ込む、という役どころが面白かったです。
しまいには舞台挨拶で「海のシーンで、他校の子なのに一番はしゃいでました」と暴露される始末。
それでも、あやのっちのカミングアウトを促したりとか、スマホすり替え作戦のキーアイテムを獲得したりと、重要な立ち回りもあったりして、しれっと美味しいところで美味しいところも良かったです。
メガネみっちゃん可愛い。
♡あかね♡
LINEのユーザー名も個性を考えた名前に設定しているなー、って思いましたけれども、やっぱりその中でも、茜ちゃんの♡で挟むの、解像度高くて笑いました。
迷子になって早々に脱出を半分諦めちゃうところも可愛かったです。
説田ちゃんのところでも触れましたけれども、最初に説田ちゃんが戦果に対しての最低限の線引きをしたので、迷い続けていてもそれはそれでOK、という感じで許された結果、のんびり迷ってるところが、茜ちゃんやミイラ取りがミイラになった若菜ちゃんたちにとってはたまったもんじゃないでしょうけれど、外から見ている分には可愛かったです。
あと、二人で疲れてしゃがみ込んじゃうところが好き。
たまに駅に居る!っていうところの共感が面白かったです。
若菜ちゃん、萌絵ちゃん
この二人は出番の少なさがもったいないなー!っていう感じがありますね…。
ビジュはめちゃくちゃ好きなので、そこが特にね…。
りーお、やっぱりおでこ出てると可愛いなぁ、って思うし、はるはるとギャルの親和性の高さも良き。
でも、ぽぽまるず班は別行動開始の合図がNARUTOの"散ッ!!"でちょっとオタクっぽいのが地味に好き。
ストーリー関連
本当に、ストーリー進行で徐々に徐々にしょぼしょぼしていく池園ちゃんが良かったなぁ…。
みんなのために良かれと思って行動したのに、それが結果空回りしちゃって。
だから、意地になってるというか、でも自分の計画は完璧だ!って信じて回っていって。
それでも、どこか無意識のところで、楽しめてない感じを薄っすら感じてしょぼしょぼしていって…。
だから、ちさちゃんのために、自分のスケジュール表を破って、みんなと一緒に行動しようと決心するところでグッと来てしまう…。
今、思い出しながら書いてて、また涙が出てきてヤバい…。
最初に班行動で、こっそり他の子たちがバラバラになる機会を伺っていて、ここぞとばかりにみんなで別れてしまったけれども、ここで身体がバラバラになっただけじゃなくて、ジワジワと心の距離感まで離れていくのが、めちゃくちゃ苦しい…。
ドタバタコメディーで来る、と構えていたら、なんというか…意識的な悪意じゃない、些細なすれ違いで孤独を感じていく構図がしれっとエグくてグサグサきました。
でも、だからこそ、良い映画だなぁ、って思うところはあるんですが。
ちゃんと青春の"成功"だけじゃなくて"失敗"をセットにしてるのが良いですね。
空回りするからこそ、一丸となるところが良いし、逆に、覚悟を決めたちさちゃんは、それでも間に合わないですし。
それこそ、説田ちゃんのところに来たブクロのプライズクイーンは結局失敗しますしね。アレだけストーリー進行でお膳立てされていて、どう見ても成功フラグだったのに。
ただただ順風満帆のハッピーエンドではなくて、人生はいろんな事があって、良いことも悪いこともどっちもやってくるんだよ、という一生ついてまわる現実の問題を、ちゃんと映画の登場人物にも課して、それでもどう生きていくか、という部分をクローズアップしていて、それが大人になった自分にも、というか、なったからこそ?響いてきたなぁ、と。
ストーリー進行パズル
映画を見ながら、『428 ~封鎖された渋谷で~』というゲームを思い出しました。
これは渋谷を舞台に登場人物が複雑に絡み合う物語の、名作として名高いノベルゲームです。
このゲームは、ストーリーを読み進めていくと、ちょいちょいゲームオーバーになるんです。
それが、例えば主人公Aの物語を進めている途中、実は主人公Bや主人公Cの行動が遠巻きに関わっていて、途中に出てくる選択肢を切り替え、主人公BやCの行動を変えると、それにつられて主人公Aの行動が切り替わり、物語を進められるようになります。
うろ覚えですが、ゲーム番組のプレゼンで『物語の交通整理』と表現されていて、凄く的確で良い表現だな、と思います。
この映画も、東京を舞台にしつつもそこそこ散らばっているので、あの行動(主に池園ちゃん)が遠回りに自分に返ってきているのが良いですね。
特にぽぽまるず班の1限Tシャツを、その場に3人しか居ないのに4枚ゲットした、という話で池園ちゃんが出てきたのはめちゃくちゃ激アツでした。
自分の組んだ予定に固執したことで、一人寂しく東京を周るはめになった、と言えますけれども、でもそれをした事で、みんなが協力してくれるきっかけにもなりました。
そういう因果関係のパズルも、見ていて楽しかったです。
嘘をついたっていいじゃん
実際、そんな事あるか?みたいなところも結構あるな、と思ったりはするんですが、物語の進行のためにしれっと嘘をついて「それはいいじゃない」で済ます剛腕も、自分は結構評価しています。
それくらい取捨選択がハッキリした映画だな、と。
ゆめちゃんがたまたま通りかかった後、ずっと着いていくのとか、学校どうしたん?って話ですし。
ちさちゃんは早く着きすぎた…って言って時間潰そうとするけども、横に普通にオーディション受付は始めてるし。
そもそも、東京は狭いけど人間に対しては広いので、そんな簡単に都合よく出会えないでしょう、って話だったりしますし。
でも、そういうところは別に現実に寄り添わなくてもいいよね、っていうのは同意なので、バッサリと見なかった事にしていくところは好感が持てました。
そして逆に、しれっと、例えばタクシーに乗って到着した池園ちゃんと入れ替わりでタクシーに乗るひぬけんとか、妙に現実的っぽい演出を挟んだりして強度を上げてたりするのも平行してやってくるから強い。
まとめ
大満足。
普通に円盤買う気満々です。
やっぱり、青春物としての強度がしっかりあると感じるので、だから、日向坂に興味ない人でも楽しめると感じます。
ただの一致団結して何かを成し遂げるサクセスストーリー、なんかではなくて、すれ違っていく苦さをベースにしている群像劇。
ただただ、物語の発端やシナリオのベースと、演じているのが日向坂4期生なだけで、4期生目当てで見なかったとしても、きっとどこか、見る人の過ごした青春にもリンクするような要素が見つかったりするんじゃないかな、と。
なので、口コミとかで、もっともっと広く、多くの方に見てもらえると嬉しいな。
自分は自分で、副音声のオーディオコメンタリーも聞きに行くのが楽しみです!
おまけ
ちさちゃんの応援に向かうバスのシーン、どう見ても普通に私語で会話してるよなぁ、って思ったら、案の定、本来はオフショットだったそうです。
台本にはちゃんとセリフが書かれていたそうですが、そのカットがかかった後の会話を採用された、とか。
他にも、あやのっちがトイレで棒に頭をゴンと打ちながらうなだれるシーンも、実は意図してなかったらしく撮り直しもあったものの、打つ方が使われてビックリしたとか。
花里さんの生クリームもそうですけれども、シーンや演出も、凄くテキパキと取捨選択してる印象がありますね。
そういう、事前決定も大事だけども、ちゃんとグルーヴを活かす、という感じが画面からも伝わってくるのが好きです。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?