2024.4.29 | 日記
5時半にセットしたアラームよりも前に目覚めた朝。10分ほど布団のなかでもぞもぞと動きながら、少し重ための体をゆっくり起こしていく。
今日は、離れたまちに暮らす友人に会いに行く日。この一週間はとくに、今日という日がくることを心待ちにしていたので、体は重たくとも心は軽い。
車で3時間ほどの道のりをいくため、運転にあまり自信のない私は、長い連休中の夫を連れ立って行くことに決めていた。
とても気持ちのよい晴れの空が広がるなか、私は友人に会いに、夫は熱中している釣りへ。最低限の身支度をすませて、私の運転からスタート。
一昨年に免許をようやく取得した私だが、わが家に車が一台なこともあってか乗り慣れているとはいえず、まだまだスムーズな運転とはいえないのが正直なところ。
そして、バイオリズム的にも調子がよくない日で、少しぼんやりとしており、ナビが示す方向にうまくむかえない……。
何度か助手席の夫から指導が入った末に1時間ほどでやむなく交代となった。思うような運転ができていないことに軽くへこみながらも、「また今度練習しよう」と切り替えて夫の安全でスムーズな運転に身を委ねることにした。
長い坂道から望める畑や、峠の両脇にひろがる緑を横目に、ぐんぐんぐんぐん進んでいく。目の前には、まだ雪が残る雄大な山々が連なり、「あぁ、北海道だなぁ」と、月並みだけれどもあらためて思う。
どこまでものびる大きな自然を前に、日々のなかで気になっているいろいろな不安や悩みごとがとても小さなことのように感じ、溶けて薄まっていくような感覚にもなった。
あまり通らない道を通る時、知らない土地へと旅に出かける時と、おなじような感覚。
道中、お土産にとベーグルを買い、わくわくした気持ちをおさえきれずに友人宅へと向かった。
到着するなり、4年間のあいだを埋めるようにたくさんの話をした。そうか、もう4年も会っていなかったのだ。
経験年数はちがえど、友人も私も「書くこと」を仕事にしている人で、日々インタビュー取材を行っているからということもあるのだと思う。お互いを取材し合うように問いを立て、本当にたくさんのテーマで話をした。
行きたいと思っていた湖に連れていってもらい、レジャーシートの上に座ってコーヒーを飲みながら。おいしいお菓子をつまみながら。きらきらと光る水面をぼーっとながめながら。
車での移動中も、道の駅でのお買い物やランチの間も、とにかく話をした。私は友人に聞きたいことがあった。
それは「いいことも、そうでないことも毎日いろいろと起きるなかで、それでも“書いて編む”をどういう心持ちや工夫によって長くつづけているのか」ということ。
たくさんの不安がやってくる時に、どういうふうに気持ちに折り合いをつけているのか、書くことへの向き合い方や大切にしていること、挑戦したことで見えてきた発見や気づき、心にたまるもやもやへの対処、人との関わり方や譲れない気持ち。
そして、これは明確な答えというものがないのかもしれないのだけれど、自分も健やかでいながら、関係者ふくめみんなに喜んでもらえる仕事とはどういうふうにするのかを、ずっと探している。
それは、仕事にかぎった話ではなくて、家族や友人との関係や、どんなことにも言えることなのだと思う。
どちらかだけが気持ちのよい状態というのは、きっと長くはつづかないと思うから。そして、そのあたりの塩梅が、私自身はうまくできているとは言えないし、たくさん失敗もしてきている。
だからこそずっと飽きもせずに追いつづけているのかもしれない。
もちろん、自分をふくめ全員が納得とか、全員が等しく「よい状態」というのを目指すことはとても難しいことなのだろうとは思いつつも、できるだけ自分がともに過ごす人との間では、「心地よい」と感じられる状態がつづくことを願ってはいる。
すこし脱線してしまったかもしれないけれど、友人との久しぶりの再会は、本当にうれしかった。
単純にまた会えたということだけではなくて、問いかけたり、問いかけられることを通して自分のなかに眠っている気持ちや考えにあらためて気づくことができたことも大きい。
私ももうすこし、肩の荷をおろして休みながら、時々こうして日々のあれこれを共有しながら、前に進みたいな。
離れた地に暮らす友人も頑張っているのだなと思えるだけで、私も頑張ろうという気持ちになれる。一人じゃない。
「次は山に遊びに行こう」と話し、手を振った。また、きっと会いにも行くね。
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