オンラインコミュニティの運営と発展について
オンラインコミュニティとは、共通の目的や利益を求めてオンライン上で交流するための場・つながり(コミュニティ)のことです。インターネットやSNSの発展により、オンラインコミュニティは多様化し、企業や個人のマーケティングや教育などにも活用されています。
この記事では、オンラインコミュニティの運営や発展について、以下の内容を解説します。
オンラインコミュニティの種類と特徴
オンラインコミュニティの作り方と運営方法
オンラインコミュニティの発展のためのポイント
オンラインコミュニティの心理学
オンラインコミュニティの種類と特徴
オンラインコミュニティには、様々な種類があります。ここでは、代表的な6つの種類を紹介します。
企業コミュニティ
ファンコミュニティ
オンラインサロン
ナレッジ共有コミュニティ
趣味コミュニティ
地域コミュニティ
それぞれの種類には、以下のような特徴があります。
企業コミュニティ
企業コミュニティは、企業が自社商品やサービスに関心を持つ顧客と繋がるために運営するコミュニティです。企業コミュニティでは、会員限定の情報やクーポンなどを提供したり、商品に関する意見やフィードバックを収集したりします。企業コミュニティのメリットは、以下のような点が挙げられます。
顧客ロイヤリティや満足度を向上させる
顧客ニーズや課題を把握し、商品開発に
商品の魅力や使い方を伝え、購買意欲を高める
口コミやレビューを増やし、認知度や信頼性を高める
顧客同士のコミュニケーションを促進し、ファンを育成する
企業コミュニティの成功事例としては、カゴメ株式会社が運営する『&KAGOME』が有名です。カゴメ商品を活用した料理レシピを投稿する場を設けたり、人気投票を行ったりと、カゴメのファンを醸成する仕組みがたくさん設けられています。
ファンコミュニティ
ファンコミュニティは、特定のブランドや人物が好きな人(ファン)が集まったコミュニティです。ファン同士が集まって非公式に運営されるケースと、企業自身がファンとの交流を目的として運営されるケースの両方があります。後者は企業コミュニティでもあるといえます。ファンコミュニティのメリットは、以下のような点が挙げられます。
好きなことを共感できる仲間と繋がれる
最新の情報や限定的なコンテンツを入手できる
ファン同士の協力や競争で楽しみやモチベーションが増す
ファンコミュニティの成功事例としては、スターバックスコーヒーのファンコミュニティである『スタバホリック』が有名です。元々ファンの多いスターバックスコーヒーですが、スターバックスの魅力を語り合う場として1万人近くが参加する大規模なコミュニティになっています。
オンラインサロン
オンラインサロンは、主に個人や著名人が主催している、WebやSNSを基盤とした会員制コミュニティです。クローズドな場で、共通の話題に対して意見を交換したり主催者が配信するコンテンツを閲覧したりします。オンラインサロンでは参加者に月額使用料を支払ってもらうケースが一般的です。趣味に限らず経営や営業など、ビジネスにおける思考方法やノウハウを学ぶ場としても活用されています。オンラインサロンのメリットは、以下のような点が挙げられます。
カリスマ的な主催者と近い距離感で接点ができる
専門的な知識や情報を得られる
同じ志向や目標を持つ仲間と刺激し合える
オンラインサロンの成功事例としては、西野亮廣さんの『西野亮廣エンタメ研究所』が有名です。2020年9月時点で会員数が7万人を突破するなど、単なる個人のファンクラブの域を超え、オンラインサロンの名を世間に広めることに成功しています。
ナレッジ共有コミュニティ
ナレッジ共有コミュニティは、参加者の質問を参加者が回答することで、ナレッジを共有し合うコミュニティのことです。代表例としては、Yahoo!知恵袋やWikipediaも該当します。コミュニティ内のやり取りはオープンにされていることが特徴で、コミュニティ外の人たちにも広くナレッジが共有されています。ナレッジ共有コミュニティのメリットは、以下のような点が挙げられます。
自分の知らないことや疑問に答えてもらえる
自分の知っていることや経験を他人に教えることができる
様々な視点や意見に触れることができる
ナレッジ共有コミュニティの成功事例としては、Stack Overflowが有名です。Stack Overflowは、プログラミングに関する質問と回答を集めたサイトで、世界中の開発者が利用しています。質問や回答に対して投票やコメントができる仕組みで、信頼性や参考性の高いナレッジが生まれています。
趣味コミュニティ
趣味コミュニティは、共通の趣味を持った人たちがFacebookなどのSNSを通じてつながるコミュニティです。運営の主体は個人がメインです。ファン同士で集まるコミュニティという点ではファンコミュニティの要素も持ち合わせています。Facebookのグループ機能が趣味コミュニティでよく活用されているプラットフォームです。様々な趣味のコミュニティが規模の大小問わず存在しています。趣味コミュニティのメリットは、以下のような点が挙げられます。
好きなことを共感できる仲間と繋がれる
趣味に関する情報やアドバイスを得られる
趣味に関するイベントやオフ会に参加できる
趣味コミュニティの成功事例としては、ものくろキャンプ & Kitchen Beeが有名です。ものくろキャンプ & Kitchen Beeは、キャンプや料理を楽しむ人たちが集まるFacebookグループです。グループ内では、キャンプ道具や料理レシピなどを紹介したり、キャンプ場や飲食店などを紹介したりします。また、グループ主催のキャンプイベントや料理教室なども開催されています。
地域コミュニティ
地域コミュニティは特定の地域の人たちがつながりあうコミュニティのことです。元来はオフラインでの交流がメインでしたが、新型コロナウイルスの影響もありオンラインでの交流も増えています。地域のニュースや課題などを情報共有して、地域を活性化したり、ご近所付き合いのような良い繋がりが生まれることを目的としています。地域コミュニティのメリットは、以下のような点が挙げられます。
地域に関する情報やサービスを得られる
地域に住む人たちと仲良くなれる
地域の問題や課題に対して協力や提案ができる
地域コミュニティの成功事例としては、ピアッザ(ご近所SNS)が有名です。ピアッザは、自分の住んでいる地域に関する情報や話題を共有できるSNSです。ピアッザでは、地域のイベントや子育て、介護、おすすめのレストランなどの相談などができます。また、地域の仲間と一緒に遊んだり勉強したりするオフラインイベントも開催されています。
オンラインコミュニティの作り方と運営方法
オンラインコミュニティを作るには、以下のようなステップが必要です。
コミュニティの目的とターゲットを明確にする
コミュニティを運営するプラットフォームを選ぶ
コミュニティに参加してもらう仕組みを作る
コミュニティ内でコンテンツやコミュニケーションを提供する
コミュニティの成果や課題を分析し改善する
それぞれのステップについて詳しく見てみましょう。
コミュニティの目的とターゲットを明確にする
オンラインコミュニティを作る前に、まずは自分が何のためにコミュニティを作りたいか、どんな人たちに参加してほしいかを明確にする必要があります。コミュニティの目的とターゲットは、コミュニティの方向性や内容を決める上で重要な要素です。目的とターゲットを明確にすることで、以下のようなメリットがあります。
参加者にとって価値あるコミュニティになる
参加者にとって魅力的なコミュニティになる
参加者にとって居心地の良いコミュニティになる
コミュニティの目的は、自分が達成したいゴールや解決したい課題を具体的に定めることです。例えば、「自社商品の販売促進」「ファンとの交流強化」「スキルアップやキャリア開拓」などが考えられます。コミュニティの目的は、参加者にとっても価値や意義が感じられるものであるべきです。
コミュニティのターゲットは、自分が想定する参加者の属性や特徴を具体的に定めることです。例えば、「自社商品に興味がある20代~30代の女性」「西野亮廣さんのファンでエンタメに関心が高い人」「プログラミング初心者で学習仲間を探している人」などが考えられます。コミュニティのターゲットは、参加者にとっても共感や親近感が感じられるものであるべきです。
コミュニティの目的とターゲットを明確にするためには、以下のような質問に答えてみると良いでしょう。
自分は何のためにコミュニティを作りたいか?
自分が達成したいゴールや解決したい課題は何か?
自分が想定する参加者はどんな人たちか?
参加者がコミュニティに求める価値や意義は何か?
参加者がコミュニティに感じる魅力や共感は何か?
コミュニティを運営するプラットフォームを選ぶ
コミュニティの目的とターゲットが明確になったら、次にコミュニティを運営するプラットフォームを選ぶ必要があります。プラットフォームとは、コミュニティ内でコンテンツやコミュニケーションを提供するためのオンライン上の場所やサービスのことです。プラットフォームは、コミュニティの目的やターゲットに合わせて選ぶことが重要です。プラットフォームを選ぶ際には、以下のような点に注意しましょう。
参加者が利用しやすいかどうか
コミュニティの目的に沿った機能やサービスがあるかどうか
コストやセキュリティなどのリスクが低いかどうか
プラットフォームには、以下のような種類があります。
ブログ(WordPress, Hatena Blog, Mediumなど)
オンラインサロン専用サービス(CAMPFIRE Community, BASE CONNECT, noteなど)
それぞれのプラットフォームには、以下のような特徴があります。
SNS
SNSは、最も一般的で手軽なプラットフォームです。参加者が多く、拡散力や認知度も高いです。しかし、SNSでは他の情報や広告と競合するため、参加者の注目を引くことが難しい場合もあります。また、SNSの運営方針や仕様が変わることで、コミュニティの運営に影響を受ける可能性もあります。SNSは、コミュニティの目的が参加者の獲得や拡大にある場合や、参加者が気軽に参加できるようなコミュニティに向いています。
メールマガジン
メールマガジンは、メールアドレスを登録した参加者に定期的にメールを送るプラットフォームです。メールは直接参加者の手元に届くため、注目度や信頼度が高いです。しかし、メールマガジンでは参加者同士のコミュニケーションが難しい場合もあります。また、メールアドレスの登録や解除などの管理が必要です。メールマガジンは、コミュニティの目的が参加者に情報や知識を提供することにある場合や、参加者が深く関心を持っているようなコミュニティに向いています。
ブログ
ブログは、自分の考えや知識を文章や画像で発信するプラットフォームです。ブログは自由度が高く、自分の個性や特徴を表現できます。しかし、ブログでは参加者の反応やフィードバックが得られにくい場合もあります。また、ブログの更新や管理には時間や労力がかかります。ブログは、コミュニティの目的が自分の専門性や信頼性を高めることにある場合や、参加者が質の高いコンテンツを求めているようなコミュニティに向いています。
動画配信
動画配信は、自分の様子や知識を動画で発信するプラットフォームです。動画配信は視覚的でインパクトがあり、参加者とのリアルタイムなコミュニケーションもできます。しかし、動画配信では機材や環境などの準備が必要です。また、動画配信の時間や内容には工夫や工夫が必要です。動画配信は、コミュニティの目的が自分の魅力や個性を伝えることにある場合や、参加者が楽しみや感動を求めているようなコミュニティに向いています。
チャット
チャットは、参加者同士がテキストや音声や画像でやりとりするプラットフォームです。チャットは気軽でスピーディなコミュニケーションができ、参加者のコミュニティ感や属属感が高まります。しかし、チャットでは情報の整理や管理が難しい場合もあります。また、チャットの参加者や発言にはモデレーターなどの監視や指導が必要です。チャットは、コミュニティの目的が参加者同士の交流や協力にある場合や、参加者が気軽に参加できるようなコミュニティに向いています。
オンラインサロン専用サービス
オンラインサロン専用サービスは、オンラインサロンを作るために特化したプラットフォームです。オンラインサロン専用サービスでは、会員登録や料金徴収などのシステムが用意されており、オンラインサロンの運営に必要な機能やサービスが揃っています。しかし、オンラインサロン専用サービスではプラットフォームの利用料がかかる場合もあります。また、オンラインサロン専用サービスではプラットフォームのカスタマイズ性が低い場合もあります。オンラインサロン専用サービスは、コミュニティの目的が参加者に有料で価値あるコンテンツやサービスを提供することにある場合や、参加者が高い関心やモチベーションを持っているようなコミュニティに向いています。
コミュニティに参加してもらう仕組みを作る
コミュニティを運営するプラットフォームを選んだら、次にコミュニティに参加してもらう仕組みを作る必要があります。コミュニティに参加してもらう仕組みとは、以下のようなものです。
コミュニティの紹介ページやランディングページ
コミュニティへの招待方法や手順
コミュニティへの入会条件や規約
コミュニティへの入会料や月額使用料
コミュニティに参加してもらう仕組みを作る際には、以下のような点に注意しましょう。
コミュニティの目的とターゲットを明確に伝える
コミュニティへの招待方法や手順を簡単にする
コミュニティへの入会条件や規約を適切に設定する
コミュニティへの入会料や月額使用料を適正に設定する
コミュニティ内でコンテンツやコミュニケーションを提供する
コミュニティに参加してもらったら、次にコミュニティ内でコンテンツやコミュニケーションを提供する必要があります。
コンテンツとは、自分が発信する情報や知識などのことです。コミュニケーションとは、参加者同士や自分と参加者とのやりとりのことです。
コンテンツやコミュニケーションを提供することで、以下のようなメリットがあります。
参加者に価値や満足感を与える
参加者の関心や関与度を高める
参加者のコミュニティ感や属属感を高める
コンテンツやコミュニケーションを提供する際には、以下のような点に注意しましょう。
コンテンツは参加者のニーズや課題に応えるものであること
コンテンツは参加者にとって有益で魅力的なものであること
コンテンツは参加者にとって分かりやすく視覚的なものであること
コミュニケーションは参加者にとって気軽で楽しいものであること
コミュニケーションは参加者にとって刺激的で有意義なものであること
コミュニケーションは参加者にとって尊重されている感じがするものであること
コミュニティの成果や課題を分析し改善する
コミュニティ内でコンテンツやコミュニケーションを提供したら、次にコミュニティの成果や課題を分析し改善する必要があります。
コミュニティの成果や課題を分析し改善することで、以下のようなメリットがあります。
コミュニティの目的に対する達成度や効果を測定できる
コミュニティの問題点や改善点を発見できる
コミュニティの品質や価値を向上させることができる
コミュニティの成果や課題を分析し改善する際には、以下のような点に注意しましょう。
コミュニティの目的に沿った指標や目標を設定する
コミュニティ内で発生するデータやフィードバックを収集する
コミュニティ内で発生するデータやフィードバックを分析する
コミュニティ内で発生するデータやフィードバックから改善策を考える
コミュニティ内で発生するデータやフィードバックから改善策を実行する
オンラインコミュニティの発展のためのポイント
オンラインコミュニティを作り運営していく中で、コミュニティを発展させるためにはどうすれば良いかという疑問が生じるかもしれません。
オンラインコミティの発展とは、コミュニティの目的に応じて、以下のようなことを意味する場合があります。
コミュニティの参加者数や活動度を増やす
コミュニティの参加者の満足度やロイヤリティを高める
コミュニティの参加者の成果や貢献度を高める
オンラインコミュニティの発展のためには、以下のようなポイントが重要です。
コミュニティの目的とターゲットを常に意識する
コミュニティの価値や魅力を常に伝える
コミュニティの参加者に対して常に感謝や尊重を示す
コミュニティの参加者に対して常にフィードバックやサポートを提供する
コミュニティの参加者に対して常にチャレンジや成長を促す
オンラインコミュニティの心理学
オンラインコミュニティを運営する上で、参加者の心理や動機づけなどを理解することは非常に重要です。オンラインコミュニティにおける心理学的な要素としては、以下のようなものがあります。
参加者は自分と似た人たちとつながりたいという帰属欲求がある
参加者は自分がコミュニティに貢献していると感じたいという自己効力感がある
参加者は自分がコミュニティに必要とされていると感じたいという承認欲求がある
参加者は自分がコミュニティから得られるものと与えるもののバランスを考える
参加者は自分がコミュニティに対して責任や義務を感じることでコミットメントが高まる
オンラインコミュニティにおける心理学的な要素を理解することで、以下のようなメリットがあります。
参加者にとって魅力的で価値あるコミュニティを作ることができる
参加者の行動や反応を予測しやすくなる
参加者の動機づけや関与度を高めることができる
参加者の満足度やロイヤリティを高めることができる
まとめ
この記事では、オンラインコミュニティの運営や発展について、以下の内容を解説しました。
オンラインコミュニティの種類と特徴
オンラインコミュニティの作り方と運営方法
オンラインコミュニティの発展のためのポイント
オンラインコミュニティの心理学
オンラインコミュニティは、共通の目的や利益を求めてオンライン上で交流するための場・つながりです。
オンラインコミュニティを運営するには、コミュニティの目的とターゲットを明確にし、適切なプラットフォームを選び、参加してもらう仕組みを作り、コンテンツやコミュニケーションを提供し、成果や課題を分析し改善するというステップが必要です。
また、オンラインコミュニティを発展させるには、コミュニティの目的とターゲットを常に意識し、価値や魅力を伝え、感謝や尊重を示し、フィードバックやサポートを提供し、チャレンジや成長を促すというポイントが重要です。
さらに、オンラインコミュニティにおける心理学的な要素を理解することで、参加者にとって魅力的で価値あるコミュニティを作ることができます。
オンラインコミュニティは、インターネットやSNSの発展により、多様化し、企業や個人のマーケティングや教育などにも活用されています。
オンラインコミュニティは、自分の興味や目標に合わせて参加したり作ったりすることができます。
オンラインコミュニティに参加することで、自分の知識やスキルを向上させたり、仲間との交流や協力を楽しんだりすることができます。
オンラインコミュニティに興味がある方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。