「ノルウェイの森」を探して
いつも通りチャイムが鳴る。退屈な授業が終わりを告げる。私たちは解放された!!と叫び出したかのように周りの生徒が騒ぎ始める。私は窓際の席でグラウンドを眺めている。空は青く澄み渡っていて、私の憂鬱は加速した。
高3の夏休みはあっという間に過ぎ、部活をしている生徒は大会の最後で引退していた。私は帰宅部で何も所属していないのでそれには無関係だったが、迫り来る受験にただただ焦りは感じた。私は私立文系の受験コースのクラスにいた。数学が特別苦手で点数がいつも赤点だったのでそうせざるを得なか