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幹部の評価をどうすればよいのか?
新シリーズ「幹部に言えない社長の悩み解決大全」毎週火曜日配信です!
中小ベンチャー企業の社長がよく悩まれるテーマ「幹部についての悩み」の解決策を毎週紹介していきます。
第8弾は「幹部の評価をどうすればよいのか?」
1 幹部が「社長に評価されたくない」と思われていないか?
幹部の評価は社員の評価より負担が少なく簡単に思えますが、意外に多くの社長が悩んでいます。
今回はそのあたりを社長と考えていきたいです。
突然ですが、社長、評価者は社長だけになりますか?
「うん、私だけだよ」
「社長に評価されたくない」と思っている幹部はいますか?
「いや、いないと思うよ」
そうですか、それであれば安心ですね。
もしいたら、幹部の評価への納得感はゼロになります。
幹部が社長のことを心から信頼し、経営者として尊敬しているのであれば社長の評価に幹部は納得すると思います。
もちろん、評価結果をフィードバックする評価面談を1回もやらない、評価の考え方・項目を共有しない等があると幹部は納得しなくなるかもしれません。
参考までに幹部から信頼を失っていないかどうかのアセスメントシートを示しておきます。
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2 給与と賞与の基本的な考え方は決まっていますか?
人事評価には過去と未来しかありません。
過去というのは今期1年間の幹部の成果をどう評価するかという「過去の成果評価」のことです。
未来というのは来期以降に幹部がどのような貢献をしてくれるかを評価する「将来への貢献評価(能力評価)」のことです。
社長がこの2つの評価をどう考えるかで、幹部の給与と賞与評価の設計ができます。次の図を見てください。
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全員の幹部が毎年成果を出し続けるのであれば、給与と賞与を「過去の成果」と「将来の貢献」の2つで評価するといいでしょう。
(図の2つの矢印に該当します)
外部環境変化が激しい現代において、今期成果を出した幹部が来年・再来年・3年後も成果を出し続けることができるのでしょうか?
今期成果を出したが来期は環境が変わり成果を出せそうもない幹部は、来期の給与評価を厳しくせざるを得ません。
間違えて、来期の給与を高い評価にしてしまうと来期は給与を払いすぎてしまいます。
なので、次のような考え方で給与と賞与を評価することをおススメします。
★「過去の成果」は業績連動賞与で清算する
(成果評価で賞与金額の決定)
※業績連動賞与は決算月に支払うか夏季・冬季賞与で支払う
※個人や部門の売上や利益に係数をかけて賞与を算定する
★「将来の貢献」を評価し給与+(固定賞与)を決める
(将来の貢献評価(能力評価)で給与金額の決定)
※社長のあたまの中だけで評価(あたま評価)をするか、評価シートで評価する
3 おススメの幹部の評価制度
社長の会社の幹部人数が20人以下であれば給与評価については評価シートはなくてもいいのではないでしょうか?
(賞与は売上や利益に係数をかけて業績連動賞与を算定する)
「えー!白潟さん、なくても問題ないの?」
はい、社長のあたま評価でも評価シートの結果と変わらないし、あたま評価の方が正しい評価だったりします。
「たしかに、あたま評価の方が評価しやすいかもね」
はい。ただ、あたま評価なので幹部が不安にならないよう次の3つもやるといいです。
① 何を評価するかを幹部に事前に伝える
評価の項目/テーマを評価期間の開始時点で幹部に伝えておくべきです。
(例)
・来期以降に自部門の成果を出す力があるかどうか
・来期以降に他部門の成果を出すサポートができるかどうか
・社長に諫言してくれるかどうか
・メンバーからの人望があるかどうか
② 社長が評価面談を実施する
評価結果をフィードバックし、成長するための課題をお互い理解し解決策を考える評価面談を1時間程度実施します。
・未熟な幹部には3カ月に1回
・幹部には半年に1回
・経営幹部には1年に1回
③ 減給の有/無を幹部に事前に伝える
評価結果が著しく低かった場合に減給/降格するのであれば、事前に幹部に伝えておくべきです。評価面談で突然減給を伝えられたら幹部はその結果を受け止められません。
既に幹部用の評価シートがある社長は、ここまでの提案に違和感を持つでしょう。
次に紹介する判断基準で評価シートの可否を決めてはどうでしょうか?
各人の評価が終わり、社長が幹部全員の評価点数一覧を見た後に点数を修正している(いわゆる鉛筆なめなめ)のであれば評価シートは廃止するか改良した方がいいです。
なぜならば、評価シートが社長の評価と一致していないからです。
そうでなければ、現状の評価シートを活用し続けてもいいかと思います。
評価シートを改良する場合は評価項目を3個くらいに絞り、ある程度社長の裁量の余地(あたま評価部分)を残すのも1つの方法です。
例えば、次のようなイメージです。
・自部門への将来貢献:配点50点
・他部門への将来貢献:配点30点
・人間力:配点20点
幹部のバリューや行動指針の体現状況が良くないのであればバリューや行動指針評価を追加しましょう。
4 まとめ
① 社長が幹部から信頼・尊敬されていないと社長の評価に対する幹部の納得感はゼロです
② 給与と賞与を「過去の成果」と「将来の貢献」でどう評価するかを事前に決める
③ 幹部の人数が20人以下であれば給与評価は評価シートではなく社長のあたま評価にする
④ ただし、次の3つも実践する
・社長が幹部へ評価項目の伝達
・社長の評価面談
・社長が幹部へ減給の有/無の伝達
⑤ 社長が幹部全員の評価シートの評価点数を見た後に修正をしている(いわゆる鉛筆なめなめ)のであれば評価シートを廃止するか改良する
⑥ ⑤がなければ現状の評価シートを継続して活用する
今回も、「幹部に言えない社長の悩み解決大全」を読んでくれてありがとうございます。
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それでは、また来週!!