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Performance Profiling

今回紹介するのは、昨シーズン指導していた大学生のチームで取り入れてみたPerformance Profilingというスポーツ心理学における選手への介入方法の1つです。
Performance Profilingとは、選手にそのスポーツにおいて成功するために必要なことを自覚したり、自分の長所と短所が自覚できるようになるためのツールです。
また、これは選手のためだけでなく、コーチが選手の視点を理解するためのツールでもあります。

サムネで使った画像のように、最終的にはパフォーマンスに主観的な点数をつけていくのですが、このPerformance Profilingの最大の特徴は、選手が自分で点数をつけることです。
これによって、選手は自分のパフォーマンスに点数をつけ、長所と短所を認識し、コーチと共有することで、よりよい練習ができると理論で言われています。(Butler 1986, 1993, 1996)

Performance Profilingを使うメリットとして、
- 選手がそのスポーツにおいて成功するのに必要なこと・能力を理解することができる。
- 選手目線の長所と短所が理解できる。
- パフォーマンスに基づいたゴール設定ができる。

今回はPerformance Profilingについてなのでゴール設定には触れませんが、結果(勝ち負けのゴール)だけでなく、自身のパフォーマンスゴールにもより意識を向けることができるのも、この手法のメリットだと感じました。シーズン中に負けが続く事もありましたが、それでも個人ができた事できなかった事を把握し、結果とパフォーマンスの両方を追及できるようになったのは、これのおかげもあるのかなと思っています。

Performance Profilingの手順

この手法には4つのステップがあり、基本的にすべてのプロセスが選手主導で行われます。それが利点でもありますが、欠点にもなります。やっぱり面倒だと思う選手もいますから、そういう選手になぜやるかを説明する必要がありました。
手順はNicholls (2017)を参考にし、サッカーに適応しました。画像は実際にうちの選手が書いたものです。

Step.1:サッカー選手として活躍できるための能力を書き出す。
これはこの選手特有ではなく、一般的にサッカー選手が成功するにはなにが必要かを、数に制限をつけずに思いつくだけ書かせてください。

Step.2:書き出した中から最も必要だと思うものを12個選ぶ。
例えばStep.1で20個書き出したら、その中から必要だと思うものを12個選びます。そしてその12個の中から最も重要なものを1位から12位まで順位をつけさせてください。薄く書いてある数字は僕がStep.4のために書いたメモなので気にしないでください笑

Step.3:選んだ12個がどういうものか説明させる。
これは選手のサッカー理解を深めさせるプロセスです。選手自身の言葉で説明させますが、これがコーチと選手の相互理解に繋がります。例えばサポートというアクションでも選手が思い描いている事とコーチが考えている事が違うかもしれません。それをすり合わせることができます。
もしくはこのStep.3をアレンジすることができるかもしれません。コーチがすべてを定義することで、チーム内の共通言語を作ることができるかもしれません。

Step.4:その能力を1-10で評価する。
これは選手自身とコーチが評価します。選手は周りの人と比べずに「その能力に自信があるか」という基準で評価してもらいます。つまり「あいつより下手だから5点」みたいなつけ方はしないということです。コーチは選手が評価した点を見ずに同じ項目を評価してください。そしてその中間点を最終的な結果として出します。5と9なら結果は7。
選手が思っている短所はもしかしたらコーチがいいと思っていることもあるかもしれません。
最後にこの結果に基づいたアクションプランを3つ書いてもらいます。アクションプランですが、技術、戦術、フィジカル、メンタル・社会性の4つのエリアで3つずつくらい書き出してもいいと最近思っています。


セオリーでは月に一回や、6週間に3回やるなどと書いてありましたが、僕は3カ月に一回、Step.4を繰り返し、選手の変化を観察しました。

昨シーズンはこのPerformance Profilingを大学生にしたのですが、どの年齢から始めるべきかが迷うところです。自分でやってみた肌感覚では小学校6年生くらいだとStep.1、2でコーチの助けを得ながらだとできるかもって思っています。
今シーズンは指導しているU14で導入してみて、どうなるか試してみる予定です。


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