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幽刃の軌跡 #23

第23話「暴走する天狗」

天狗に憑依された朱留は、凄まじいエネルギーを解き放ちながら、竜馬に次々と攻撃を仕掛ける。朱留の身体を支配する天狗は、まるで自分の新しい力を試すかのように、竜馬を翻弄していた。


天狗「お前…弱いなぁ、クククッ。」


天狗の声は、朱留の口から冷たく響く。竜馬はその圧倒的な力に苦しめられていた。弐式憑依の状態でも、防戦一方になってしまう。


竜馬「…あかん、こいつの斬撃、弾くのが精いっぱいじゃ…」


竜馬は歯を食いしばり、天狗の攻撃に必死に耐えていたが、その斬撃は次第に激しさを増していく。天狗は朱留の身体に慣れていく様子で、手数を増やし、徐々に攻撃の圧力を強めていく。


天狗「ほれほれ、どうじゃ?笑」


その言葉とともに、天狗は一気に斬撃を連続で放ち、竜馬は防戦を続けるが、すでに限界が近い。


場面が切り替わり、遠くから朱留の変化を見守る那須、明菜、大森が、焦りと驚愕を露わにする。


那須「明菜殿…あれはもう、朱留殿ではない気がします…」


那須は険しい表情で、朱留の姿を見つめながら言葉を絞り出す。明菜もまた、朱留の異常な様子に気づいていた。


明菜「そうですね。あのエネルギーは…やはり霊域ではなく、“妖力”であると思います。」


明菜の冷静な分析に、大森も身震いする。


大森「妖力やと…だからかいな…いよいよまずいでごわすな…」


彼女の言葉に、那須と大森も一層不安を感じ始める。


再び戦場に戻ると、天狗はその笑い声を響かせながら、竜馬を追い詰めていく。


天狗「ほーう、この中にわしの力を知ってる輩がいるとは、驚いたわ。ククク…」


天狗は、朱留の身体にすっかり馴染んできたかのように、さらに力を高める。


天狗「身体も慣れてきた…久しぶりの解放になるわ!クククッ!」


天狗の狂気に満ちた笑い声が戦場に轟き渡り、その瞬間、周囲の空気が一気に凍りつく。


天狗は妖力を解放する準備に入る。朱留の身体から黒いオーラがさらに広がり、天狗の力が解放されようとしている。天狗は、その妖力の名を叫び、解放の言葉を放つ。


天狗「“夜叉ノ闇”!」


その瞬間、朱留の身体を纏う黒いオーラが爆発的に膨張し、天狗の本来の力が解き放たれる。天狗は狂気に満ちた声で解放の言葉を叫ぶ。


天狗「“闇夜ヲ裂ケ、我ガ力ヨリ全テヲ覆エ!”」


凄まじい妖力の解放とともに、辺り一帯が闇に包まれ、天狗の支配する世界が広がっていく。その闇の中で、竜馬はどうやってこの圧倒的な力に立ち向かうのか、全てが霧に包まれたように見えた。


天狗の笑い声が再び響き渡る。



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