竹谷友之

短歌 歌会を開くこともあります。Twitter(X)で告知しています。

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最近の記事

【作品一首】ブロックの塀より垂るる葉の上に午前の雨がまだ載つてゐる

ブロックの塀より垂るる葉の上に午前の雨がまだ載つてゐる 「現代短歌新聞」2024年9月/150号「読者歌壇」 菊澤研一選・佳作/佐伯裕子選・次席(共選)

    • 【作品一首】なづきへとつづく道などなけれどもゆびさきに押すひだりのこめかみ

      なづきへとつづく道などなけれどもゆびさきに押すひだりのこめかみ 「現代短歌新聞」2024年8月/149号「読者歌壇」 佐伯裕子選・佳作

      • 【作品一首】初夏のはつかに香る夕暮れにアカマツの樹が確かに赤い

        初夏のはつかに香る夕暮れにアカマツの樹が確かに赤い 「現代短歌新聞」2024年7月/148号「読者歌壇」 佐伯裕子選・佳作

        • 【作品一首】重力に櫂の抗ふ束の間をみづを離れし水はしたたる

          重力に櫂の抗ふ束の間をみづを離れし水はしたたる 「現代短歌新聞」2024年7月/148号「読者歌壇」 菊澤研一選・次席

          【作品一首】喧嘩らしい喧嘩は未だないけれどヒメツルソバの殖えてゆく春

          喧嘩らしい喧嘩は未だないけれどヒメツルソバの殖えてゆく春 「現代短歌新聞」2024年6月/147号「読者歌壇」 佐伯裕子選・佳作

          【作品一首】喧嘩らしい喧嘩は未だないけれどヒメツルソバの殖えてゆく春

          【一首評】すっぽりとこの世から消えたことなくて携帯の灯が点滅してる/野口あや子

          第一歌集『くびすじの欠片』(2009年)巻末歌。 個人的には、いわゆるガラケーを使っていたのは十数年前、十代の終わりまでで、それ以降「携帯の灯が点滅してる」光景を日常的に見ることはなくなった。ただ当時はといえば、携帯電話のランプが点滅しているのを見つけると、心待ちにしていた連絡が来たのか、あるいは予期せぬ人からのものなのかと、多かれ少なかれ毎回心が浮き立っていたのを覚えている。飽きるほどメールをもらうような人はそうは思わなかったかもしれないけど。 さて、「すっぽりとこの世

          【一首評】すっぽりとこの世から消えたことなくて携帯の灯が点滅してる/野口あや子

          【作品一首】何時までも風の吹かない夜は想ふ千の林檎の浮かぶ果樹園

          何時までも風の吹かない夜は想ふ千の林檎の浮かぶ果樹園 「現代短歌新聞」2024年5月/146号「読者歌壇」 佐伯裕子選・次席

          【作品一首】何時までも風の吹かない夜は想ふ千の林檎の浮かぶ果樹園

          【ランダム五首評】田村穂隆『湖とファルセット』【イメージを橋渡しする縁語】

          半夏生 左腕に陽が差したとき傷の部分がいちばん白いp. 10より。 半夏生といえば白。この歌にかぎらず、多くの歌で縁語(と言っていいのか)が駆使されている。 上手いのは二句~結句のまとめ方だと思う。 腕の傷のことを、あくまで感傷的にならずに描写しつつ、「いちばん」を使って、傷の存在よりも白さに焦点を合わせる。「傷」で体言止めにしてより目立たせたりはしない。 そして白さに焦点が合ったとき「陽が差した」という描写が後から追いかけるように効いてくる。 最後に白の縁語である「半夏生

          【ランダム五首評】田村穂隆『湖とファルセット』【イメージを橋渡しする縁語】

          【作品一首】こころから遠く在りたる日の暮れに持ち手の黒き傘を引き抜く

          こころから遠く在りたる日の暮れに持ち手の黒き傘を引き抜く 「現代短歌新聞」2024年4月/145号「読者歌壇」 佐伯裕子選・一席

          【作品一首】こころから遠く在りたる日の暮れに持ち手の黒き傘を引き抜く

          【作品一首】指で引く書架の一冊 仰がるることなき天を本は持ちをり

          指で引く書架の一冊 仰がるることなき天を本は持ちをり 「現代短歌新聞」2024年4月/145号「読者歌壇」 菊澤研一選・佳作

          【作品一首】指で引く書架の一冊 仰がるることなき天を本は持ちをり

          【作品一首】消ゆるとも其の後を追ふ他はなくまた街灯に伸びてゆく影

          消ゆるとも其の後を追ふ他はなくまた街灯に伸びてゆく影 「現代短歌新聞」2024年3月/144号「読者歌壇」 佐伯裕子選・次席

          【作品一首】消ゆるとも其の後を追ふ他はなくまた街灯に伸びてゆく影

          【作品一首】客室の光を幕で遮つて夜の鉄路に漕ぎだすひとり

          客室の光を幕で遮つて夜の鉄路に漕ぎだすひとり 「現代短歌新聞」2024年2月/143号「読者歌壇」 佐伯裕子選・佳作

          【作品一首】客室の光を幕で遮つて夜の鉄路に漕ぎだすひとり

          【作品一首】終はりゆく月の曜日よ秋の葉のひとつひとつがただ一度降る

          終はりゆく月の曜日よ秋の葉のひとつひとつがただ一度降る 「現代短歌新聞」2024年1月/142号「読者歌壇」 佐伯裕子選・次席

          【作品一首】終はりゆく月の曜日よ秋の葉のひとつひとつがただ一度降る

          【作品一首】鋸で挽かるるごとく十月の闇ふるへをり鈴虫の音に

          鋸で挽かるるごとく十月の闇ふるへをり鈴虫の音に 「現代短歌新聞」2023年12月/141号「読者歌壇」 佐伯裕子選・次席

          【作品一首】鋸で挽かるるごとく十月の闇ふるへをり鈴虫の音に

          【作品一首】額縁の紋深々と彫られけり外側へ引きかへす視界に

          額縁の紋深々と彫られけり外側へ引きかへす視界に 「現代短歌新聞」2023年11月/140号「読者歌壇」 佐伯裕子選・次席

          【作品一首】額縁の紋深々と彫られけり外側へ引きかへす視界に

          連作を読んだメモ:吉川宏志「渚、夕なぎ」(『青蝉』新装版より)(再投稿版)

          ※以前投稿したものを修正して再投稿しました。 一首丸ごとの引用を避けつつ全ての歌に順に触れていきます。 冒頭の歌。 規則正しく花を咲かせる植物に喩えられているのはどういう出会いなのか、可能性を3つほど挙げてみる。 必然の=運命の出会い。 当たり前の=平凡な出会い。 その生物に生来備わっている性質による=本能に操られただけの出会い。 連作を最後まで読んだ後だと、3つ目の意味合いが濃いと感じる。 冒頭の歌としては、さてどういう出会いでしょう、という謎かけになっていると

          連作を読んだメモ:吉川宏志「渚、夕なぎ」(『青蝉』新装版より)(再投稿版)