スイートルーム考
四苦八苦(しくはく)業と言われる宿泊業。でも楽しいこともある。その一つは、部屋をつくっている時。
出来て、お客様が喜んでくださったら嬉しい!そのような部屋のアイデアや設えを考えている時が一番楽しい。
2階・・・
御所坊には建設年代によって3つのブロックに分けている。そのブロックの名称は御所坊の漢詩に出てくる言葉から取っている。
現在改装中のブロックは翠巒御坊(すいらんごぼう)と言って、緑の山々が見える界隈という意味。といっても山々が見えない部屋もある。どちらかというと御所坊の価格帯では安い部屋だ。建設時の部屋の大きさはそのままで、現在では少し狭い。
今回、3つの部屋を1つの部屋にする改装を行っている。それも2部屋。つまり6部屋を2部屋にするので、御所坊の部屋数は4つ減ることになる。
まずは2階部分を解体し、改装を開始していてコードネームを“2階”と呼んでいる。ちなみにもう一つは“1階”だが、こちらはGW明けに解体を行う予定にしている。
翠巒御坊 地久
翠巒御坊の客室は合計9室あり、部屋のグレードはすべて地久(ちきゅう)と呼んでいるスタンダード。
ちなみにスーペリアは中庸(ちゅうよう)デラックスは天楽(てんらく)という名称をつけている。
写真をご覧いただいてわかるようにモダンな黒っぽい雰囲気にしている。と言ってもこのようにしたのは35年以上前の事だ。しかし今回の改修も色調やイメージは継承したいと考えている。
心楽(しんらく)
丹波の西山酒造場は、同じ無方庵の綿貫広介先生の門下生。
先生が亡くなったので部屋の名称はつけてもらえなかったが、存命ならば「心楽」とつけてくださったと考えている。なぜならば西山酒造場の一番高価な酒、天楽の上の酒が「心楽」だからだ。
「こころたのしい」とも読み、気分が楽しい。愉快という意味になる。
心楽の客室は地久の客室を3室使用しているので100㎡を越える。客室料金を考える際に㎡あたりいくら・・・と決めるのだが、廊下の広さは含まれない。でも3室を1室にした場合、元廊下も含む部分もあるので、今までの3室の面積以上に広い客室になる。
解体してみたら・・・
ふつう何もないと狭く感じるのだが、結構広い。
もともとは昭和30年代初めに建てられた部分だが、たぶん昭和45年の大阪万博に向けて親父が風呂を建物から張り出してつくったんだと思う。
2部屋分風呂の出っ張りの部分がある。しかし部屋から見る景色を遮る。
この無用な部分をどのように活かすか!?
マイナス部分をプラスに持っていければ上下大きい!
そこで思い出したのが神戸の異人館。
異人館を外から見ると出窓がある。右側は上から見ると台形だが、左側の出窓は上からだと四角だ。つまり外観上は左のようにすればよい。
内側はソファーを配置して、ヌックな空間が作れないか!?
お客様が、お茶やゲームを楽しんでいる姿が絵にならないか!?
浴場は1/3
部屋の30%ぐらい浴場スペースを取ると、広い浴場に感じる・・・と亡くなった設計士が言っていた。だから御所別墅の部屋は100㎡あり、浴場部分は1/3を占めている。
今回は一部屋分を浴場スペースにすれば、貸切風呂ぐらいの広い部屋の風呂になる。
浴槽につかっているとしての目線の高さから写真を撮った。
右側の窓の部分と壁を撤去すれば、桜の季節は向こうの善福寺の糸桜が見えると思う。
九鬼家家老屋敷
有馬は三田の九鬼家の所領だった。
三田には九鬼家の家老屋敷が残っている。壁を撤去した後、そとからはどのようにしたら良いのか!?
神戸の異人館ではなく、九鬼家の家老屋敷を参考にしようと考えた。
日本建築にバルコニー・・・
このように白くはないが、瓦屋根には合うんじゃないかと思っている。
まだまだ考えることはある。
廊下をできるだけ活用しようとすると、部屋の入口の位置や場所が問題なのだ。何か面白い解決策の例として、「マ、ニッチ、ヌック」に記載した。
全体が黒っぽかったら陰気にならないか?
どこかに色を加えるか!?
まだまだ楽しい作業が残っている。
https://note.com/shirobe15th/n/n469385d090ba