コーチングのイシューを見立てる能力(意識の複雑性 < 課題の複雑性)
今日のテーマはあまり一般的ではなさそうですが、複雑性のスピードも振幅も加速している時代において、持続的な変化や生成的な変容を扱うコーチにとっては、興味深いテーマになるかもしれません。
ICC(インターナショナル・コーチング・コミュニティ)のコア・コーチング・コンピテンシー
まず、日本での知名度はとても低いのですが、世界68カ国、15,000人以上のコーチが認定されている世界最大級のコーチの専門組織ICC(インターナショナル・コーチング・コミュニティ)のコア・コーチング・コンピテンシーを確認してみようと思います。ICCは、イギリス・ロンドンで登記された非営利企業で、2001年にジョセフ・オコナーとアンドレア・ラゲスによって設立され、今年20周年を迎えました。
ジョセフ・オコナーの書籍は、コーチングとNLPの領域で日本語で読むことができます。いずれの領域もプロフェッショナルな方々からは支持されていますが、専門的過ぎるようであまり一般的ではないようです。あまり知られていないのですが、成人発達理論(ロバート・キーガン博士、オットー・ラスキー博士)がコーチングの文脈で記載されています(第12章:発達コーチング)。日本語ではおそらくこの本が唯一だと思います。
(このnoteをご覧になってらっしゃる方の何人かは、”積読”になっているかもしれません。僕はこの本を積読から既読にする使命を担っているかもしれません笑)
さて、こちらが、ICCのコア・コーチング・コンピテンシーの概要になります。
General
- Understands and follow the ethical guidelines and the published standards of the International Coaching Community.
- Makes a clear distinction between content and process of the client’s issue, that is, what the issue is and how they represent it.
- Works always to give the client more choices than they presently have.
詳細は、以下のICCの公式Webサイトをご覧ください。
コンテンツ(イシューそのもの)とプロセス(表現)を識別する
この2つ目のコア・コーチング・コンピテンシーが本日のテーマと重なります。
- Makes a clear distinction between content and process of the client’s issue, that is, what the issue is and how they represent it.
これは、クライエントのイシューそのもの(コンテンツ)と、クライエントがそのイシューをどのように表現するか(プロセス)を明確に識別する、ということです。
このICCのコア・コーチング・コンピテンシーの背景には…
クライエントのイシュー(コンテンツ)を、クライエント自身がどのように表現するか(プロセス)、その表現のプロセスに探究のヒントが表出されている。
ということが含まれているでしょう。
コンテンツ(イシューそのもの)とプロセス(表現)と認知構造・基本的な社会的態度(ストラクチャー)を識別する
そして、ICC国際認定トレーナーとしての個人的な解釈と、識育コーチング®︎を探究している個人の解釈とを含めていくと…
・クライエントのイシューの本質を、クライエント自身が完全に表現できているとは限らない(この複雑な現象を完全に表現しきるのはそもそも無謀なのだから)
・クライエントは、どのような認知構造(ストラクチャー)を用いて、そのイシュー(コンテンツ)を解釈し、どのような認知構造(ストラクチャー)を用いて、そのイシュー(コンテンツ)を表現し、どのような基本的な社会的態度(ストラクチャー)で世界に関与しようとしているのか?。
・そのストラクチャーの複雑性は、イシューの複雑性をどの程度カバーしているだろうか?
つまり、『イシュー:コンテンツ』と『表現:プロセス』と『構造:ストラクチャー』を識別し、それらの相関性や生命的システムの躍動をヒントに、コーチはクライエントと共同内省し共同探究の道のりを歩んでいくのです。
コンテンツとプロセスに加えてこの構造(ストラクチャー)を識別するために、成人発達理論が助けになるのです。
私たちの意識が複雑性が増すたびに、きっと、より多くの多様性、多元性を包含できるようになるのでしょう。複雑性が増すたびに、私たちの意識は現前と共振を深め合う。その探究の道のりそのものに、美しさと願いを感じるのです。
このことは、僕が『ICC国際コーチング連盟認定資格×成人発達理論』トレーニング講座を開催している理由のひとつなのだろうということが、このnoteを書いて観えてきました。