書評:エドワード・W・サイード『知識人とは何か』
自身の出自に足を付け続ける批評家の気概とは?
パレスチナ生まれの批評家エドワード・サイードによる、英国BBC放送でのを講演を纏めた知識人論。
サイード自身の知識人としての立ち位置をそのまま表現したとでも言えるような、非常に熱い作品である(もっとも、「俺こそが知識人だ!」などと自己顕示しているわけでは決してない)。
「アマチュア」というキーワードにより、一般的には専門家を指すとされがちな知識人観にアンチテーゼを唱える。
「周辺的存在」というキーワードにより、少数派たることを潔しとするとともに専門性に閉じこもることなく言論を展開する姿を説く。
「悪党」というキーワードにより対立者や多数派からの攻撃をも辞さない自立的姿勢を示す。
ここに見られる知識人像は、私なりに一言で言えば「骨のある人間」である。強く、逞しくあることが知識人としての条件である、というのが本著のメッセージだろうと私は受け止めた。ペンを取り、言論を展開する人間の、否、サイードという人間における批評家としての魂を感じた次第である。
なおサイードには『オリエンタリズム」という著作があり、こちらもいずれご紹介したいのだが、正にここでサイード自身が言ってのけた知識人としての立ち振る舞いを遺憾なく発揮しているので、合わせて読むことをオススメしたい。
読了難易度:★★☆☆☆.
知識人とは言論人であることがわかる度:★★★★☆.
骨のある言論人は自らの出自に背を向けない度:★★★★☆.
トータルオススメ度:★★★★☆.
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