〜事業開発室長 × Product Manager対談〜既存事業のナレッジを武器に新たなお客様の課題解決を推進。新サービス「Shippio Works」立ち上げ秘話
Shippioは、2024年9月より新たに国際物流事業者向けのコミュニケーションプラットフォーム「Shippio Works」の提供を開始しました。 今回は、Shippio Worksを担当する事業開発室長とプロダクトマネージャーの対談を通してサービス立ち上げの背景や今後の展望などをご紹介します。
インタビュイープロフィール
物流事業者向け新サービス「Shippio Works」は「情報の可視化」「書類の一元管理」を実現する国際物流のコミュニケーションプラットフォーム
Q. 今回は、新サービス「Shippio Works」のリリースにあたってお二人にお話を伺います。まず、サービスの紹介をお願いします。
金城: 今回リリースされた「Shippio Works」は、Shippioにとって初めての物流事業者向けのサービスで国際物流のコミュニケーションプラットフォームとなります。
今、物流事業者が荷主企業に対して提供している国際物流サービスでは、多くの関係業者から日々移り変わる物流情報(※1)を収集し最新の情報を荷主企業へ提供しています。 例えば船社や海外代理店、通関業者、ドレージ会社、納品先といった、様々な業者から情報を集め、その後荷主企業へ情報を提供していくイメージです。
しかし、これらのコミュニケーションは依然としてメールや電話、紙、FAXといったアナログツールを使用しており、情報のブラックボックス化、それによる過度な確認作業などコミュニケーション業務の負荷が非常に大きい状況です。
「Shippio Works」は、国際物流サービス提供に必要な物流情報(※1)の「可視化」や「必要な貿易書類」などを一元管理しメール業務や過度な確認業務を「ゼロ」にすることを目指して開発しています。
これを実現することによって、物流事業者が持つ物流アセットや今まで培ってきたオペレーションの強みを活かし、荷主企業に対して最新で正確な情報を提供する仕組みを作り上げることを考えています。
また開発の背景には「労働人口減少」「ECによる物流増加」「物流オペレーションの複雑化」もあります。「Shippio Works」で業務を標準化、効率化し、オペレーション品質の担保、向上も担えるのではないかと考えています。
※1:ETD(出向予定日) / ETA(到着予定日) , 通関進捗、貿易書類管理、納品手配状況など
デジタルフォワーディングサービスで培った知見を活かし、新たな価値創造へ
Q. では次に、お二人が今回の「Shippio Works」の立ち上げに関わることになった経緯をお聞かせいただけますか?
金城: 私は前職で事業開発や事業責任者としての経験を積んでおり、2023年にShippioに転職してからも、引き続き事業開発に携わりたいという思いが強くありました。会社として、ちょうどこのタイミングで物流事業者向けの新サービスを展開していく計画があったため、今回サービス立ち上げを担当することになりました。
立石: 私は2022年の2月に Shippioに入社しました。当時、Shippioは主にデジタルフォワーディングサービスの提供に注力していたのですが、国際物流における膨大なアナログのコミュニケーションが、荷主企業だけでなく、物流事業者にとっても共通の課題であると感じていました。そのため、入社直後から物流事業者に対するサービス展開の可能性を探るために、20社以上の企業にヒアリングを行っていました。
ただ、その時点ではまだ具体的な事業機会を見いだせず、一度はそのプロジェクトを延期することになりました。しかし、その後、2023年から荷主向けの貿易業務管理SaaS「Any Cargo」をリリースしたことにより物流事業者からの問い合わせが増えたことで、再度テスト的な販売をプロダクト責任者として進めることになりました。これが結果的に「Shippio Works」の立ち上げに繋がったという経緯があります。
Q. 「Shippio Works」立ち上げにあたってShippioとしての強みはどのように活かされたと思われますか?
立石: まず、「Shippio Works」で解決しようとしている荷主企業やステークホルダーとのコミュニケーション課題を解決するということは、すでにShippioの既存事業で一定の成果が出ていた部分でもあります。これがあったおかげで、新たに事業を作り上げる際の基盤として活用できた点は大きかったですね。スタートアップとしてゼロから新しい事業を作るという側面ももちろんあるのですが、既存事業で得られたナレッジがあったおかげで、荷主企業にとって何がペインポイントで、どうすれば解決できるのかという部分を信じて提案できたのは大きな強みでした。
また、Shippioの既存事業であるデジタルフォワーディングの業務を通じて、どの部分がデジタル化しやすく、どの部分がプロダクト化をすることが難しいのかという解像度が高くなっていた状態で新しい事業を始められたことも、非常に大きな利点でした。これにより、今後1年、2年の間にプロダクトを展開していく際の検証リソースやリスクを軽減し、より効率的に開発投資を行える体制を作ることができたと思っています。既存事業のナレッジを活かしてロケットスタートを切れる素地があったと思っています。
経営陣との綿密なディスカッションを経て磨き込んだ事業開発室のミッションとShippio Worksのコンセプト
Q. 立ち上げにあたって苦労した点や経験をお聞かせいただけますか?
金城: 事業開発の初期段階では、さまざまな苦労がありました。
まず、Shippioとして初めて「事業開発室」を立ち上げたため、その役割を定義したことですね。「何のために事業開発室があるのか?」という問いにシャープに答えられるよう試行錯誤しました。そこから経営チームと話し合い、役割を「2倍、3倍と非連続な成長を可能にする事業を発明・開発する組織」と定義しスタートしました。
イメージとしては、「3年後、5年後を振り返った時にShippioのプラットフォームの中核を成している」と言えるような事業を作り出すことを目指しています。
また「Shippio Works」の根幹となる「コンセプト」設計にも徹底的に向き合いました。 「誰の何の課題を解決するのか?」の言語化や永続的に事業を推進するためにも会社のサービスとしてどのような役割を持つのか?経営チームとディスカッションを重ね目指すべき方向性を理解し、それを事業開発室としてどう具現化するかを練っていきました。
Q. 経営チームとのディスカッションについて、もう少し詳しくお聞かせいただけますか?
金城: 例えばShippioは、国際貨物を起点とした「国際物流のプラットフォーム」を構築し、まずは日本発着貨物の30%のシェア獲得を目指しています。 目指す方向性の中で、経営層が描いているプラットフォームとして目指すべき姿や3年後・5年後の売上規模についてすり合わせを行いました。 その後、事業開発室としてプラットフォームの世界観や業績目標を実現していくために必要なビジネス設計やプロダクト開発の方向性を具体化していきました。 いま自信を持って意思決定し「Shippio Works」の事業を進められているのも、経営層との共通認識を持つプロセスがあったからと考えています。
Q. 立ち上げに際して他に苦労した点があれば教えてください。
立石: いくつかあったのですが、特に「誰のどの課題を解決するのか」という点で方向性が何度か変わったことが印象に残っています。最初は荷主企業向けのサービスであるAny Cargoを物流事業者にそのまま提供するという考え方で進めていましたが、その後、社内のステークホルダーを巻き込んで使ってもらう方向にシフトしたりと、試行錯誤が続きもどかしさもありました。でもそれらの経験が今のShippio Worksのプロダクト価値を形成するのに役立ったと思っています。
また、金城さんがプロジェクトに参加してくれたことで、販売戦略やプロダクト価値がより明確になり、今の形が見えてきました。仮説検証を繰り返すことで、失敗を重ねつつも正解に近づけていく感覚がありました。
事業開発とプロダクト開発、それぞれの視点を掛け合わせることで相乗効果が生まれる
Q. お二人で協力し合って進めてきたことの中で、相乗効果や学びがあった点についてもお聞かせください。
立石: 事業全体の成長のために、どのようなプロダクトが求められているのかを常に意識して考えることが、二人三脚で取り組むことの相乗効果だと感じています。
例えば、これまでのShippioのプロダクト開発においては、お客様のペインを起点に、それを解決するソリューションがこれだから、この順番で解決していきましょう、というアプローチが多かったです。しかし、金城さんとの日々のディスカッションを通じて、それだけでは不十分だと気づきました。
新規のお客様にご利用いただくためには、このタイミングでオーガニックに申し込んでくれるような機能が必要だとか、CSのスケーラビリティが不足しないように、わかりやすく使えるようなプロダクト開発が必要だ、といった多面的なサポートが重要だと分かってきました。
こういったことを考えられる環境が整っているのは非常に良いことで、そうしないと逆に事業の成長が難しくなると感じています。そのため、ビジネスとプロダクトメンバー二人三脚の体制は、必須であり、やはり最良の体制だと思っています。
Q. お客様との商談やヒアリングの際も、基本的に二人で行かれているのですか?
立石: はい、そうです。 先日も金城さんと一緒にバスに乗って、大井埠頭にあるお客様先に訪問していました。
プロダクトマネージャーとしてもお客様と直接お話しさせていただくことで、プロダクトに対してどういう反応をされるのか、どのタイミングで感触が良かったのかといったことが、ダイレクトに分かるようになります。
非常にスピード感を持って開発にフィードバックできるので、とても良いと感じています。
金城: 立石さんはまずなによりプロダクトマネジャーとして、2年以上Shippioのサービス開発をしてきた知見があります。さらに、私が考えていることをすぐに理解し適切な形で実行してくれるとても優秀なパートナーです。価値観が合うこともあり、二人で意思決定を進めることができたのは、非常に良かったです。
「国際物流のコミュニケーションプラットフォームといえばShippio Works」と言われるような世界を作り上げることを目指して
Q. 今後の目標についてお聞かせいただけますか?
金城: 目標は、Shippio Worksを1年でJIFFA(業界団体)加盟企業の10%、約50社、2年で約40%、200社以上のお客様に利用していただけるサービスに成長させることです。つまりは国際輸送を行っている事業者の半数近くが利用しているサービスにすることが目標です。さらに、「国際物流のコミュニケーションプラットフォームといえばShippio Works」と言われるような世界を作り上げたいと思っています。
Q. 最後に、Shippioに興味を持ってくださっている方に向けてメッセージをお願いします。
立石: 今の我々が取り組んでいるセグメントは国際物流のコアとなる部分ですが、それ以外にも多くのチャンスが眠っていると思っています。特に、Webサービス開発に閉じたプロダクトマネジメントに飽きた方や、お客様の本質的な課題解決に情熱を持っている方にとっては、非常にやりがいがある環境だと思います。
金城: 事業開発は総合格闘技のようなものです。マーケティングやセールス、CSなど、あらゆる分野に興味を持ち、突き詰めてやりきれる方が活躍できる環境です。また、自分が手掛けたサービスが社会に名を残せるようなものを作りたいと思っている方には、非常に魅力的なチャンスがあると思います。
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