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東大特進は最強という話

皆さんは東大特進というものをご存じだろうか。東進が東大対策用に開講しているコースのことであり、普段映像授業でしか見ることのできない有名講師の方々に、対面で授業を受けられる。場合によっては講師ご本人に添削をしていただけることもある。何より、東大模試で良い判定を取ることができたら特待価格(通常の1/10ほど)で授業を受けることができるのだ。

…などと東大特進のメリットをつらつらと書いてみたが、一応事実ではあるが全て適当である。今日の本題は、とある数強に会ってみた話である。東大特進のメリットを知りたくてこのページを開いた皆様には、同情の涙を禁じ得ない。アフィリエイトもびっくり、清々しいほどの題名詐欺である。東大特進についてはもう少し詳しくなってから書こうと思うので、どうか見捨てないでほしい。

彼の名はたっく。身長167cm(推定)、体重りんご200個分(推定)の高校2年生だ。高1のときに東大模試で200点越えを叩き出した猛者である。私が高2の6月時点で184点ということから、いかに凄いか分かるであろう。得意科目は数学(推定)。激難化し受験生を地獄に落とした2022年の共通テスト数学で、中3ながら1A・2B共に満点を叩き出していた。その彼に、東大特進で(お、やっと題名との繋がりが発生)会ってきたのである。サインもらえばよかった。

特進の予習は手ごたえのある問題で、数学があまり得意ではない私は予習中に咆哮していた。李徴ではない。当然ながら親に怒られた。

東大特進の会場に着くと、一人ぽつんと座った男子がいた。かわいい。子犬を思わせるようなキュートフェイス。かわいい。恐らくたっくだ。元々知り合いではあるが、こうして対面で会うとなると気恥ずかしい。鼻の形が特に綺麗で羨ましい。教室に私たち以外いなかったとき、たっくがボイスチャットをしていたので私も参加してみた。声だけでもリアルの輪郭を出すということは、なかなか慣れないことだ。ちなみに、最初に「ほんまに声低いやん笑」と言われた。なんだと。

そうこうしているうちに授業が始まった。有名な先生の授業で、私は映像授業で幾度もその先生の授業を受けたものだった。私はその先生の授業を対面で受けるのは3回目だったが、やはりテンションが上がる。ある意味東大特進は非日常的な場だ。先生の授業は本当にわかりやすい。数時間があっという間で、気づけばもうこんな時間、といった具合だった。帰りのエレベーターで先生と一緒になり、緊張していたたっくが可愛かった。

1日目の帰り、たっくとファミチキ(超増量中)を食べた。なんか大きい…通常サイズの2つ分ぐらいある。ファミチキを食べながら色んな話をした。話しやすい…。感動的な話しやすさである。相手が答えやすい返しをする頭の回転の速さよ。食べ終わった後、駅と反対方向に歩き出そうとしてたっくに戸惑われた。自信を持って反対方向に颯爽と歩きだしたおバカさんって、いったい誰なんでしょうかね。

2日目。あっという間だった。相変わらずの子犬フェイスで予習の方針を語っていて面白い。クソムズ問題について「この問題は俺解けんかったわ~」と言っており、たっくにも解けない問題があるのかと驚きを覚えた。たっくはコーラを飲んでいたが、気がついたら飲み切っておりびっくりした。いつ飲んだんだろう。

授業はもちろん最高だった。予習でわけわかめ(死語)だった問題が、先生の手にかかると明快に解かれていく。このことが私の心に深い感動を焼き付けた。一見手も足も出なさそうな問題でも、先生が解説してくださった本質的な考え方を使えばアプローチできるのではないかと、明日の東大実戦に向けて勇気づけられたようだ。

2日間の授業前後で色んな事を学び、話し、何時間も過ごしたはずなのに、たった1時間しか過ごしていないような気分だ。それなのに、まるで数日前の出来事みたいに遠く霞んでいて、たっくの輪郭も霧に溶けているよう。人生の数万分の一を共有したにすぎないかもしれないことが、これほどに大きな影響を与えるとは。切ないという感情は、これなのだろうか。

見返せば意外と東大特進について述べているではないか。ということで、これは題名詐欺ではない。ではさようなら。

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