アンチテジナ論 Ⅴ
アンチテジナの演技形態は以下の通りです。
【手品を手品として演じない】
さらにこれは、2つの種類に分けられます。
**(1)純然な超常現象、エセ科学やエセ心理現象として演じる手品。 **
**(2)最後まで手品としての不思議な現象が一切起こらずに終わる手品。 **
(1)は現象的にはシリアスですが、「手先のテクニック」のすごさはアピールしてはなりません。それはインビジブルデックの最中にいきなりフラリッシュをやるのと同じで、虚構のリアリティを失わせます。ですので、超常的な現象を演じる時はフラリッシュはもちろんのこと、手品的な技法(手品的な技法とは何かについては次回述べます)のほとんどは封印すべきです。
(2)は俯瞰してみると、ただのクソネタのように見えますが、かなり高度な演技力が必要です。その一切においてすごいマジックをしてはならず、そして、演者自身はこのクソネタに対して真剣でなければなりません。「おれって奇抜で面白いことをしてる」という自意識を少しでも出してしまうと、場の空気が壊れます。
共通しているのは、自分が演じる馬鹿馬鹿しい嘘に対して、演者は徹底して真剣でいなければならないということです。
次回は、超常現象としてのアンチテジナについて詳しく論じていこうと思います。