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40代で「機動戦士ガンダム」を初めて見た感想【2025/2/19】
私は40代後半。
テレビで「機動戦士ガンダム」(いわゆる「ファーストガンダム」と呼ばれるシリーズ)を見たのは、まだ幼い日のこと。
もちろん話の内容なんか全然分かっていないし、他のロボットアニメと区別がついてたかどうかすら怪しいのですが。
というのも、当時はSF系ロボットアニメの全盛期だったのです。
おそらく年齢的にアニメを見るようになったのが70年代後半からなので、覚えているのは
・機動戦士ガンダム
・鉄人28号(第二期)
・鉄腕アトム(第二期)
・ゴールドライタン
・タイムボカンシリーズ(ヤッターマン)
このあたりですね。
宇宙戦艦ヤマト(たぶん再放送)も好きだったなあ。森雪の四肢が動く小型フィギュアが超お気に入りでした。
同時期に人気だったスーパー戦隊も大好きだったし、今考えたら本当におてんば少女。
フィギュアやら剣やらのおもちゃが大好きで、幼稚園の男の子とチャンバラごっこばかりやってたのをよく覚えてます。
さてそんな私ですが、正直ガンダムのストーリーをまったく知りません。
当時2~3歳なので当然ですが、それでもオープニング曲とタイトルで流れる音楽は本当によく覚えています。(「翔べ!ガンダム」は名曲ですよね!)
夫をはじめ、同世代の男性方は「あれは見るべき!とても深いアニメだ!」と口をそろえて言いますが、大人になるにつれロボットアニメ自体に興味もなくなり、見る機会もないままズルズルと40代後半まで来てしまったというわけです。
そんな時、チャンネル登録しているR藤本さんのyoutubeにこんな動画がアップされました。
ベジータがカイジにガンダムを解説するといういろんな要素盛り込みすぎの謎動画ですが、私は「ガンダム知らない側」なのでカイジに共感出来たし、R藤本さんの解説も分かりやすくてとても興味深かったのです。(ただこの動画の途中でもうガンダムが見たくなったので、ネタバレ回避のため1/3くらいのところでいったん止めました。あとでじっくり見ようと思います)
その後ネトフリやアマプラでガンダムシリーズが視聴可能と知り、「よっしゃ、この機会にファーストガンダム全話見てみるか!」となったわけです。
というわけで、ここから「機動戦士ガンダム」全43話を見た感想です。
けっこう長い期間かけたのでうろ覚えの部分もあり、ざっくりとした感想です。
※ガンダム好きの息子もときどき隣で一緒に見ていました。(大まかなあらすじは知っていても、全話じっくり見たことはないようです)
・はじめに
まず驚いたのが、ホワイトベースの主要メンバーがほとんど民間人であるということ。
いやマジでそこからなんです。全然知らなかった。
しかも全員、切り替え早すぎ、順応性高すぎ、有能すぎ、頼もしすぎでこれまたびっくり。ひとりくらい、どうしようもないクズがいたっておかしくないのに。
フラウ・ボゥだって最初はキッズのお世話係的な役割だったのに、後半ではしっかり通信士みたいなことやってるし。目の前で家族を亡くしてるのに、強いし健気すぎよほんと。
私があのメンバーの中に入ったら無能すぎて船を下ろされそうだわ。
…まあ、その原動力がすべて「生き残るため」という非日常であるからこそなんだろうけど。
みんなシゴデキだしコミュ力高いし、現代だったら間違いなくそれぞれの部署で出世街道まっしぐらなんじゃないかな。
・かわいそうな主人公アムロ・レイ
アムロはメカオタクの少年だったんですね。
ガンダムに乗る経緯も結局「勝手に乗り込む」だったのが笑えました。(初見のでかいロボットを、説明書読んだだけで操縦してしまう恐るべきメカオタク)
ガンダムの開発者が彼の父親だということも初めて知りました。(アムロがぶたれたことのない親父ですね)
ネット界隈ではよくネタになっているアムロですが、私が見たところでは、ネタにするのもためらうほどの「かわいそうな少年」でした。
アムロの心理描写はすごいですね。少年の揺れ動くガラスのハートがとてもリアルに表現されています。
ガンダムに乗ったことで彼の人生は大きく変わり、自業自得とはいえ「ガンダムを操縦できる唯一のパイロット」として、ただの民間人の少年に責任が重くのしかかってきます。
離れ離れになった両親との再会もうまくいかず、つらく悲しい思い出に苛まれるアムロ。
初恋の人も頼れる兄貴分も失い、しまいにはガンダムのパイロットという立場まで失いそうになるアムロ。
ひとりの青年の成長物語という側面もあるのでしょうが、見ていてつらい。つらすぎる。
ホワイトベースの全員が大きなストレスの中で疲弊してるのは分かるんですけど、アムロに関してはあまりにも不憫すぎる。
何かあるたびすぐガンダムガンダム言うのなら、みんなもうちょっと優しくしてあげてよ。
・苦労人ブライト・ノア
あと気になったのは、ブライトさんですね。
彼は一応軍人とはいえ、素人の民間人をまとめている姿はとても頼もしい。
素晴らしいリーダーだと思いましたが、こちらも頑張りすぎていて途中から心配になりました。(結局倒れたけど)
だから個人の負担大きすぎるのよ。
しかもこんなに頑張っているのに、本部はホワイトベースのことをおとり扱いしたり、ほとんど気にかけてない感じなのがほんと頭にくる。
こういうところは実際の戦争でも同じなのだろうと思うと切ないですね。
・女性陣の恋愛模様
女性陣については、セイラさんだけ恋愛絡みのストーリーが無いのが意外でした。いちばん美人なのに。
ミライさんがモテモテなのは、40代の今なら理解できます。若い頃に見たらきっと「なんでミライさんなの?」って思ってたはず。
ちなみに息子に「モテモテなのセイラさんじゃないんだね」と言ったら、「そりゃそうでしょ、性格キツすぎるもん」と言っていました笑
モテたい女性は、ミライさんを参考にするべきだと思います。
ただこのアニメ、恋愛的要素をほとんど描かないので、急にブライトさんが「俺はいつまでも待ってるよ」と言い出したり、急にミライさんがスレッガーとキスしたり、急にシャアとララァがキスしたりするので本当にビックリします。心の準備ができない。
あとフラウ・ボゥがマチルダさんに近付きたい一心のアムロに嫉妬する場面もいいですね。
マチルダさんのところへ行こうとするアムロに「トイレはそっちじゃないでしょ!」みたいなこと言うシーン、リアルだわぁ…
・マスク姿の赤いカリスマ
シャア・アズナブル。赤い彗星。
この人のことは、ほんとよく覚えてるんです。
めっちゃカッコよかったんですよね、あの赤いスーツ&マスク姿が。子供心に痺れまくってました。昭和世代であれが嫌いな子供はいないと思う。(もちろん今も好き。素晴らしきキャラクターデザイン)
当時はそのいでたちから何となく彼が悪役なのだろうとは感じていたけど、こうしてちゃんとストーリーを見ていくと、彼が悪役だなんて全く思えません。外見で損するタイプよね。
まあそうは言ってもフレネミー(友を装う敵)を演じてガルマ・ザビを消したり、やることはちゃんとやってるんだけど。
でも隠れて敵を偵察しに行くような時でも頑なに目立つ赤色を着ていっちゃうような人だから、決して悪い人ではないはず。
そういえばセイラさんと兄妹だという設定も、(視聴者には)だいぶ序盤に判明してましたね。セイラさんだいぶ居づらくなるはずなのに、肝が据わっている。だからモテないのかな(失礼)。
一番驚いたのは、終盤で素顔のアムロと出会うシーン。
車のタイヤが泥にはまって抜け出せないアムロを助けてあげるシャアは、普通にいい奴でした。
あんな高性能のロボットとか使って宇宙戦争してるのに、車からロープ出してきてけん引してくれるそのへんのおじさんみたいな行動がアンバランスでとても良い。
相手がアムロ・レイだって名乗ってるのに全然ピンと来てないところも可愛いではないか。
この人の魅力は外見だけじゃないな、と思いました。
(それなのにファースト以降素顔を出すのがデフォルトになった途端、一気に冷めてしまうのはなぜなのかしら)
・戦争の中での人間らしさ
先ほどのアムロとシャアの件もそうなんですけど、戦争という殺伐とした状況の中で、救いのようなシーンが時々あるんですよね。
ホワイトベース内の民間人たちが一斉に下船した時、子連れの母親に支援物資のようなものを投下してくれた敵の兵士がいましたよね。その後、傷ついた兵士をその母親が手当てしてあげていたり。
そうだよね、みんな普通の人間で、戦争なんて本当はしたくないんだよね…と思うと切なくなります。
「ククルス・ドアンの島」というエピソードもそうですね。
息子によるとこのエピソードは一話丸ごと映画化されているそうで。
映画は見ていないですが、最後にガンダムがドアンのザクを海に沈めるシーンは印象的でした。そういう解決方法なのか…でも今後もし何かあったら防衛手段がないけどどうするのかな、と思ったりもしたけど。
この作品では、たとえ戦争中であっても実は個人レベルで見ると誰もが人間らしい(人間くさい)というか、人としての愛や誇りは保っているんだなと感じます。
そこがアニメとして愛される理由なんでしょうね。
・戦争という残酷さ
またその一方で、カイとミハルのエピソードはとても悲しい結末でした。
ミハルの最期は、ちょっとゾッとしましたね…
素人にミサイル発射させるなんてこと自体が無謀なのだけど、そうも言っていられない状況だったか。
ミハルの残された弟たちはどうなるのかな、と思うとさらに心が重くなってしまいます。
本当にさ、なにやってんの大人。
おわりに
個人的な感想ですが、描き方は違えどテーマとしては「はだしのゲン」や「火垂るの墓」とほぼ同じだと考えてます。
SFファンタジーの中に、しっかりと紛れ込んでくるリアリティ。
回を追うごとに、ああこれはロボットアニメじゃなくて戦争アニメなんだなって思うようになりました。
そして何度も言いますけど、初代ガンダム本当にカッコいい。
シンプルなのに安定感のあるデザインで、ごちゃごちゃしてない。
昭和世代だからか?今流行りの細マッチョよりゴリマッチョ体系のロボットに惹かれるのですよ。バランス的に顔も小さすぎない方が良い。
ちなみに私高校生の頃ルーズソックス履いてましたけど、自分がガンダムになったみたいで嬉しかったです(伝われ)
ラストシューティングの場面はちょっと泣きましたよね。
あのくらいになると、自動操縦とはいえガンダムが自分の意思を持って動いてるんじゃないかって錯覚してきます。
しかし「我が生涯に一片の悔い無し」みたいな決めシーンかと思いきや、あんなわずか一瞬だとは思いませんでした。
スローとかコマ送りにしないと分からなくない?
あの一瞬がここまで名シーンとして広く認知されていることを考えると、ガンダムオタクの底が知れません。
それでは、数年前に息子の付き添いで行ったお台場と横浜のガンダム写真を最後に置いときます。
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で。
ミノフスキー粒子って、何?
おわり。