#やってみた大賞 でやってみること考えてみた 〜血は立ったまま眠っている〜
デイリーポータルZとnoteが共同で、
「#やってみた大賞」
なる記事投稿コンテストを開催しているという、
ファンシーな情報をキャッチしたので、
ここはひとつ、奮って応募してみようと考えた。
ところでよく「奮ってご応募ください」等というが、
奮って、ってなんなんだ。
うおーっ、ってことか。
たぎらせるのか、血を。
#血、たぎらせてみた
ということか。
思えば、血、たぎらせたことのない人生だった。
何かに夢中になって取り組んだことが、ただの一度たりともなかった。
いや、もしかしたら、
このコンテストが、その千載一遇のチャンスなのかもしれない。
そう思うと、
うおーっ
じねんと血がたぎってくるやうな感覚をおぼえた気がした。
ちなみに私は、毎度の健康診断で低血圧であることが示されている。
ということで、本コンテストの企画立案のために、
ひとりブレインストーミングを決行してみることにした。
私はこの、
ブレインストーミング
という言葉がたまらなく好きだ。
かっこいい。
直訳すると、
脳嵐!!!!!
ね、かっこいい。
漫画『ジョジョの奇妙な冒険』に登場するワムウというキャラクターは、
神砂嵐
という必殺技を使う。
この技は、両腕を肘の関節ごと超高速で回転させ、
その回転圧力により二つの拳の間に真空状態の圧倒的破壊空間をつくり出す、
という凄まじい技であり、
作中ではその威力について、
まさに歯車的砂嵐の小宇宙!
と表現されていた。
作者荒木飛呂彦の発想力・語彙力にはただただ敬服の外はないが、
脳嵐!!!!!
も、このくらいの勢いで高カロリーな単語だと思う。
と無闇に血をたぎらせてみたが、
今回はコンテストに応募する作文のため、
その語義に誤りがないよう、念のためググってみると、
「ブレインストーミングとは
脳を使って問題を急襲する
と言う意味である」
うん、迂闊にググると夢破れることが多いものだ。
以前、ふと、
「盗んだセグウェイで走り出す」
という尾崎豊の名曲のフレーズのパロディを思いついたことがあり、
これはいけるのではないかと思い、Twitterに投稿しようとしたが、
既出でないか確認するため、念のためググってみると、
Yahoo!知恵袋に
「盗んだセグウェイで走り出すのは道交法的にはOKなのか?」
という二手先くらいの質問が投稿されていて、
ショックの余りしばらく寝込んだ経験がある。
話がどうしても脱線してしまうので、
そろそろ、ひとりブレインストーミングの結果を発表しようと思う。
なお、語義どおりではなく脳嵐!!!!!のブレインストーミングを決行したいと考えて、
その呼び水となることが期待されるいくつかの素敵な物質を摂取しながら実行に及ぶことにした。
結果は下記のとおりである。
・股間に神泡ビールサーバーをあてがってみた
・脱毛と増毛のマッチングアプリを開発してみた
・"NO MUSIC NO LIFE"と言って流行りのJ-popとか聴いてる人たちをつかまえて一つの無音空間にしばらく監禁してみた
・ねるねるねるね、練らないでみた
・「山椒は小粒でもぴりりと辛い」はことわざとして認めない
・サマンサタバサのシリーズを戦隊モノにしてみた
・コーンポタージュの膜で湯葉をつくってみた
・「陸上魂」というTシャツを着ている人を海中に沈めてみた
・メガネを外したのび太の目を再現するために整形してみた
・赤子の手をひねってみた
いくつかの素敵でオーガニックでロハスでボタニカルでSDGsな物質を摂取したため、
いつの間にかしたたかに昏倒していたようで、
ぐあっと俄かに意識が回復して身体を起こそうとしてみると、
床が顔面めがけてぶち当たってきやがった。
なんだこの腐れ床野郎め、と怒鳴り散らかしながら自慢のサマーソルトキックをお見舞いしてみると、
右脚の親指と人差し指があらぬ方向に折れ曲がってみていたが、
お医者さんに診てもらうお金をたまたま持ち合わせていなかったため、
いたしかたなく昨晩のブレスト結果を確認しながら漸進的に心の平静を取り戻してみようと思い、
パーソナルコンピューターを懸命に開いてみようとしてみたところ、
脳内では紛う方なき嵐が吹き荒れており槍のやうな鉄砲のやうな風雨が慟哭しながらありとあらゆるニューロンをいぢめていることに気づき、
ログインパスワードを要求してきやがる長っ細くてダサくてくそしょーもない青白い窓枠が、
猛暑日に熱中症になって眺めるガードレールのやうにぐねるんぐねるんと蠕動してみているやうに見えて、
パスワードなんてそおんなもんっおぼえてるわけねえええだろうがあああよおおおおおおおお
と待機画面に表示されたスライドショーの壁紙のラッコの親子をなけなしの眼力で睨みつけてみたが、
ラッコの親子は極めてイノセントなつぶらな4つの瞳で見つめ返してきてみていて、
その視線が生きて腸まで届いて、いぢめぬかれたニューロンの電撃と合わさって胃腸全体をぶるる震わせてきた影響で巨きな津波が発生し、
それが食道を通過して一挙に喉元まで押し寄せてきたので、思わず盛大な嗚咽が口から漏れ出た。
おおおおおおるるるるるるるるるううううえええええええええええっっっっっ
あっ、ログインパスワード、
「alla(オールエー)」
だったわあ☆
まさか嗚咽がヒントになるとは思わなんだ。
とこんな感じのアハ体験で脳嵐!!!!!が少しく凪いだため、
それぞれの企画案に対する私自身の寸評を記していく。
ちなみにログインパスワードは、健康診断の結果を祈願して設定したものである。
・股間に神泡ビールサーバーをあてがってみた
⇒あまりに品がなく、noteでの公開に耐え得ない。
(個人的には社会勉強の一環としてトライしてみたい)
・脱毛と増毛のマッチングアプリを開発してみた
⇒アプリの開発ノウハウが当方皆無である。
(マーケットとしてはブルーオーシャンである)
・"NO MUSIC NO LIFE"と言って流行りのJ-popとか聴いてる人たちをつかまえて一つの無音空間にしばらく監禁してみた
⇒刑法220条から229条に抵触する恐れがある。
(次世代のエネルギー供給源として期待大)
・ねるねるねるね、練らないでみた
⇒出オチ。
(SDGs)
・山椒は小粒でもぴりりと辛いはことわざとして認めない
⇒"やってみた"でなく、ただの主張である。
(私も同意見である)
・サマンサのシリーズを戦隊モノにしてみた
⇒戦隊モノにした後のプランの見当がつかない。
(サマンサタバサは主人公(髪の毛が常に無闇に逆立っている)、
サマンサベガはライバルポジション(真っ赤な軍服を着用している)、
サマンサシルバは後に仲間となる元ヴィラン(スリーポイントシュートが得意)、
サマンサモスモスはスピンオフに登場する謎の女(後にタバサの生き別れた妹だと判明する)
あとのシリーズはちょっと知らない)
・コーンポタージュの膜で湯葉つくってみた
⇒勝手にやってくれって感じ。
(ググって出てこないので初出のアイデア!)
・「陸上魂」というTシャツを着ている人を海中に沈めてみた
⇒昨日街中でたまたま見かけたが、そんなTシャツを着ている人をほとんど見かけない。
(当然カナヅチであることを期待する)
・メガネを外したのび太の目を再現するために整形してみた
⇒ハイリスクノーリターンである。
(すっかり見慣れてしまっているけど、現実にいたらかなりホラーだと思う)
・赤子の手ひねってみた
⇒かわいそう。
(これが慣用句になっている世の中がおそろしい。
容易さをあらわす言葉だが、ちっともたやすくない。
良心のある人間であるならば、その呵責に苛まれ、極めて困難であるはずだ。
こう思っているのは私だけなのか?
みんなオーガニックだロハスだボタニカルだSDGsだとハートフルなことを抜かしているが、
その一切は、化けの皮なのか?
だから私はそれらの語義を理解できずに懊悩してやむなく
脳嵐!!!!!
を引き起こすなどしてつらい現実空間を誤魔化し誤魔化し生きていかねばならないのか?
だから私にだけポケットティッシュが配られないのか?
だから私にだけスコティッシュフォールドがなつかないのか?
そんなの道交法的にはOKなのか?
おいそうなのか陸上魂さんよ?
そんなメガネを外したのび太みたいな目で睨み返してくんじゃねえ、
その視線が生きて腸まで届いて思考はコーンポタージュの膜の内のNO LIFEな無限空間に監禁され、
ねるねるねるねされた脳味噌の表面には模糊模糊とした神泡が沸き立ち、
脱毛と増毛を繰り返すシナプスの先端は小粒でもあまりに辛くて、
救いを求めて膜の外に両の手を伸ばしたところ、掴んでくれたサマンサタバサの手は、
いともたやすくその手をひねり上げる。
しかも、慈悲のない尋常ではない力でだ。
手首だけでなく肘の関節ごと凄まじい速さでひねり上げ、
そのひねりの回転の圧力により、真空状態の圧倒的破壊空間がつくり出されしまった)
以上が血、たぎらせてみた結果である。
最終的には
歯車的脳嵐の小宇宙!!!!!
に私自身が吞み込まれる形で膜、いや幕を閉じることになり、
粒揃いのすべての企画案は神泡に帰した。
しかし、まずは何かをしてみることが大事だとよくいうし、
ある意味では、考えることを「やってみた」ともいえる。
一世一代のたぎらせの血痕として、この文章をここに残そうと思う。
うおーっ