春のささやき
今日は偕楽園へ梅を見に行った。平日なのに、たくさんの人がいた。私はひとりだったので、道順通り隅から隅までゆっくりと歩きながら楽しんだ。歩いては立ち止まり、歩いては立ち止まり、梅をじっと見るのに近づいた。
ふわっと風が吹くと、ひらひら花びらが散ると同時にかすかに梅の香りがした。白い梅も桃色の梅も、どれも可愛らしい。ころんとしたそのフォルムにみんな目を奪われるんだろうなぁ、なんて想像を膨らませながら。所々にベンチがあるのだけれど、そこにちょこんと座って仲良く梅どら焼きを食べていたおじいさんとおばあさんもとっても可愛らしくて平和な光景だった。
本当に今日は心地よい一日だ。お天気も最高で歩くのが気持ちよかった。今は帰り道で、電車に揺られながら今日一日を振り返っている。スピッツの優しい世界をイヤホンで聴きながら。
次は桜を見にどこへ行こうか。
桜咲く春が待ち遠しい。新しく吹く風に身を包みながら、にこやかに玄関を飛び出して出掛けようとしている私を容易に想像できる。
世界は平和だ。駆け足で通り過ぎる毎日があるから、こうやってゆっくりと自分と会話できる日だってあるんだから。そんな日々はとても愛おしく感じる。今日は優しい世界だった。たとえ日々を過ごすなかで、目の前がぼやけてしまっても、また戻って来ればいい。今日の感覚を忘れないようにしよう。今、私が私でいることにとても感謝している。