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研究者日記 Day22

現在関わっているプロジェクトの一つ


                              という目標を持つプロジェクト

市民のみんさんから一緒に水中遺跡について考えて実際に調査を主体となって行ってくれる人を募集しています。

ここでは、海洋文化遺産と呼んでいますが、それは、海と人の関係を重視しているからです。別に水中にだけ特化しているわけではありません。海に関する知識を高めるプロジェクトであり、海と人の関係の歴史を学びます。その中で、特に水中に存在する遺跡があまり知られていないので、そこに焦点を当てます。ですが、本質は、海に関して、人と海の関係の歴史を探ることにあります!

市民参加型の水中遺跡調査を行います。大人の自由研究と考えてもらえるといいです。我々研究者は、市民の活動をサポートします。我々は、オマケのようなものであって、あくまで主体は市民ー募集により集まった方々です。誰でも参加可能。期間は4年間。実は文部科学省の事業の一環です。広く市民にも海洋についての知識を知ってもらい、海洋の総合知を高めること。

現在は、瀬戸内海を中心に進めているプロジェクトですが、後に全国展開します。

市民メンバー申し込みの締め切りは4月30日


私たちが目指すもの…

現在、海洋プラスチック問題や気候変動問題といった社会課題が増加してきており、様々な要素が複雑に絡み合う課題を解決するためには、自然科学や人文・社会科学等の科学知と、海洋に関わる人々の様々な“知”を統合した総合知を創出し活用することが重要です。

市民の研究参加推進については「第5期科学技術基本計画」や「第6期科学技術・イノベーション基本計画」でも重要性が謳われています。総合知については、第6期同基本計画において新たに明記され、特に海洋分野については、同基本計画の具体化のために策定される「統合イノベーション戦略2022」で、「海洋分野における観測・研究への市民参加を進め、知の融合により人間や社会の総合的理解と課題解決に貢献する総合知の創出を推進」と記載されるなど、重要性はますます増してきています。さらに、「総合海洋政策本部参与会議意見書~第4期海洋基本計画の策定に向けた基本的な考え方~」においては、「市民が保有する海洋生物や海洋ごみ等の情報を基に、海洋研究者を含めた地域の海に関わる利害関係者間の対話や協働を推進し、地域の課題解決や海洋リテラシーの向上につなげる。このような海洋科学技術における市民参加型科学の取組を進め、持続可能な海洋の構築に向けた総合知の創出を目指していくべきである」と提言されており、市民参加型研究によって総合知の創出を目指すことで課題の解決に加え、海洋リテラシーの向上に繋げることが強く求められています。
 
国際的にも多様なステークホルダーと連携した研究の重要性が注目されているといえます。2030年を達成目標とする「持続可能な開発目標(SDGs)」への海からの貢献を目指して、UNESCO政府間海洋学委員会(IOC)が取りまとめ、国連総会で採択された「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」において、海洋に携わる研究者や一般市民を含めた多様なステークホルダーが協働し、よりSDGs達成に貢献する海洋科学を推進することが重要であると提言されました。

このプロジェクトでは、海洋に携わる研究者や市民を含む海に関わる多様な人々が協働して、市民参加型研究を実現するとともに、それら研究における総合知創出までの過程をまとめ、エリアや研究対象に依存しない共通性を備えた知見として昇華、海洋文化遺産を媒体とした海洋の総合知を創出するための手法を構築します。

なお、本事業は文部科学省「海洋資源利用促進技術開発プログラム 市民参加による海洋総合知創出手法構築プロジェクト」エリア研究実施チームの公募に応じ、所要の審査を経て採択されたものです。

代表の中田先生より


このプロジェクトの感想を正直に言うと…

  最も難しい
  わかりにくい
  成果が見えにくい=そもそもプロジェクトの成果とはなんだ?
  成果として認められにくいー本人の研究成果にならない?
  前例がない
  研究ではない(文科省曰く)
             という、厄介なプロジェクト

  しかし!


 日本の水中文化遺産保護の未来を考えると最も重要なプロジェクト

これは、断言できます。

 なぜか…


世界を見ると、水中遺跡のそのほぼすべては、考古学には全く無関係の人々による発見が契機となっています。また、水中遺跡の9割以上は、海岸のすぐそば、我々が普段から目にする場所に存在しています。

水中遺跡の取り組みが進んでいる国の特徴に、市民の間にも水中遺跡に関する情報がよく知られている国があります。統計はありませんが、研究者だけが調べている国、国の主導者だけが進めている国は、やはりなかなか国として水中遺跡の保護が巧く行っていません。

水中遺跡は、どこにでもある。

下の図ですが、オランダ・イギリス周辺の「水中遺跡の存在が知られているポイント地図」に西日本の地図をサイズを合わせて貼り合わせたものです。

数万点の水中遺跡がありますね。これらの多くは、漁師による情報、そして、海洋開発(洋上風力発電)に際して行われるアセスメントにより発見・登録されたものです。

この二つは、水中遺跡を発見する上で最も重要です。それ以外での発見は、ほとんどありません。考古学者が何も情報がないところを探査するほど無駄なことはありません。市民からの情報を得て、探査を実施する。それが鉄則。

ところが、日本ではその二つの精度が存在しない・曖昧です。

  漁師など引き揚げ・水中遺跡を発見した時の報告の義務が曖昧
  海洋開発に際してのアセスメントの義務が存在しない
  市民に広く水中遺跡の知識がない

 これら3つの条件が存在しないため、日本の周知の水中遺跡の数は、他国に比べ1/10~1/100しかありません。でも、本当はもっと多くの水中遺跡があるはずなんです。

これを、変えていくためのプロジェクトだと考えています。

 焦点の当てられる機会の少ない水中遺跡を発見
 海についての知識を高める
 将来的に、水中文化遺産の保護の体制を強化なモノにしていく

        ご参加、お待ちしています!


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