しろの母。ちぃちゃん。
さっき、ちぃちゃんから電話があったのでちぃちゃんの事を書く。
ちぃちゃんは、私の母だ。
母はその時代にはめずらしく、バリバリ働く人だった。
そして、おばあちゃんになってもよく話し、よく笑う。
さっき、電話越しにちぃちゃんは言った。
「みんな元気ー!?こっちは元気!」
声だけで元気そう。
ちぃちゃんは、意欲の塊のような人で、最近では
「地球をキレイにする」
と言って、ビニール袋とゴミをつまむハサミを持って近所の周りやコンビニ付近までキレイにする。
「家の周りがキレイやと防犯になるねん。やっぱりちゃんとしとかなアカンで。網戸もピシッと右か左にしとかんと、中途半端に網戸が開いてる家は狙われやすいねん」
とちぃちゃんは言った。
ちぃちゃんは、まあまあ面白い。
私が実家住まいの時の話。
ちぃちゃんはまだ50代だった。
水屋(食器棚)の引き出しを開けたら、一枚の白い紙が出てきた。何やら書いてある。
「どろぼうさんへ
うちにはこうかなほうせきるいや、
おかねはまったくありませんので、そうっとげんかんからでていってください」
と書いてあった。
(おかねは全くないし、玄関から出ていけって…笑 もう、入ってしまってるんやから、なんか盗るやろ…笑)
紙に書いてある字を読んでいる私に、横からちぃちゃんが言った。
ちぃ「ええアイデアやろ。外国の人もひらがなやったら読めると思わへん?」
私「泥棒さんが、家に入る前に阻止できるアイデアを考えた方がええんちゃう?
もしかしたら、ひらがなは読まれへんかもしれんで?」
ちぃ「泥棒さんは…せやな。英語の方がええか…。英語で書こか。中国語もいるかな…。」
私はすかさず言った。
「いや…!違う違う。泥棒さんは、家に入らんようにお願いします…。」
もはや家宅侵入罪の窃盗犯を『泥棒さん』とさん付けしている時点で、もうちょっとどうかしてると、今noteを書いていて気付いた。
話を聞くと、隣の家に泥棒が入ったらしく、引き出しに入れてあった現金が盗まれたそうだ。
だからちぃちゃんは必死なのだ。
「あぁ、それもそうやな。
お父さーん!ちょっとコーナン(ホームセンター)行こ!
有刺鉄線買いに行こ!」
切り替えも早い。
そう言って、コーナンへさっさと買い物に行き、夫婦で軍手をして門やら柵やらにグールグルと有刺鉄線を巻き付けて、防犯対策をしていた。
ちぃちゃんと、私の父は笑いながら楽しそうに作業しているが、巻き付けているのは有刺鉄線だ。ここは戦地か。
(セコムちゃうんや…。
まぁ、うちには、高価な宝石類や現金は無いから、有刺鉄線でええな)
と思った。
そんな思い出を思い出した。
ちぃちゃんは先程の電話で、近所の誰かがまた一軒引っ越した。このままやと過疎になる。親戚の誰々から電話があったなど、私に一通り報告をして電話を切った。
元気そうでなりよりだった。
また、ちぃちゃんの思い出話が出てきたら書こうと思う。
おわり。
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