自分の生活を愛せるようになりたい
「今、あなたは自分の生活すべてを愛せていますか?」
私は、YESとは言えない。
生活を愛するというのは、
おしゃれな器を使ったり
良い香りのバスソルトを使ったり
毎日アロマを炊いたり
美味しい紅茶を飲んだり
このような特別な生活をするという意味ではない。
毎日繰り返す普通の日々を、愛せるようなりたいのだ。
その日の風の香りや太陽の温かさ、お米のふっくら感や自分の書いた文字の力強さ。
このような毎日当たり前のように見たり、聞いたり、感じたりしているはずのものを、愛したいのだ。
私はせっかちだ。なんでも早く終わらせたいと思う。仕事や洗濯、料理など、日常のありとあらゆるもの。自分でもなぜ急いでいるのかわからないくらいに。
急いだところで何になるのだろう。その少し短縮された時間は、だらだらする時間に消えているのだろう。
だったら、もっと当たり前の日常をゆっくり楽しんだり、新たな発見ができるぐらい本気で向き合ったりしたい。
小説は、私たちが当たり前に過ごしている日々を、美しい言葉で伝えてくれる。誰かに伝えるわけではないけれど、せめて自分の中だけはじっくりとその瞬間を感じ取りたい。
生活を愛するためには、まずはひとつひとつ丁寧に過ごすことが大切なんだと思う。今からできる限りゆっくり、自分の生活を愛したい。自信をもって自分だけの人生を全力で生きていると胸を張れるくらい、大切に過ごしたい。
日常的に感じる物足りなさや、幸せになりたいという気持ちは、自分が気づけていないだけだと思う。自分がいかに恵まれているか、満たされているか。
美味しいご飯も
毎日暖かい布団のなかで安心して眠れるのも
いつでも好きな本を読めるのも
自分の考えを発信できるのも
本当は特別で奇跡だ。もし、生きる時代や場所が違ったら、当たり前ではなかったかもしれないし、自分では無かったら、本を読むのが楽しいと思っていないかもしれない。
今自分でいられれること、自分として感じられることは、もっと大切にすべきだと思う。私はあなたにはなれないし、あなたも私にはなれない。私の頭の中を覗くことも、全く同じように感じることは誰にもできない。
なら、もっと自分として感じ、体験できるすべてのことを愛したい。誰にもまねできない特別な日常を、自分だけの宝物として大切にしたい。