氷夏(ひょうか) 【散文詩】
もう7月だっていうのに、夕立のように降る雪、夏なのに雪が溶けてなくならないのが不思議でしょうがなかった、夕立が洗っていった西瓜をもいで夏、雪の結晶が差し出した両手に当たっては消える、地面に置いた西瓜も汗をかいている、この景色を遠くから見たらきっと、夏を待ち焦がれた一輪の紫陽花が満開に咲いているように見えるだろう、幻想的、その一言で笑うきみと、そうだね、その一言で頷くぼくの言葉を小さな風が運ぶ、まるで、ぼくたちは冷蔵庫で冷えて待つサイダーのようだね、冷凍庫で待つ氷菓も忘れないでと笑う、こんな景色、身体よりも心が震える、そんな夏の景色だ。どうせ掴めない雲よりも、どうせ頬を濡らすだけの雨よりも、どうせ通り過ぎるだけ風よりも、ぼくたちは雪を待っていた、ぼくたちもいつかは大人にってしまう、それまではこうして、夢や幻も超えて手を繋いで、今このすべてを何も知らない明日へと繋げよう。
きみのために風は吹いている そう思えるのはきみのかけがえのない生活が、日々が、 言葉となって浮かんでくるからだと思う きみが今生きていること、それを不器用でも表現していることが わたしの言葉になる 大丈夫、きみはきみのままで素敵だよ 読んでいただきありがとうございます。 夜野