入所後初の面会、診察
先日、長男が入所して初めての面会と、別日に児童精神科医の先生の診察にうかがいました。長男とは約三ヶ月ぶりで二度会うことが出来ました。
まず長男自身のこと。
体重が三キロ増えた、と電話で聞いていましたが、尖っていた顎が丸く、抱えるとずしっと重くなっていました。身長も伸びて、家から持たせていたズボンの裾が少し短くなっていました。
緊張からか、最初は無言でウロウロしながらおもちゃで遊んでいましたが、しばらくすると時々喃語のような声を出すように。やはり目は合いにくく、多動も変わらずといった様子でした。最初の面会は三十分だったので慌ただしく、久々に姿を確認できたといったところです。
後日、職員さんと一緒に診察室へ赴き、子供についての簡単な聞き取りと、現在の様子をざっと看ていただきました。診察室ではずっとあちこちに走り回っていて、おもちゃを渡すと一時的に興味を示すものの、時折奇声を発しながら、走り回ったり、職員さんにだっこされたり、社員証を噛んでみたり…と落ち着きなく過ごしていました。
そういう姿を見ていると、今後一緒に暮らすことができるのだろうか…と不安になります。「昔に戻るだけのこと」かもしれませんが、あれは「暮らし」ではなかった。疲れきって、常にピリピリしていて、朝が来ることは、夜を待つだけ、ただ終わらせるための一日のはじまりでしかありませんでした。あんなふうにただただ心身をすり減らして生きていくこと…それをまた始められるか。自信がありません。
長男と久々に会えたことはとても嬉しかった。またひとりだけ施設に任せていることが申し訳なかった。それも事実だけれど、以前とあまり変わらない立ち居振舞いや、表情も乏しく、部屋を落ち着きなく歩き回っているのを見ると、やはり障害は重いのだな、わたしたちのこともわかっていないだろうな、というのを突きつけられるようで、正直ひどく落ち込みました。
自分で靴下を穿けるようになったそうです。それから、オムツも穿けるはずなのに、最近は甘えて履かせてもらっているとか。それも大進歩ですし、何より本人が甘えられる、安心できる環境を作ってくださって、施設の方には本当に感謝しています。トイトレは、やはりまだむずかしいそう。
大きな施設なので、色んな子がいました。
たまたま会った高校生の男の子は、以前同じユニットで生活していたそうで、長男の名前を呼んで手を振ってくれました。それにどれだけ慰められたか知れません。わたしはやっぱり、わたしのことも、長男のことも、「腫れ物」そのものだと思ってしまっています。なのでそうやって気さくに声をかけてくれること、名前を覚えてくれていることがとてもありがたかったです。
児童の付き添いの親御さんを見ていると、障害の種類や程度はさまざまですが、わたしも他の方とおんなじように、いくつになっても長男と病院に行ったり、役所の障害福祉課に行ったり、自分自身の時間を大幅に削って生きていくのかな、そういう生活のなかで、自分を見失わずに生きていけるだろうかと恐ろしくなりました。
地元に帰ってきて、前に見かけたことのある障害のある学生さんを見かけました。その次の日は、初めて見かけた、もう大人の障害者。地域にはたくさんの障害を持つ人たちが暮らしていて、こういう子を持つまではそれにちっとも気がつかなかった。見かけることがあっても、気の毒に思って、それでおわりだった。今はどうかして衝動的に道路に出やしないかとか気にしてしまう。そして我が子が将来、こんなふうにひとりで公道を歩けるか、つきっきりでなきゃ駄目か。そうなればもう今みたいに気軽にスーパーにも行けっこなくなってしまう。
障害は、わたしから明るい心を持ち去ってしまった。おかれた状況が、ぜんぶ夢で、健常児ふたりの母親になれたらいいのに。