11/7〜21 立冬のお菓子『亥の子餅』
提供:11/7(土)〜21(土)
菓銘:#亥の子餅
千年以上にわたって冬のおとずれを告げてきたお菓子、亥の子餅をおつくりしました。猪の子、うり坊を模した餅菓子です。
亥の月(陰暦十月)、亥の日、亥の刻(21〜23時)にこの餅を食べると無病息災を望めるという古代中国から伝わった行事食で「源氏物語」にも描かれています。後に猪の多産にあやかり子孫繁栄や豊穣の願いも込められました。
東洋の五行思想では亥は水に属すこと、また猪は火伏せの霊験あらたかとされる京都の愛宕神社の神使であることから、この日に炉や炬燵、火鉢を使いはじめると火難除けになるともいわれ、茶道では炉開きの際のお菓子として供されることもあります。
鎌倉時代の記録には7種の材料を用いたという記載があるそうですが、作り方は店によって実にさまざま。今年はマスクの常用で肺が弱っていることを考慮して柿・胡桃・黒胡麻を使いました。柿は乾燥に弱い肺を潤し、胡桃は寒さで縮こまる肺を温めて咳を鎮めます。冬に衰えやすい部分を潤して養う黒胡麻も混ぜて、今年の労を和らげ来年の英気を養うお菓子に仕上げました。どうぞごゆっくりお楽しみください。
◎季節の一句
『野仏やひかり秘めたりお茶の花』
茶はツバキ科の常緑低木。日本にはじめて種子と茶の製法を持ち込んだのは栄西禅師と伝えられている。花は晩秋から初冬にかけて開花する。目立たなく可憐で清楚な感じを受けることから「わび」「さび」の茶道にふさわしい花として喜ばれた。初冬のあたたかき日、路傍の野仏の笑みに光がこぼれている。茶の花を一輪供えよう。
作:志田円/福岡・北九州の俳句結社「自鳴鐘」同人
#二十四節気 #立冬