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ヴィレッジヴァンガードの福袋を買ってみた。

正月である。福袋が欲しい。

福袋を買って後悔することは目に見えている。それはこれまでの経験から分かっている。火を見るより明らかなほど、福袋は買ってがっかりする。

思い出されるのは「福袋なんてそんなたいそうなものじゃなくて、正月がっかり袋じゃないか」と涙を飲み、枕を濡らした過去。

ただ、やらない後悔より、やって大成功ということを年末のM-1グランプリを見て学んでしまった。

だから今年も福袋を買ってみた。

どのお店の福袋にしようか迷ったが、ヴィレッジヴァンガードで購入することに決めた。何が入っているか予想もつかない点では、他の店の福袋の追随を許さない。そこに大きな魅力を感じて決断したのだ。

ヴィレッジヴァンガードでは、カラフルで派手な柄の福袋もたくさん売っていたが、ここはあえて「warning」「danger」と書いてある黒と黄色のものを手に取った。


なぜなら、危険を乗り越えた上でしか成功は手に入らないと私は考えているからである。リスクなしでは、リターンは得られない。
そうやってこれまでも生きてきたではないか。
今さら生き方を変えられるもんか。

とにかく、挑戦無くして勝利なしと、私は2025年はじめての勝負をヴィレッジバンガードに挑んだ。
いや、これはヴィレッジヴァンガードとの闘いでもあると同時に自分との闘いでもある。
2025年こそ己に負けないという誓いとともに、ヴィレッジヴァンガードの福袋を開封した。

まず出てきたのがこれである。

ミニオンだ。これは誰がどう見てもミニオンである。ミニオン以外の何物でもない。これがミニオンでなければ、私は今後、何を信じて生きていけばいいのだろうか。

ミニオンといえば世界的有名キャラクターである。これは大当たりのはずである。誰もが知るキャラクターを引き当てるとは、我ながらやってくれる。新春からロケットスタートがきれたようなものだ。

ぬいぐるみ好きの息子(5歳)に「ミニオンが出てきたよ!欲しい?」と聞くと「いらない」と即座に答えたのだが、息子はきっと父(私)の運の良さに恐れ慄いて、思わずそのように返答してしまったのだろう。びっくりさせてしまって息子にはほんとうに悪いことをしたが、新春からツキまくっている父を許して欲しい。

そして次はこれである。

これは何だろう。

誰もがそう問いたくなることを予想していたのか、タグに「jolie doll」と書いてある。ジョリー・ドール。これはリカちゃんやジェニーちゃんの親戚だろうか。
リカちゃんの叔父さんの息子のお嫁さんくらいの遠い親戚なのだろうか。

遠い親戚にはお正月くらいしか会うことがないという事実のメタファーとして、このような人形が福袋に入っていたのだろうか。

いや、私が無知蒙昧なだけで、ジョリー・ドールはきっとレアな人形なのだろう。その界隈の人からすればきっと喉から手が出るほど欲しい商品のはずだ。きっとこれが福袋から出てきたと知ったその界隈のマニア達は、驚きを隠しきれないだろう。Xで「福袋からジョリー・ドール」というワードがトレンド入りするかもしれない。

私はとんでもないものを引き当ててしまったようだ。

息子に「ジョリー・ドール欲しい?」と聞くと「なんか怖い」と答えたのだが、きっとこれは福袋から伝説のジョリー・ドールを引き当てた、父への畏怖の念から出た言葉だろう。

これは調子がいい。次に出たのはこちらだ。

トリのスクイーズである。二つも入っていた。一つだけでも十分ありがたいのに二つも袋に投入されていたのである。もし、この福袋を買ったのが二人きょうだいの家庭だったとしても、二つ入っていれば喧嘩にならないだろう、そんな配慮が嬉しい。
新春から人の温かみを感じることができた。
今年もどうやら人に支えられて、人の優しさのおかげで、なんとか生きていけそうだと気持ちが上向いた。そして、人は一人では生きられない、自分の力だけで生きているなんて思うのは、おこがましいことなんだと学ぶことができた。

実際にうちはミニオンとジョリー・ドールを「いらない」と言った息子のほかに、娘(小1)もいる。トリのスクイーズが二つ入っていたおかげで、無用な諍いが避けられたのだ。
そして、二人ともこのトリのスクイーズには興味をもった。
ただ、トリのスクイーズの裏には、壁に向かって投げるとくっつくというような説明書きがあり、これを娘と息子が壁に向かって投げまくると妻が怒り狂う未来が到来することが確実である。

私は娘と息子に「また今度遊ぼうね」と優しくいい諭して、そっと「danger」の袋の中に戻した。

そしていよいよ最後の商品である。これこそメインイベントだ。これまで無類の運の良さを見せつけてきた私は、最後にどんな素晴らしいものをゲットしてしまうのだろうか。己が怖くなりつつ、そっと「danger袋」から最後の品を取り出した。

これである。千葉ロッテマリーンズのサウナハットだ。私はサウナ好きである。しかし、サウナハットは持っていない。これまでサウナハットなんて必要ないと思っていたのだ。
ここでサウナハットを引き当てるということは、今後はサウナハットをかぶるようにという神の啓示だろう。そうでなければ、サウナハット不必要論者である私に対してのアンチテーゼだ。
どちらにしろ、これからはサウナハットをかぶってサウナに入った方が良さそうである。

新春からまさか私のサウナの入り方に、一石を投じられるとは思っていなかった。この意外性、思わぬ角度からの提案、予想すら出来なかった気付き、これこそ福袋の醍醐味である。
2025年はサウナハット啓蒙協会の伝道師になろう。多くのととのえない人をととのうように導くのだ。

そして、私はカープファンなのだが、カープのサウナハットではなかったのは、きっとカープだけでなく、野球界全体にも目を配れという教えでもあるのだろう。私はそういえば、カープが好きすぎてやや近視眼的になりつつあり、カープ至上主義になりすぎていた。カープももちろんいいが、他のチームにも素晴らしい選手がたくさんいることを忘れかけていた。

この機会に里崎のYouTubeチャンネルを見て今年は、日本の野球界全体について見識を深めよう。

2025年の抱負が決まった瞬間だ。

このように私にとってヴィレッジヴァンガードの福袋は多くの気付きを生む、貴重なものであった。2000円でここまでを学びを深めてくれるのであれば安いものである。

来年は絶対に福袋なんて買わないという誓いと共に、明日はサウナに出かけることにした。

おしまい。

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