とっても不穏な兎と亀。4/5
兎は息が切れ、もう限界に近づいていた。
自分がいつから走っていたのか、ここが何処なのかさえ分からなくなっている。
目眩を感じて、ついに膝をついた。
何者かに追われているかのような感覚はもうなかったが、兎はもう二度と自分の家に帰れないことを悟っていた。
目の前に大きなトンネルが見える。
先程までは無かったはずなのに、まるで最初から存在していたかのようにそこにあった。
一度そのトンネルに入れば、もう戻って来れないかもしれない。なんとなくそんな予感がしたのに、兎は真っ直ぐトンネルに向かって歩き出した。
兎はもう、自分が何処に帰ればいいのか分からなくなっていた。
次回 → 8月4日(金)です