【芋焼酎の命】工場で大量の米麹をつくる!
蔵人です。
以前、「手造り焼酎」という昔ながらの麹造りのお話しをしましたが、
※手造り焼酎の記事はこちら↓
じゃあ、工場はどうなってんの?
と興味を持たれた方もいらっしゃると思います。
焼酎工場での麹のつくり方は製造規模においていくつか装置がありますが、
白金酒造で採用している装置は
ドラム式製麹機と通風式製麹機(三角棚)の併用になります。
ドラム型製麹機と呼ばれる装置はぱっと見横倒しの筒(ドラム型)で、
原料を「洗う」「蒸す」「冷ます」から、
種麹(たねこうじ)を振りかけて麹になるまで
同じ機械で処理できる優れものです。
白金酒造にあるのは一度に1500kgの原料を処理できます。
ここで2日間育てると麹をつくることができます。
手造り(石蔵)の10倍近くの量を一度にこなせるので、大変便利なんです!
但し、ちょっとした問題点もあるんです…。
ドラム型製麹機は、大型になるほど原料を蒸したときに、
小さいモチができやすくなってしまいます。
特に国産米の食べておいしいお米はベタついて、モチができやすいです。
モチは水分が多いので、麹菌以外の雑菌も とっつきやすくなります。
そしてもう一つ、ドラムの中で麹菌は粒同士をくっつけてかたまりになります。
これがうまくほぐれないとそこだけ熱がたまってムラの多い麹になります。
量が多いので、多少モチやかたまりがあってもさほど品質に影響ないのかもしれませんが、中を見渡すことができないドラムでは心配なところです。
そこで白金酒造ではここからひと手間かけます。
一晩かけて育てた麹を2m×8mの通風式製麹機(通称『三角棚』)と呼ばれる棚の中に、厚さ10センチくらいに均一に広げて、もう一晩そだてます。
三角棚では麹を広げた上下に空間があって、空気を循環させて温度調節ができます。
ここで三角棚に麹をひろげるときに
「モチは取り除く!」、「塊はほぐす!」
といった感じで、
気合を入れて一粒一粒がいい麹になるように丹念に作業をおこないます。
原料に触れずに隔離された状態で、すべて自動でつくるほうが衛生的かもしれませんが、
そこはやっぱり手造り蔵での麹づくりが基本となってまして、
「あえて手をいれて手間をかける」
データだけに頼らず、五感を使った造りで職人が育つことも重要とかんがえています。
ちなみに一度の原料1500kgを三角棚に広げている蔵は聞いたことがなく、
白金酒造のものは三角棚のなかでは業界最大規模でないかと思っています。
蒸し上がって水分を含んだ原料はだいたい2トンほどになっていて、
バケツやめしげ(おおきなしゃもじ)、トンボを使いながら3~4人でひろげていきます。
作業は1時間くらいかかります。
米の品種でモチができやすいとか、かたまりができやすいとか傾向もあるんですよ。
当日の気温湿度も考えながら微妙な調整が必要になるんで、経験がものをいいます。
前日にドラムを担当して、中を
モチだらけにしてしまった蔵人を「モチ職人」とか「モチきち」とよび、
その人のおかげで作業がおすこともしばしば。
初日はいいんです。初日は傾向と対策を話し合いながら作業がすすみます。
これが2、3日続くと言葉数も減り、
そのうち
「…いけんかせんかぁ~怒怒怒怒怒!」
と、こうなるわけです。(どうにかしろ~の意。)
無言で延々とモチを拾い、麹をほぐし続ける作業。
…むちゃくちゃきついですよ。まったく。
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編集担当より
・・・・。
どうも。モチ職人です。
製麹(せいぎく)作業は難しくて、とてもやりがいのある楽しい
仕事でしたが、担当は一度も「脱・モチキチ」したことは
ありませんでした‥‥(泣)
という事で!
手造りでも工場でも!
蔵人たちは、思いは変わらず飲む人の事を考えながら、造っております~!
そんな蔵人が丹精込めて製造した焼酎はこちらから
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