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社長と幹部が一枚岩ではない

新シリーズ「幹部に言えない社長の悩み解決大全」毎週火曜日配信です!

中小ベンチャー企業の社長がよく悩まれるテーマ「幹部についての悩み」の解決策を毎週紹介していきます。

第2弾は「社長と幹部が一枚岩ではない


1 社長と幹部の関係(縦の関係)が十分でない

私、白潟敏朗はお陰様でコンサルタントになって35年経ちます。濃淡ありますが12,700人の社長と縁を持たせてもらいました。

そのご縁から得た確信は「経営が上手くいっている会社は社長と幹部が一枚岩」ということです。

ただ、これは簡単に実現できることではありません。場合によっては、10年かけても達成できないこともあります。

なので「社長と幹部が一枚岩の組織がつくれない」という悩みを抱える社長は多いのではないでしょうか。

社長と幹部の間に強固な関係をつくれば社長と幹部が一枚岩になれると考えてる社長もいるかもしれません。

ただ、幹部同士の関係が弱いと社長の方針には従うが幹部同士の協力が得られなかったり、最悪は他の幹部に足を引っ張られたり、結果として部門間の連携がうまく取れず社長の期待通りにならないことが多くあります。

だからこそ、社長と幹部が一枚岩の組織をつくるためには次の2つの関係を強固にする必要があります。

1 社長と幹部の関係(縦の関係)が強固になる
2 幹部同士の関係(横の関係)も強固になる

まずは、1から紹介していきます。

社長と幹部の関係が強固になるためには次の3つの要件をクリアしなくてはいけません。

① 社長が考える幹部の要件をクリアした人だけが幹部になっている
② 社長と全幹部の間に人間関係・信頼関係ができている
③ 社長のゆずれないおもいと考え方(MVV等)に全幹部が賛同している

社長が考える幹部の要件をどうつくればいいのか詳しく知りたい方はこの記事をご覧ください。

①の社長が考える幹部の要件にクリアしていない人が幹部になっていた場合は、指導か降格の2択かと思います。

・幹部が要件をクリアできるよう社長が個別指導をする
・幹部を降格する

②の社長と幹部の人間関係と信頼関係については次のアセスメントシートで評価してください。

社長、アセスメント結果はいかがでしたか?

4個以上『はい』であれば人間・信頼関係は強固だと思います。そうでなければ改善しましょう。

③の社長のゆずれないおもいと考え方(MVV等)に賛同していない幹部はいますか?

いないことが大前提ですが、万が一、社長と合わない幹部がいた場合には卒業してもらいましょう

そうしないと、お互いが不幸になるだけです。

ただし、幹部が直ちに卒業すると売上が減ってしまうような経営リスクがある場合は、売上が減らない対策を講じた後に卒業してもらうなどの工夫が必要です。

なお、面従腹背の幹部の存在にも注意が必要です。そのような幹部がいれば先ほど言った通り社長と幹部が一枚岩になることはありません。

面従腹背かどうかを確認するためには次の2つを実践してください。  

・社長のゆずれないおもいと考え方の言語化
まだ言語化していない社長は、何が社長のゆずれないおもいと考え方が幹部に明確に伝わりません。まずは、言語化から始めましょう。

一般的にはミッション/経営理念の言語化から、次にビジョン、バリュー/行動指針を言語化していきましょう。なお、必ずしも3つすべての言語化をする必要はありません。

加えて、社長の部下マネジメントに関するゆずれないおもいを「上司の心得」として言語化するのもいいでしょう。

・社長のゆずれないおもいと考え方に対する幹部の実践状況のチェック
当たり前のことですが、口では賛同していますと言っても行動が伴わない場合は賛同していることにはなりません。

社長の目で幹部のMVV等の体現状況を観察しましょう。もちろん、社長の体現は大前提です。

2 幹部同士の関係(横の関係)が十分ではない

次に、2幹部同士の関係も強固になるを紹介します。

社長と幹部の縦の関係は構築されていても、幹部同士の横の関係が強固ではないことは多く、その結果社長と幹部が一枚岩になりません。

前述したとおり全幹部が社長の方針通りに動くが、幹部同士の協力が十分ではないので社長の期待する結果がでません。

幹部同士の関係が強固になるためには次の4つの要件をクリアしなくてはいけません。

① 幹部同士の人間関係・信頼関係ができている
② お互いの強みを把握し認めあう(相互理解と尊重)
③ お互い言いたいことが言える(心理的安全性の確保)
④ 社長の良くない言動で幹部同士の関係にヒビをいれない


まずは、上記①から③です。社長、次のアセスメントシートで評価してください。可能であれば、幹部にも評価してもらってください。

社長、アセスメント結果はいかがでしたか?

4個以上『全員の幹部がはい』であれば幹部同士の関係は強固だと思います。そうでなければ改善しましょう。

①の人間関係すらできていない場合

このような会社は少ないと思われますが、まずは幹部同士での会話が増えるしかけを実践しましょう。

例えば、毎月の経営会議後の飲み会(食事だけでもいい)をしかけましょう。忙しい幹部同士の日程調整も簡単ですし、月1回は会話できます。

①の人間関係はできているが信頼関係はできていない場合

意外とこのケースの会社は多いかもしれません。まずは、幹部同士の会話を増やし、つぎにお互いを深く知り、共に苦労できる次のようなしかけを実践してはいかがでしようか。

・他部門の定例会に四半期に1回参加する(他の幹部のことを知る)
・社長と全幹部でお互いを知ろう合宿(お互いのことを深く知る)
・幹部数名に共同で全社課題解決プロジェクトをやらせる(共に苦労する)

②のお互いの強みを把握し認めあうができていない場合

ここからは実現の難易度が上がります。他の幹部の強みを知り認めることは簡単ではありません。じっくり継続的に実践でき効果のある次のようなしかけを実践してはいかがでしようか。

・社長と幹部の半年に1回の合宿(社長が幹部の強みを見つけ幹部に共有できる、他の幹部の強みを見つけられる)
・幹部同士の同僚評価(半年に1回、他の幹部の強みと成長を伝える)

③のお互い言いたいことが言えるができていない場合

これもできていない会社が多いでしょう。幹部になる方は皆優秀であるため、お互いに自然と配慮します。

自部門の利害に直結しないテーマであれば、他の幹部に違和感を感じても遠慮し指摘もしません。じっくり継続的に実践でき効果のある次のようなしかけを実践してはいかがでしようか。

・経営会議で他部門のテーマに意見を言わない幹部を次回から参加させない

・幹部の評価シート改良(他部門への貢献を高く評価する)
例:自部門貢献50点、他部門貢献40点、人望10点

・バリュー/行動指針/上司の心得等への追加
例:お互いのことを尊重して言いたいことを言い合おう


最後に④の社長の良くない言動で幹部同士の関係にヒビをいれないを紹介します。社長、次に示す3つの言動には気をつけましょう。

良くない言動①:社長の評価結果を幹部に納得させていない
社長が評価した結果を幹部に十分フィードバックしないと、評価の低い幹部は社長の評価に納得しない恐れがあります。

社長への信頼が無くなったり、評価が高い幹部へ嫉妬したりします。そのような幹部同士が一枚岩になることはありません。

幹部に対する社長の評価は極めて重要です。評価が低い幹部には十分なフィードバックが必要です。

幹部が社長の評価結果に納得していない場合、社長は時間をあけて3回フィードバック面談をしましょう。

良くない言動②:社長の幹部登用と育成不足で部下からの人望がない幹部がいる
部下からの人望がない幹部は、人望がある幹部に嫉妬する恐れがあります。そのような幹部同士も一枚岩になることもありません。

人望がない幹部を降格するか、人望を得られるように社長が指導するかの選択になります。

良くない言動③:社長が特定の幹部をかわいがる
いわゆる「社長の依怙贔屓(えこひいき)」です。

社長が特定の幹部とランチや飲み会、休日のゴルフによくいく、特定の幹部に甘すぎる言動をしていると他の幹部はその幹部に対してよい感情はもちませんし嫉妬する恐れもあります。

さらに他の幹部は社長を信頼しなくなってしまいます。

3 まとめ

1 社長と幹部が一枚岩の組織をつくるためには、次の2つの関係を強固にする必要があります。
 ① 社長と幹部の関係が強固になる(縦の関係)
 ② 幹部同士の関係も強固になる(横の関係)

2 社長と幹部の関係が強固になるには次の3つの要件をクリアする必要があります。
 ① 社長が考える幹部の要件をクリアした人だけが幹部になっている
 ② 社長と全幹部の間に人間関係・信頼関係ができている
 ③ 社長のゆずれないおもいと考え方(MVV等)に全幹部が賛同している

3 社長のゆずれないおもいや考え方に合わない幹部には卒業してもらいましょう。

4 幹部同士の関係が強固になるためには次の4つの要件をクリアしないくてはいけません。
 ① 幹部同士の人間関係・信頼関係ができている
 ② お互いの強みを把握し認めあう(相互理解と尊重)
 ③ お互い言いたいことが言える(心理的安全性の確保)
 ④ 社長の良くない言動で幹部同士の関係にヒビをいれない

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