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ブックレビュー 嫁ハンをいたわってやりたい ダンナのための妊娠出産読本

妊娠出産関連は、個人的にフワフワした内容の本が多くある印象です。
主な読者が女性だからかもしれません。これはタイトルにある通り、妊婦の旦那さんに向けて書かれた本。男性は勿論、妊娠・出産を正しく理解したい女性にも参考になると思います。

255文字所感

この本を読んだ理由

妊娠したことをきっかけに、夫婦で正しい知識を得たいと思ったからです。
”夫婦で”というのがポイントで、同じ本を読んで共通認識を持ちたかったのです。
ただ、夫は活字アレルギー。薄くてわかりやすいものを・・・と探していたらこの本がヒットしました。

ポイント①お産のリスクを正しく理解する。いざ産むときより、妊娠期間の方にこそリスクはある。

日本では「お産で死ぬリスクは交通事故で死ぬリスクと同等かそれ以下」
(本書より引用)

「出産は命がけ」という言葉をよく耳にします。

南米では妊産婦の死亡率が高く、文字通り「命がけ」のようですが、日本でお産する場合は過度に心配する必要は無さそうです。

それよりも、妊娠期間中のリスクこそ正しく理解しておく必要があると感じました。

例えば、流産。
医学的には「22週よりも前に妊娠が終わること」と定義されているようですが、妊娠全体の15%に起こり得ます。8週頃までに心拍が確認できてもまだ安心は出来ないのですね。

本書を読み、これらも流産に含まれると理解しています。

・子宮外妊娠(卵管など子宮以外の場所に受精卵が着床してしまうこと)
・稽留流産(出血や腹痛などの自覚症状はないが、発育が停止している状態)

リスクは他にもあります。

・切迫流産(流産一歩手前の状態)
・持病(特に心臓、呼吸器系)のある女性の妊娠
・妊娠高血圧症候群
・妊娠糖尿病
・母親が35歳以上の所謂高齢出産。(妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、持病率、赤ちゃんの染色体異常の確率が高い)

妊娠はハッピーと沢山の不安がセットなんだなと感じました。
かく言う私も切迫流産で入院・手術を経験したこともあり、実際に妊娠してみると不安を感じることの方が圧倒的に多いです。

ポイント② 妊娠は子供と出会う命がけの旅

だって、旅に連れがいるのに、お互いしゃべらないなんて、おかしいでしょう?
連れとともにしゃべりまくって、なんだかんだとトラブルや意見の相違を乗り越えて、進んでいく。それは子供と出会うための旅なのだと。
(本書より引用)

以心伝心はあり得ない。二人の子どものことなので、たくさん議論せよ。ということが述べられています。

私も夫とたくさん、特に出生前診断には時間をかけて話し合いました。
・出生前診断について肯定派か否定派か
・受けるか受けないか
・受ける場合はどういう検査をどの病院で受けるか
・検査結果が陽性(染色体異常の可能性が高い)の場合どうするか
etc...

他にも子どもの教育方針、今後の家族計画についても。
通わせる学校は私立か公立か?きょうだいは作るか?などなど。

子どもをきっかけに、お互いの価値観を擦り合わせたり、妥協点を探る時期なのだとも思います。

ポイント③イクメンとは?「嫁ハンとの距離感」がうまくとれている人

妊娠・出産だけでなく、その後の育児ついても言及されています。
私は著者の持論に強く共感しました。
「そもそも男は育児に不向き」とした上での奥さんとの関わり方を述べています。

↓男性が育児に不向きな理由

オキシトシン(「育児行動」や「社会性」に関係する働きを担う別名・育児ホルモン)のレセプター、つまりオキシトシンを作用させる感受性の分布は、メスに比べるとオスは少ないのです。オスが少ないと言うよりは、メスの感受性がものすごく高い。これはほとんどの脊椎動物に共通して見られる特徴です。
つまり育児行動に関しては、メスに比べるとオスは不向きなのです。愛着を持って子供を育てるオキシトシンが、メスに比べると作用しにくいわけですから、システムの上では子育てに向いていない。たとえ、オキシトシンを大量に分泌しても、もともとレセプターが少ない(低い)ので、育児行動をとらないのでしょう。
(本書より引用)

ここが女性にもおすすめしたい理由でもあるのですが、どうしても相手には自分と同じレベルのものを求めてしまいがちだと思うのです。
二人とも”親”として同期なわけですから。
でも、元々持っている素質が違うから、父親は母親と同じレベルでは子育てできないのですよね。
そのことを母親・父親が共通認識として持っておくことがとても大事だと思いました。

イクメンという言葉が世の中に定着しつつありますが、著者が述べている以下の言葉に尽きると感じます。

ダンナとしては「嫁ハンを孤独に闘わせてはいけない」のですが、これは妊娠・出産だけでなく、子育てに関しても同じ。最終的には、嫁ハンを「ひとりで子育てしているような感覚」にさせないことです。
(本書より引用)

まとめ

妊娠・出産について、パートナーと共に正しい知識と共通認識を持ちたい方におすすめです。
今後育児のフェーズに突入しても、お互いに意見や価値観の相違を認めたうえで、とことん話し合うことと適度な距離感を保つことを忘れないでいたいと思います。

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