4月21日(2)
ジャン-ポール・サルトル『嘔吐』(鈴木道彦訳、人文書院)を読了した。
ひとつひとつの文章は思ったほど難解ではなかったが、やはり、古典らしいというか、文学性の高い物語特有の着眼点のわかりづらさがあった。これは勉強不足といったところで、たとえばフランスの歴史やフッサール現象学についてもう少し理解を得ていれば別の発見もあるだろうと思う。訳者のあとがきでは、読解のポイントが現代日本の読者にも分かりやすく解説されている。
自分なりに咀嚼できたとは言いがたかったが、通読はした。有名なマロニエの根っこについてのシーンも読んだし、サルトルの甲殻類嫌いも物語の表現に表れていた。主人公のロカンタンは今の私と同じ30歳らしい。その思考や経験、暮らしぶりにはほぼ全く共通点がないが…(高等遊民に近い歴史研究家とは、希少人種に違いない)。
4月半ばには読了していたのだが感想を書き始めるのに時間がかかってしまった。10分ほど振り返りをして本記事を書いた。
余談だが、本書を読んでいる最中にモーニングで『JKさんちのサルトルさん』という漫画が連載開始された。パグ犬に転生したサルトルさんがとってもキュートだ。応援している。単行本出たら買う。