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優先席の意義【お題:優先席の微世界先生#毎週ショートショートnote】
優先席は誰を優先するのか。
かつて人類がいた頃は高齢者や妊婦等が対象だったようだが、人型ロボットだけの今の世では、立っているのもツラいという個体はいない。
ロボットたちは困っていた。
優先席が不要なら廃止すればいいのだが、従来の図面通りに製造するプログラムが依然として残っているので、彼らは首をかしげながらも昔のままの列車を製造し続けている。
しかし、そうした状況についにメスが入れられる。
連日連夜の会議の末、優先者を新たに探すことが決まった。焦点が当たったのは微世界の住人である。ロボット以外で座席に座るというか存在するのが微生物だけだったからなのだが「あんなに小さくても頑張って生きていて、偉い。」と誰かが言った。
この発言に、早く会議を終わらせたい者たちが乗っかった。呼称を「先生」として尊敬の対象とし、微世界先生を優先者とすることが全会一致で承認された。
その後はと言うと、先生の上に座るわけにはいかず、誰も使わなくなった優先席が空席のまま相も変わらずに残っている。
了(437文字)
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