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要約 『20カ国語ペラペラ 私の外国語学習法』 著者 種田輝豊

●ベストフレーズ

自分で鍛え上げた、物事に対する執念というか、執着心というか、ようするにしつこさが唯一の武器なのである。各国の言葉を学習した経験から、上達にもっとも大切なことはこの“執念”の一語につきると断言できる。 200ページより

●はじめに

本書は、戦後まもない時代にラジオと手紙だけで20カ国語以上の言語を習得した著者の学習史です。
新しい勉強法や、簡単に語学が習得できる方法は紹介されていませんが、現代人が忘れがちな、外国文化への憧れや、国際交流の新鮮さを思い出させてくれます。外国語に尻込みしている人の背中を押してくれる語学指南書です。

●本文要約

1.なぜ20か国語を習得できたのか?

著者は、インターネットはおろか、海外旅行も簡単ではなかった戦後まもない時代に、自分で組み立てたラジオから流れる英語の放送に感動します。アメリカ人と文通を始め、遠く離れたアメリカからの便りに心を躍らせます。そして、驚異的な執着心と興味の赴くままに、語学と向き合い20カ国語以上の言語を習得しました。

英語を実用的な「出来なければならない課題」のように感じている私たち現代人にとって、こんな風に好きになれたらどんなに楽しいだろうかという気持ちにさせてくれるエッセイです。

また、本書には新しい勉強法や簡単に語学が習得できる方法は紹介されていません。一歩ずつ、語学の道を歩いてきた著者が実践してきた方法は、誰もが真似できるものばかりです。語学を学ぶテクニックにばかり気を取られて、なかなか習得できない経験は誰にもあります。しかし、語学を学ぶために大事なことはテクニックよりも情熱や根気であることを、ありふれた方法で20か国語を習得した著者の半生が雄弁に物語っています。また多言語を学ぶ過程を比較してみると大きな差はなく、時間と労力で習得できてしまうという新しい発見もあります。


2.わたしの語学人生

戦後まもなく、疎開先だった北海道の網走で暮らしていた著者の小学生時代の回想から始まります。小学四年生になって学校で始めてローマ字を学びました。ローマ字を学べば父親の本棚にあるドイツ年鑑も読めるだろうと思い、開いてみたところ、学校で学んだローマ字では読むことが出来なかったのが初めての外国語とのふれあいでした。そこで初めて、自分が話しているのは日本語で、世界には日本語以外の言葉があることを知って大きなショックを受けます。六年生に父親からのお土産で中学二年生の英語の教材を貰います。熱中して単語や文章を暗記し始めた頃、お手製のラジオからアメリカの放送を聞くようになります。流暢な英語に魅了されて、英語の勉強に心酔し始めます。父親はその後も十二冊にも及ぶ「基礎英語講座」を買い与えました。今度はその本を前にして、勉強の方針を立てます。それは、本の中を散歩するように全巻を通読することでした。テキストは声に出して読んで、繰り返しをいとわず勉強しました。登下校の途中は、読んだテキストの覚えている部分を思い出しながら口ずさみつつ歩き、覚えた内容の中に自分がいることを想像しました。これは英作文や英会話の格好の練習方法でした。そのうちに、父親が今度は英字新聞を半年分予約してきました。さすがに英字新聞はまだ難しすぎたことや、いつしか一方的に父親から押し付けられているような気がして、ここで少し抵抗感を覚えます。ですがそんな折に、文通相手のハンセンさんからのお返事の手紙が届きます。それは、それまでの勉強の努力へのご褒美のような気持ちをもたらし、まるで外国を見わたせる大きな窓が開いたような世界観の広がりをもたらしました。ハンセンさんとはその後6年間文通を続けました。これが外国語に対する目覚めとしてとても有意義なものとなりました。英語学習の情熱は実践へと移り始めます。汽車の中で見かけたアメリカ軍人と英語ではじめて会話したのもこの頃です。想像していたより会話が幼稚だったことで気持ちが沈みましたが、英語で文通ができることをバネに、書けるのなら同じことが話せるはずと、独り言の習慣がはじまります。


3.アメリカの一年で得たもの。

父親から買い与えられた、十二冊の「基礎英語講座」を読破した後、読んでわかる単語はかなりあるのに、自由に使いこなせる単語が少ないこと、使ってみたい単語があっても使い方を知らないことに気が付きます。それはただ大量につめこまれただけの知識でした。そこで文法書というものがあることを知ります。本屋に足を運び、色々な本を試し読みして、良い本と悪い本というのを自分なりに区別するようになります。良い本の条件は例文が豊富で理論的な説明があることでした。文法書を手にして、英語学習の地図を手に入れたことで、他の教科をおろそかにしながらも高校に進学するとアメリカ留学の選考に推薦されます。見事選ばれ、一年間のアメリカ留学の機会を得て、船旅で二週間、アメリカでの生活が始まります。留学中に魅了されたのは、現地で話されているアメリカンなネイティブな英語よりもむしろ他の言語でした。フランス語やスペイン語などの語学書でいっぱいになった机、ラジオを回すと英語以外の放送を聞くことができ、ホームステイ先の子どもたちの話を聞くことが大きな喜びでした。結局学校の勉強を横目に、さまざまな語学に魅了されていたばかりに、ホームステイ先のお父さんに叱られるほどでした。帰国後、復学と浪人を経て、東京外国語大学へ入学します。入学後は、中々興味の中心を見つけれず英語以外の授業にも参加していました。そしてあるイタリア語の授業の先生の紹介で、イタリア大使館での仕事を始めます。結局大使館での仕事が本格化し、大学は休学、2年間の大使館勤務で、英語だけでなくイタリア語でも仕事をしました。並行してさらに多言語を学び進めます。留学同様に各国大使館の職員との出会いが様々な言語への興味を膨らませる刺激となりました。その後、大使館勤務と大学を辞め、新宿のカフェで様々な外国人との交流を持つ自由気ままな時間を経て、語学を仕事にする道へとたどり着きます。


続きは以下リンクからお読みいただけます。(残り8600文字)

4.20カ国語上達の記録
5.「うるし塗り」作業で完全征服
6.執念を習慣づける

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