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剥がれた鱗
ぱらぱら、ぱらぱら
重たい鱗、きらきらと光り剥がれていく
動きずらかった体と心
この先できっと軽くなるはず
少し痛くて、鱗の向こうにある真新しい肌に触れたくて
剥がれかけの鱗をちぎって落とす
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棲家を間違え、長い時間漂っていたもの
水の中で生きる為には要りもしない鱗が必要だった
故郷に帰りたいと、帰り道を探しはじめてから
鱗は少しづつ減って行き
残りの鱗が見窄らしくぶら下がっていた
鱗の擦れ合う音が嫌だから
群れで泳ぐのは苦手
でもね、残りの鱗を剥がす為の答えは一つだけ
痛くて、痛くて、恥ずかしくて知ることがある
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一枚、二枚、三枚…
ぱらぱらとこれまでにないスピードで鱗が剥がれて行く
鱗の先の見ないようにして来た白い肌は滲みて痛い
岩の影に隠れてしまいたい
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息をして
吸って、吐いて
壊して、割って
ボロボロの鱗
剥がれた先は、もっと軽く
水面の向こうに帰りたい
▼ akaiki×shiroimi 作画など
Kotoba to shiroimi