加速主義用語早見表
加速主義は(特に海外のブログ圏では)専門用語や略称が多いので、各種用語を思い出したり簡単に理解しておいたりするために主要なものをいくつかごく簡単な解説付きで並べてみました。海外文献読むときなどの参考になれば。不正確な点などありましたらご指摘下さい(なお定義論争にはここでは立ち入りません)。
・加速主義(Accelarationism, Acceleration, Acc)
→資本主義(資本主義リアリズム)はあらゆる抵抗を飲み込みその自己強化に用いる(=領土化/最領土化)という認識の上、脱領土化を促し資本主義を拡大することで(右派や左派などによってその形は異なるが)ある種の先/未来に到達しようとする考え。明確な定義は存在しない性質上、多くの議論を呼び続けている。
・右派加速主義(Right Accelarationism, R/Acc)
→脱領土化の先の社会変革について、シンギュラリティへの到達を主目的とする思想。現実的な政治との関係では政府の縮小を掲げることが多く、一般的にはより極端になると新反動主義に接続される。
・左派加速主義(Left Accelarationism, L/Acc)
→資本主義リアリズムの哲学により重きを置き、脱領土化の先の社会変革について、人類の労働からの解放を理想とする思想。ドゥルーズらのテクストの解釈について、よりマルクス主義的な立場を取ることが多い。
・無条件的加速主義(Unconditional Accelarationism, U/Acc)
→加速主義の議論において、あらゆる条件を設けない(さまざまな立場の思想を引き込む)思想。加速主義マイナス政治、という風な包括的な立場を取る。今や大部分の哲学を放棄して政治的になりすぎ、当初の原動力(force)を喪った左右の加速主義の根源に迫ろうとする試みと捉える人も多い。
・ゼロ加速主義(Zero Accelarationism, Z/Acc)
→これ以上の資本主義の進行(加速)は社会のキャパシティを超えることになり、緩やかな崩壊に繋がるだろうという前提のもと、悪化の裏にはどこかに好転があるはずだとしてそれを模索する思想。ある種の反-加速主義のようなもの立場とする者もいる。
・ジェンダー加速主義(Gender Accelarationism, G/Acc)
→加速主義理論や、それにおける「脱領土」「器官なき身体」といったドゥルーズ政治哲学における概念などをジェンダー論に応用した思想。一般的にはより極端になるとゼノフェミニズムに接続される。
・黒人加速主義(Blacceleration, Bl/Acc)
→黒人の歴史と在り方にはそれ自身既に加速主義的な性質があるとする思想。主に人種資本主義の観点から加速主義、または資本主義自体を論じる。
・新反動主義(Neoreaction, NRx)
→既存の西洋的価値観をカテドラルと称して敵視し、R/Accを発展させ資本主義の絶対的な支持と促進の末に大量の「参政権なし、離脱自由(No voice, free exit)」な小規模都市国家(シンガポール等の開発独裁国家が例に挙げられる)が乱立する社会を理想とする思想。白人至上主義と関連性が強く、オルタナ右翼が主な支持層。