(左手)ドケルバン病〜やっと…次へ…(リハビリ中)〜なのにまさかの(右手)バネ指発症(2)
今度は…右手…そんな…
でも
大丈夫
だって
私には
やさしい主治医の先生が
いるから
…と思っていたが
まさかの
先生からの
言葉が待っていた
「本日は左手ドケルバン病の手術後の受診ですよね」
「右手は別物ですから
診てほしいなら違う日に予約を入れ直してください」
別物?ってどう言うこと?
左手も右手も
私の体の一部
別物であるわけがない
まとめて
わ・た・し …だ
左手を長年庇ってきて
今…右手が悲鳴を上げているに違いない
この悲鳴を伝えているだけなのに
左手を治療してくれた先生だからこそ
その過程をふまえて
右手の痛みに
応えてくれるのではないの?
左手と右手は…別物って…
自分の体を左右に引き裂かれたように感じる
心が…ズキンと…痛い
今日は
少し
イラッとしてきたような表情の
手術前はあんなに…やさしかった主治医の先生は
これでもかというように
言葉をたたみかける
「手術後に説明しましたよね」
「あなたの腱鞘は生まれつき…めずらしい形状だった」
「腱鞘炎になることは運命だった」
「あなたは腱鞘炎体質なんですよ」
「だから 右手が同じようになるのは…仕方がない」
「腱鞘炎は痛みと付き合ってすごすしかないんですよ」
「治したいなら手術しかないと言いましたよね」
「あなたはどうしてほしいんですか」
右手の受診日ではないから?
先生は
私の右手を
触るどころか
見ようともしなかった
私は
「ありがとうございました」と
頭を下げて
診察室を出て
待合室の椅子に座り込んだ
おそらく
やさしかった主治医の先生の豹変に
現実を受け止められず
ボーッと呆けたようにしていたのだろう
その様子を見て
傍らにいらした看護師さんが
声をかけてくれた
「…大丈夫ですか?」
「あ…はい…」
私は
左股関節変形症と
左膝半月板損傷の既往があり
経過をみながら
どちらもいずれは手術になる
確かに
いままでだって
同じ病院なのに
股関節はA先生
左膝はB先生
そして手は「手外科」のC先生
パーツによって先生が異なる
専門性が求められる整形外科
それぞれを極めている専門医に診てもらうのは安心
なのに
どうして
左手と右手は「別物」って言われたことが
こんなに
悲しいのだろう
あ…
受診した時間は
もう夕方だった
先生はいくつかの手術を終え
満員の外来診察を次々にこなし
私は
今日の最後の外来患者だった
だから
先生は疲れていたんだ
そうそう
人は疲れていたら
余裕がなくなるもの
やさしい言葉なんて
かけていられないはず…
そうそう
あのやさしかった主治医の先生は
きっと
今日は
疲れていただけだ
今度会うときは
やさしい主治医の先生でいてくれるはず
そうに違いない
絶対そうだ
私は
リュックをを背負い直して
すっくと
立ち上がり
リハビリ室へ向かった