お気に入りコーヒーカップに金継ぎ
先日、お気に入りコーヒーカップの取っ手が、突如とれてしましまいました。
カップにお湯を入れている最中から、小さな「ピキッピキッ」という音が聞こえたので気になっていたのですが、まさか取っ手がとれてしまうなんて…。
お気に入りのカップだっただけにそのまま捨てるには忍びなく、なんとか再生できないか補修を試みましたが、市販の接着剤ではうまくひっつきません。
どうしようかと思案していた時、はっと思いついたのが「金継ぎ」でした。
「金継ぎ」といえば、戦国時代の武将であり茶人として有名な古田重然(ふるたしげなり)さん。
「古田織部」という名の方がどちらかといえば知られているかも…。
この人物、豊臣秀吉さんの茶堂や徳川秀忠さんの茶の湯指南役にも抜擢され、茶道の流派のひとつ「織部流」の創始者でもあります。
織部さんが十文字に茶碗を切り、漆で再接着した金継ぎ技法を駆使して完成させた「大井戸茶碗 銘須弥」は有名で、当時の人々を大いに驚かせたといわれています。
このような技法を使うことを「剽げる(ひょうげる)」といい、その技法を使った織部さん自身や作品は「ひょうげもの」と呼ばれたそうです。
関心のある方は、「へうげもの」という漫画で古田織部さんが主人公として登場しますので、詳しくはこちらをご覧ください。
グーグル先生で検索してみると、家の近くで開催されていた金継ぎ教室がヒット!早速予約して先日参加してきました。
準備品は、当日取っ手のとれたコーヒーカップと服が汚れないためのエプロンのみ。
それを持って教室に行くと、生徒さん2名が既に破損した食器を片手に金継ぎをされていました。
今回私が先生に習った金継ぎは「簡単金継ぎ」といって、漆など昔からの材料を使って行う「本金継ぎ」とは違い、合成の漆や接着剤を使ったものです。
出来上がりの見た目はほとんど「本金継ぎ」と変わらず、比較的短時間で完成させることができるのがメリットです。
ちなみに私のコーヒーカップは、取っ手の部分だけの修復でしたので1時間程度で完成しました。まず手順としては、合成漆と接着剤を混ぜ合わせたものを、破損した取っ手の断面に塗りカップ本体にひっつけます。
そのまま10分程度取れないように手で押さえ固定し待ちます。
時間が経つと、接着剤が溢れて固まった部分をカッターナイフで綺麗にそぎ落とすように削りとっていきます。
そして平坦に削り取った部分に、上から細い筆で金粉を混ぜた接着剤?を置くように乗せながらゆっくりと金継ぎを施していきます。
完成するとこんな感じになります。
元のコーヒーカップ自体の釉薬が同色だったこともあり、あまり目立ち過ぎず、ひとつのデザインのように見えて個人的にはいい感じに修復できましたなぁ思います。
あとは3日程度乾かして置くと、再び以前のように使えるようです。
今回、思いのほか簡単にでき使用材料も教えてもらえたので、次回何かの拍子で割れたり欠けたりした食器が出たら、自宅で自分一人で直してみようと思います。
金継ぎは、金色だけでなく様々な色でも行うことができるようなので、破損した食器に合わせて選ぶと自分好みの食器にすることもできるので、よければ皆さんも一度挑戦してみてください。