首都圏在住記 2022
渋谷区が身体に馴染んで久しい。どのエリアを歩いていても、それ自体に喜びはあまりない。贅沢なことだ。恵比寿駅と目黒駅の間に、三田という地名があること。恵比寿のあのコンビニでは、おそらくオーナーの意向で、限定のポケモンカードのパックが定期的に仕入れられていること。公営のプールがあそことあそことあそこにあること。恵比寿は想定通り、割高のお店が多く、中目黒は想定と異なり、常連と付き合わないといけない地域密着型のお店が多いということ。北参道、神宮前の付近のお店とお客さんは、インターネットに可視化されにくいクローズドなコミュニティを築いていること。そういった学びが、渋谷に通っていた過去と、渋谷に住んでいる現在の和で、サチりはじめている。
渋谷区に居を構え、今年も首都圏を周った。一人でも、友人とでも。写真を振り返ると、思ったより自宅周辺から移動していなかったが、秋冬にはちらほらと外出していたようだった。ひとつずつ思い出してみる。
南砂町・2022冬
その駅に降り立ち、千葉を感じた。船橋に感じたロードサイドと同じものを。江東区でも、場所によっては郊外の街並みになるのかと理解した。
地上出口から出ると、人工的な新しさが街全体を包み込んでいることに気づく。なんだろうか。ニュータウンに感じるそれだ。晴れていても曇っているように感じる。そうではないのに、コンクリート打ちっぱなしのビルばかりのように感じる。高速道路から見下ろした街にある、物流拠点の密集地に感じるあの、人間的なるものとの乖離。
その日は友人もカインズのDIY工房で木材加工をする予定だった。大きなショッピングモールには、無印・ワークマン・WEGO・ダイソー。カインズもあり、もちろん、フードコートもある。サーティワンはなかった。
ちなみにランチはマクドナルド。久々にくると、オペレーションの凄まじい最適化具合を感じた。サイゼリヤにも感じるそれだった。
立川・2022秋
立川は今年初めて降り立った。立川には2回きた。マッサージだかエステの体験と、大型サウナ来訪のためだった。八王子、町田、相模原、大和、海老名、大宮と同じ、首都圏にあるロードサイドタウンだと思っていたが、総論想定通りだった。ただ、想定よりもエリアが広い。初めて訪れた際は1人で電車できたわけだが、駅を出、伊勢丹へ通じる長い歩道橋から360度眺めた時、他のロードサイドタウンとは違う開放感を感じることができた。伊勢丹を越せば、モノレールだかが通っており、その先には非常に広い公園があった。
僕は1人セブンのスムージーを飲みながら、その公園を歩いた。ダウ90000のような、大学生の集団がちらほらいて、学生時代を思い出した。立川は良い街だった。好きだ。
高輪ゲートウェイ/泉岳寺/西大井・2022秋冬
これらの街にはすべて、不動産内見を目的に訪れた。仲介会社や同伴者は全て異なるが、半住半投のために物件を探している。半分とはいえ住むことを考慮すれば、2LDK以上となる。結婚したり子供ができても、なるべく個室は欲しいのだ。
今年は不動産内見関連で友人も増えた。モリモリと不動産を買っている男は、なんというか覇気を感じる。まあ、自分で腹極めして何かをしている人というのはかっこいいものだ。年齢とともに、そういった友人の割合が、僕の友人全数に対して小さくなっているのがわかるから、より一層。これは多分結婚や育児起因ではない。サラリーマンの経験年数だ。とりあえず今を続ければ、生きてはいけるという状況に慣れたということだろう。それが悪いこととは到底思わない。夢や努力や社会貢献などはマストではなく、我々はただのアニマルだからだ。
北千住・2022秋
会社の同僚が僕を気に入ってくれて、懇意にしている先輩を紹介してくれた。その先輩はまた別の知人を呼んだようで、計4人で北千住で焼肉を食べた。その知人というのは大手ベンチャーの役員とのことで、僕の経歴を面白がってくれた。議論が好きというか、過度な自意識を持つような方ではなかったので、建前抜きに純粋にディスカスできた。
なぜ今の地位になれたと思いますか? と聞くと、最初に入ってなんでも色々と頑張ったからと言っていた。そうだよな、と思った。起業やベンチャー勤務というのは、短期で見るとうまくいかない。給与も、裁量も。ベンチャーだなんだの前に、新しい組織に入ったら、まずそこのルールに則り認められることが大切なのだ。犬や蟻に置き換えて考えれば、それはそうと思えるだろう。集団に馴染む期間があるのだ。
また、組織目線で見ると、大きくなるにつれ求められる能力が異なり、都度採用される人材とその給与に対して、それまでいた社員たちはこれまでの貢献量を武器に反発するものだ。どちらの気持ちもわかる。ただ、貢献量と、イマココでの組織への貢献度はトレードオフではない。これまで貢献してきた人が、イマココで貢献するために都度プライドをアンラーニングして取り組めば、これまでの貢献量も、これからの貢献期待も獲得できる。両方取れば、それは偉くなるしかない。そのパターンだったんだろうな、と思った。いい会だった。今年は、いい友人や、その友人から紹介されるいいつながりが多かったように思う。ありがたいことだ。
森林公園・2022冬
もう10年くらい前から思っていた。森林公園って何? と。固有名詞じゃないだろと。でも、ずっと行きたかった森林公園に、ついぞ行った。確か池袋から2時間近くかかった。もう、本当に広いエリアだった。自転車での園内回遊コースがあったが、この全体を管理するのは並大抵の労力ではできないだろうなと感じた。
森を抜け、食事処。森を抜け、キャンプ場。森を抜け、園の端。そんな繰り返しで、自転車では2時間近くかけて、全周を回った。また、入り口付近にはイルミネーションもあり、家族連れが多かった。イルミネーションは定期的に自動音声によるイベントが起き、シャボン玉が吹かれていく。それに、子供たちは集い、触ろうとして騒いでいた。なんとも牧歌的か。日本中がこんな環境ならいいのに、と感じた。なお、冬だから虫には出会えなかった。
天空橋(羽田空港第三ターミナル)・2022冬
好きなバンドのライブを見た。羽田空港周辺に、最近できたようなライブ会場がある。そこでやっていた。羽田周辺も、なかなか再開発よろしくどうぞ、といった出立ちで、オープンイノベーション! ぜひ私たち大企業とよろしく協業してくださいワーキングスペース貸しますよ、といった施設がいくつかあった。
ライブはよかった。もう15年くらい好きなバンドだ。声出しはできないが、本当に心は踊っていた。このバンドのライブがいい理由として、歌やメンバーを除くと、客層が老若男女かつ多国籍なところだ。皆既月食か何かだった。好きなものが複数あって、好きでい続けられることに幸福を感じる一年でもあった。音楽にお笑いに漫画に、モノにヒトに体験に。豊かだなと染み入った。
元住吉/武蔵小杉/新丸子・2022秋冬
自宅の周辺、といったとき、その東横線における端は都立大学だった。そのあたりは散歩として、地形図片手に庚申塔を巡るようなこともした。その先となると、少し足を伸ばす感覚がある。夏ごろに、そこから足を伸ばすかと考え、このエリアによく行くようにした。
ただ、結論としてあまり好みではなかった。なんだろうか。神奈川でいう大和のような、住宅街とそこからボトムアップでできた繁華街というエリアであった。まあ、有体にいえばちょっとした治安の悪さを感じた。いまのところ、隠れた名店と言ったものも見つけられていない。
武蔵村山(野山北・六道山公園)・2022秋
友人とカマキリを捕まえにいった。新卒の会社の友人と、今の会社の友人都三人で。ずっとこんなことをしている気がする。
赤坂・2022通期
もう解約しているが、友人と部屋を借りていた。コミュニティに属し、愛着を持つことが苦手で、一対一での交友を好む僕と同じような友人がたくさん集まった。良い場だった。いろんな話をした。例えばこんなもの。
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