あのプログラムに秘めた想い
昨今、様々なメディアで「V字回復」が取り上げられているKFC。そんなKFCを卒業することを決めたのが一昨年の今頃。ふと「今後も使えそうなトピックスをまとめておいてもよいかな」と思い、少しだけ振り返りを書くことにしました。
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2018年3月1日、KFCマイレージプログラムがローンチしました。
2013年にKFCに入社して以来、ずっとCRM推進的な部署に在籍していて様々なことをやってきましたが、それが「CRMなのか?」と言われれば「デジマに過ぎない?」とも言えるような日々を過ごしておりました。
そんな悶々とした(いや、当時はそれはそれでしっかりやっていました・・・)年月を経て、2016年秋にスタートしたのが「オムニチャネルCRMプロジェクト」。
トレンドに左右されない、ベースセールスを支える顧客(ファン)をしっかり囲い込む、いわば“土台作り”。そしてそれを強く、大きくすることがCRM推進部隊としての役割であると信じ、また、それをアプリで実践することで、より身近にブランドを感じてもらう、ということをゴールとして見据えていました。
ただし、いくつかの“制約”も考慮する必要がありました。
①基本的には、アプリを利用するユーザーは「メニュー」「キャンペーン」「店舗検索」「クーポン」が目的である。
(それ以外の余計な機能を付加することは嫌がられる)
②既に共通ポイント(Ponta)を展開しているため、同様のポイントプログラムは避けなければならない。
(「貯まったポイントを支払いに充当する」以外の方法を模索しなければならない)
そこで、①の機能的価値を損なうことなく、②の制約から生じるユーザーベネフィットの未充足を情緒的価値で補う、という整理をしました。
今でも「KFCのマイルが貯まる演出やマイページのデザインっていいですよね」と言ってくださる方がいますが、実はこんな想いがあってのことなんです。
とはいうものの、ローンチしたのが2年前ですし、私はもう卒業したので、これからこのアプリやプログラムがどう変化していくのかは不確かです。
ただ、世の中のアプリやそれ以外のサービスにおいて、例えば、機能的価値を盛り過ぎて逆にユーザーが困惑し不便に感じていたり、情緒的価値を追求し過ぎるあまり企業エゴに陥っていたり、などというケースは多いのではないでしょうか。
ということで、今後の自分自身への自戒も込めて、備忘録的に描いてみました。
※ちなみに、見出し画像は、2019年1月のシンガポール出張(KFCでの最後の出張)で撮った一枚です。
shioyan