要約 『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』 著者 今木智隆
●ベストフレーズ
多くのお子さんは、算数の取り組み方について多くの「誤解」を持ち、そのために勉強で成果を出せずにいます。算数は学び方さえ間違えなければ、誰でも点数を伸ばすことができる、楽しい教科です。 12ページより
●はじめに
今回は、RISU Japan株式会社の社長で小学生向けの算数学習サービスを提供する今木智隆さんの『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』です。
本書は、我が子の算数の成績が悪い、もしくは伸び悩んでいる。何とかしてあげたいけれど、何をしてあげればよいのかわからない。そんな保護者の方の悩みを解決する一冊です。
●本文要約
1.算数は「積み重ね型」の科目
まず「算数は積み重ねの科目」だということです。ここでは算数が他の科目と大きく異なる点を説明します。
算数では、できないところがあっても、くり返し練習させても意味はありません。それは「算数が積み重ねの科目」だからです。建築の基礎部分ができていないと、2階、3階が建てられないように、算数もできないところが見つかったら、できないところではなく、戻ってみる必要があります。
また、戻る時は、学年や学校での学習の順番ではなく、つまづいているその単元の最初に戻ってどこでつまづいてしまったのかをきちんと把握することから始めて、復習させることで、算数の成績は確実に上げられます。
算数ではこの「戻る」というのが非常に重要です。なぜなら、どんな成績優秀な子どもでも、子どもの理解には必ず「ムラ」があるからです。たとえば、計算はできるけれど図形は苦手、単位の変換はできるけれど時間の計算は苦手などです。テストの見直しは大切ですが、そのテストで点数が低いからといって、間違えた問題だけを量をこなすような復習に意味はありません。たとえば、立体図形で間違えた子は平面図形を理解していない可能性が高いというように、その単元への理解ができていないという場合が多いのです。
算数は積み重ねの科目なので、平面図形を理解できていなければ立体図形は解けません。つまり立体図形の問題を解けるようにするには、平面図形を理解できている必要があり、そこでつまづいている場合には、学年などにとらわれず、その単元の最初に戻って復習する必要があります。
また、親が文系だから…とか、女の子は男の子より数字に弱いからね…と、子どもが算数を苦手としていても、軽視していませんか?算数はきちんと積み上げていけば誰でも理解できます。意外にも得意科目に変わる子どもも多いのです。本当は得意科目になるはずの算数を軽視して、「理系を選択できる未来」をお子さまから奪ってしまっているかもしれません。その一方で、算数は積み重ねの科目なので、闇雲に学習して遅れを取り戻せる科目ではありません。正しい対処を知り、早くからフォローしてあげることで、算数で誰もができるようになり、将来最も役に立つ科目だということを知ってください。
2.算数・数学はあとからでも追いつける
では算数を得意科目にするための育て方の1つ目は「小学校算数の3大テーマを知る」です。ここでは算数の勉強を積み上げていくときの具体的な考え方を説明します。
小学校で学習する算数の内容は、「位」「単位」「図形」の大きく3つに分類されます。
数そのものの概念であり加減乗除の計算のもととなる「位」、ものの数え方を把握し、表や図を正しく理解するための「単位」、そして平面や立体を含む「図形」です。この3つの大きな分類を理解し、応用できれば、小学校で扱うほとんどすべての問題を解くことができます。
算数の問題で「たまたま間違える」のは、単純な計算ミスだけです。それ以外は、どんな些細な間違いにも、そこには必ず何かしらの”理解不足”、つまり積み上げ不足が潜んでいます。単に「この問題ができない」というのではなく、「その単元そのものを完全に理解できていない」可能性があるのです。もし、今の学年より前に勉強している範囲で、解けないものや間違うものがあった場合には、その単元、あるいは、その単元の元となっている単元を、きちんと勉強し直すことが必要です。
学校のテストでは、完全に理解できていなくても、テストでそこそこの点がとれてしまいます。70点や75点といった点数がとれてしまうと、先生も含め多くの方が「ある程度理解できている」と判断してしまいがちです。しかし、間違えたところにこそ、まだ理解しきれておらず、後々子どもが算数につまづくことになる原因が含まれていることが多くあります。算数の場合、「この程度できていれば十分」と考えずに、どこでつまづいているかを遡って把握し、そこから復習させてあげることで「積み上げる方法」を教えてあげましょう。小学生の場合は、「位」「単位」「図形」の3つの単元に収斂しています。できないところがあったら、その単元の基礎に戻れば、積み上げを再開することができると覚えておきましょう。
3.根性論は捨てよう
育て方2つ目は「根性論は捨てる」です。慎重に積み上げても、どうしても、できないところがあったり、他の人と差がついてしまうことはよくあります。ここではそんな差がついてしまう時の考え方「根性論は捨てる」を説明します。
繰り返しますが、算数・数学は積み重ねの科目なので、漫然と勉強しても追いつくことができません。算数や数学は、大きく3つの分類に分かれ、それぞれ「前から順番にクリアしていく」ことが必要だからです。たとえば「10+x=15」という一次方程式で、答えが「x=5」になるということがわからない子は、「2x+5y=19 3x+y=9」という連立方程式を見て、「x=2 y=3」という答えを導き出すことはできません。このような状態の子に、連立方程式の問題を100問与えて練習させたとしても、連立方程式を理解し、解けるようにはなりません。算数や数学においては、とにかくその場しのぎ的に、その単元の問題演習の量を増やせばよいという根性論は通用しないのです。
さらに、
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4.学年や年齢を越えて、大きく「戻る勇気」が成績を伸ばす
5.「算数が苦手」を克服する秘訣は、「具体化」にあり!
6.「考える力」の土台を作る、算数・数学の文章題
7.「理系が得意」は子どもの財産になります
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