【ランダム五首評】田村穂隆『湖とファルセット』【イメージを橋渡しする縁語】
半夏生 左腕に陽が差したとき傷の部分がいちばん白いp. 10より。
半夏生といえば白。この歌にかぎらず、多くの歌で縁語(と言っていいのか)が駆使されている。
上手いのは二句~結句のまとめ方だと思う。
腕の傷のことを、あくまで感傷的にならずに描写しつつ、「いちばん」を使って、傷の存在よりも白さに焦点を合わせる。「傷」で体言止めにしてより目立たせたりはしない。
そして白さに焦点が合ったとき「陽が差した」という描写が後から追いかけるように効いてくる。
最後に白の縁語である「半夏生