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農業に換わる言葉を探して
3月5日午前3時30分。室温が6℃もあると、朝起きるのも楽です。
今日は二十四節気の啓蟄。(書いている途中で思い出した)
「土の中で縮こまっていた虫(蟄)が穴を開いて(啓いて)動き出す日のこと」
私も布団からもぞもぞと出てきて、久しぶりに自然に早起きしました。昨日まで寒くて全く早起きする気になれなかったのに、暦ってよくできてるな。
布団の中で目が覚めて、体を起こすまでの時間。まだ起きなくても大丈夫だしもう少し寝よう、と思ってもなかなか眠りに入れず、でも布団から出るのは寒いし「やだ」という時間に、ぐるぐると廻る思考があります。
その日によって色々ですが、今日は「農”業”」という言葉が頭から離れませんでした。
「何で移住してきたんですか?」
あたりまえですが、よく聞かれる質問です。
その時の気分にもよりますが、「農業がしたくて」というような答えをすることが多いです。それが一番わかりやすいように思うから。ただ、これは正解のようで不正解なんです。
ちゃんと答えるならば、「自分で暮らしを作りたかった」みたいなことなのですが、上手い表現が見つからないし、どれだけ言ってもちゃんと伝わらないように思うのです。そこをもっと上手く伝えられれば、とは思うのですが、ちょっとめんどくさくなっちゃうんですよね。
僕達は移住にあたって、空き家とその周りの田畑、そして家裏の8ヘクタールもある山をまるごと購入しました。(だいたい東京ドーム二個分です。冗談で「ここは白井王国だ!」って言うんですけど、それぐらい色々なことから独立した場所に思えます)
専業農家になれるくらいの結構広い農地を手に入れることができたのですが、でも”農”を”業”にするつもりは全くなくて、最初から何か農業とは別の仕事を探しました。田畑では自分たちの食べるものを作れれば、それでいいと思っていたのです。いわゆる”半農半X”というやつです。
農を業にすると、自分でつくる野菜やお米を”お金”として見てしまうようになるんじゃないかと思って、嫌だったんです。それってすごく苦しい。生産性・効率性ばかりを考えるようになって、本来の農の持つ目的を見失うんじゃないかと思っていました。
それに農業専業だと、不作だともろに生活に影響してしまうし、良くできたとしても一生懸命売らないといけないし、やっぱり苦しいなって。私の場合ですが、売るのってすごいストレスなんです。
楽しく作って、出来た分だけを喜べたら、もうそれでいいんですよ。そこから始めたい。そして食べる以上にたくさん出来て、欲しい人に無理なく分けられる(販売できる)ようになれば、それもいいかなぐらいだったんです。
でも、こんなこと言ってると「考えが甘い」とか「言い訳するな」とか何故か怒られちゃうんで、やっぱり黙っていようってなっちゃいます。
ちょうど一年前ぐらいに、ローカルジャーナリストの田中輝美さんに取材してもらったことがあるのですが、その時にもそんな話をしました。輝美さんに取材してもらって、ちゃんと文章にしてもらったことで、自分の中で農や暮らしに対する想いがより鮮明になったのを覚えています。
記事は”中国新聞SELECT”という、中国新聞の夕刊みたいなのに大きく掲載していただきましたが、正直全く反響がなかったです(苦笑)。(SELECTってどんな人が読んでるんだろう?)
で、です。
「農業がしたくて移住しました」の”農業”に換わる言葉を見つけたいな、とずっと思っているんです。
農業から業をとって、ただの”農”とすると何だか薄っぺらい気がする。
”農のある暮らし”っていうのはよく聞くけど、ちょっと手垢が付きすぎてて何だか恥ずかしかったりします。
他に何があるだろう。”田舎暮らし”とか?
私は全然思わないんだけど、田舎って言葉は馬鹿にされてると感じる人もいるのかもしれないと思うと、なかなか使えないんですよね。
”半農半Xがしたくて”は、通じる人には通じるだろうけど、、、。
私は”小農”っていう言葉が好きなんですけど、これも通じないだろうな。
【小農】
所有する田畑が少なく、家族だけで営む小規模の農業。また、その農民。
2018年に国連は、農民の人権を高らかに宣言した「小農の権利宣言」を賛成多数で採択した。アメリカは反対し、日本は棄権した。
過去にこんなこと、つぶやいてました。
楽しみにしてる。僕は自分の肩書きを小農としたい。農家でもなく、百姓でもなく、小農という言葉を気に入っている。
— しらたま (@shirai_takahiro) January 9, 2020
「競争社会からなるべく遠い場所で」
小さな場所から小さな仕事を、より勇敢な選択ができるように。#古くてあたらしい仕事 #ちかくて小さい農 https://t.co/FuxGYRbiDL
「自分の生きる道や働き方を自己決定し、幸せな暮らしに重点を置くこと」 「小農は小農を欲するが故に小農である」
— しらたま (@shirai_takahiro) February 1, 2020
資本からの自立#小農の復権 #農文協 pic.twitter.com/FTVWv6nvvr
にわとりも飼っているし、「自給自足ですね?」なんていうのもよく言われるけど、それも違うと思う。電気と石油、ガスに全然依存してるし、多くはないけど機械も使うし、全部自力でなんてできそうにない。
まあでも、いざとなったらできる力がこの地にはあると思う。何よりも水が、山から1年を通して流れてくるのが有難い。この地区は水道が通っていないけど、昔から水には困ったことがないからなんだろう。
うーん結局今回も、”農業”に換わる言葉は見つからないまま、うだうだ考えていたら外が明るくなってきました。今日はこの辺でやめておきます。
今日も晴れて気温が上がりそうです。
まだ雪が残る畑で、そろそろ今年の”農”も始まります。